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呂彦青投手が初先発で3回無失点!野原祐也監督率いるOBC高島との交流試合《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
台湾からやってきた呂投手。見とれるくらい色白で肌のきれいな顔です。そこ?(笑)

 ゴールデンウィーク最後の土日だった5日と6日、阪神ファームは鳴尾浜に社会人のクラブチームを迎えて交流試合を行いました。5日は近鉄や阪神で監督、コーチも務められた佐々木恭介監督が率いる大和高田クラブ、6日はもと阪神・野原祐也監督のOBC高島です。きょうはOBC高島戦についてご紹介します。5日の大和高田クラブ戦は、こちらからご覧ください。→<アマ交流試合で馬場が初先発。横山、小豆畑、西田も実戦復帰>

 野原監督が就任した昨年、OBC高島は都市対抗野球の近畿2次予選に初めて進出して、みんな大喜びだったことを思い出します。都市対抗の予選は滋賀1次、京滋奈1次を経ての近畿2次で、次が本大会です。他は県予選の次がもう地区の2次予選なのに、なぜかこの3府県は1次が2つあるんですよね。1.5次予選というべきでしょうか。

 ここで顔を合わせるのが滋賀のOBC高島やカナフレックス(もと阪神の藤井宏政さんはコーチ専任になりました)、奈良はたいてい大和高田クラブ、京都もたいていミキハウスベースボールクラブです。この3チームのうち1チームか2チームが近畿2次へ行けることになり、昨年は大和高田クラブとOBC高島が進出しました。

投手交代を告げるOBC高島の野原監督。
投手交代を告げるOBC高島の野原監督。

 そして野原監督にとって5年ぶりとなる鳴尾浜へ交流試合に訪れたのは昨年5月23日。チーム史上初出場の近畿2次予選が行われている最中だったんですよね。その模様はこちらから。→<OBC高島・野原祐也監督、5年ぶりの鳴尾浜で古巣との練習試合>

 しかし、ことし近畿2次に行けるのは1チームのみ。おなじみの上記3チームが、たった1つの枠を争う京滋奈1次予選は10日、京都太陽が丘野球場で開催されます。何度も何度も戦っている相手同士、どこが抜け出すのか注目ですね。

3投手が3安打完封リレー

 5日は打ち合いになりましたが、6日は台湾出身の呂彦青(ル・イェンチン)投手が来日初先発し、そのあとルーキー・石井将希投手、松田遼馬投手が投げて3安打完封リレー!打線は連打がなかったものの、3回と6回を除く毎回の11安打で5得点です。ただし、2回、4回、5回、7回と併殺が4度もありました。そのあたりの守備はさすが社会人チームですね。

来日初先発の呂投手は、予定の3回を投げ1安打無四球で無失点。
来日初先発の呂投手は、予定の3回を投げ1安打無四球で無失点。

 なお昨年は一塁側ベンチに残って阪神の特打を見学していたOBC高島の選手たちでしたが、ことしは雨も落ち始めていたため屋外での打撃練習がなく、野原監督や選手たちは少し残念だったみたいです。次の機会にはぜひ。その前に都市対抗予選、頑張ってください!

《交流試合》

 阪神- OBC高島 (鳴尾浜) 

 高島 000 000 000 = 0

 阪神 030 000 20X = 5

    

◆バッテリー

【阪神】呂-石井-松田 / 小宮山-小豆畑(5回~)

【OBC高島】小田(2回)-吉井(1回)-永井(1回)-三宅(1/3回)-坂本(1回2/3)-黒木(1回)-那珂(1回) / 村上-橋本(8回裏)

◆盗塁 長坂、北條2、陽川、緒方

2回、先制の犠飛・小宮山選手(左)と生還した中谷選手。
2回、先制の犠飛・小宮山選手(左)と生還した中谷選手。
西田選手に続いて荒木選手もタイムリー!
西田選手に続いて荒木選手もタイムリー!

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]指:荒木  (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:長坂 (2-1-0 / 0-0 / 1 / 0)

2]一:今成  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃遊:熊谷  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]遊三:北條 (2-1-0 / 0-2 / 2 / 0)

4]二:板山  (3-1-2 / 0-1 / 0 / 0)

5]中:中谷  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]右:陽川  (4-3-0 / 0-0 / 1 / 0)

7]左:緒方  (0-0-0 / 0-2 / 1 / 0)

〃走左:島田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]捕:小宮山 (1-0-1 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]三一:西田 (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手 (打-振-球/失-自) 最速キロ

呂  3回 40球 (2-3-0 / 0-0) 142

石井 4回 56球 (1-3-1 / 0-0) 144

松田 2回 29球 (0-1-1 / 0-0) 146

<試合経過>※敬称略

7回、ヒットとエラーで三塁へ激走する熊谷選手。
7回、ヒットとエラーで三塁へ激走する熊谷選手。

 まず打線から。OBC高島の先発・小田に対して2回、中谷がサードの捕球エラーで出塁し、陽川は内野安打(ショートがよく追いつくも投げられず)、緒方の四球で無死満塁となって小宮山が右犠飛!1死一、三塁から緒方の二盗で二、三塁として西田が中前タイムリー!続く荒木も中前タイムリーで計3点を先取します。

そして板山選手が2点タイムリーを放ちました。
そして板山選手が2点タイムリーを放ちました。

 4回は陽川の中前打と二盗、緒方の四球などでチャンスを作るも追加なし。5回も長坂の左前打、北條と板山の連続四球や長坂と北條のダブルスチールなどで塁上をにぎわせながら無得点。これらにはことごとく併殺が絡んでいました。7回も先頭の西田が中前打したものの長坂は二ゴロ併殺打で2死…。

 しかし、ここからです。熊谷が右前打を放ち、ライトのエラーで一気に三塁へ。北條は四球を選んで二盗成功。そして板山がファーストを強襲する右前タイムリーで2点を加えました!8回は陽川と小豆畑にヒットが出るも、得点なく終了です。

 変わって投手陣。初先発の呂は1回、1死から森と松浪に連打を許したものの、4番・三浦は投ゴロ併殺打で0点に抑え、2回は2奪三振(ストレート)などで三者凡退、3回も1三振(カーブ)を奪って三者凡退でした。

松田投手は8回からの2イニングを1四球のみで無失点。
松田投手は8回からの2イニングを1四球のみで無失点。

 ついで石井が登板して、4回は内野ゴロで三者凡退。5回は2者連続の見逃し三振(ストレート)を含む三者凡退と完璧に抑えます。6回は1死から四球を与え、1番・佐竹に右前打されるも、後続は内野ゴロで断って無失点。7回は1三振(ストレート)を奪って、また三者凡退という内容。

 3人目は松田が4月20日以来の実戦マウンドへ。8回は先頭を146キロの真っすぐで空振り三振に切って取るなど三者凡退、9回は先頭を四球で出すも次は三ゴロ併殺打、最後は中飛に打ち取って試合終了です。

将来は先発で活躍できるように

 矢野燿大監督は呂投手について「今までの中では球の力もあった。まずは強さを出していかないといけない。今までプルペンに入る回数も少なかったし、基礎の部分を高めていかないと。きょうやっと140キロを超える球も出てきた。そういうのができて勝負になる」と話しています。

まずは自身のコンディショニングを整えて、と呂投手。
まずは自身のコンディショニングを整えて、と呂投手。

 呂彦青投手本人は、来日初先発にあたり何か課題を持って臨んだか?と聞かれ「特に課題というものはなくて、いつも台湾で先発していたので、(日本では)初めてですが台湾で投げていたように、いつも通りと思って投げました。意識せずに」と答えました。

 やはり先発で活躍したい?「台湾でもやっていたし、こっちに来て監督やコーチから将来的には先発でいくと言われたので、準備できるように調整していきたいです」

 真っすぐの強さが出てくれば、もっとよくなるという矢野監督の言葉を伝え聞き「まず自分の状況、コンディショニングもしっかり調整して、それから真っすぐの力強さとキレ、コントロールを出していきたいです」と呂投手。この日投げたのはストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ。最速は142キロでした。

石井投手、陽川選手、西田選手

唯一のピンチだった6回も抑え、4イニング無失点の石井投手。
唯一のピンチだった6回も抑え、4イニング無失点の石井投手。

 4イニングを投げて3イニングが三者凡退で、計1安打無失点だった石井投手。記者陣に「プロ入り一番のピッチングでは?」と聞かれ「いい意味で力んで投げられていた、って言われました」と答えたものの、手放しで喜ぶ感じではなかったようですね。まだ足りないものが自分自身にもあるのでしょう。「今はストレートにこだわって精度を上げることに取り組んでいる。変化球じゃなく力勝負できるように」と続けています。

 陽川尚将選手は「何もしていませんよ。ほんまに何もないですよ」と、前日と同じ反応。「公式戦じゃないので…」とはいえ3安打した結果には「公式戦が続くと、なかなか考えて練習とかできないので、そういう中で自分の形を意識して打てるよう準備はしていた」とのことでした。

2回に中前タイムリー、7回にも中前打とマルチ!復帰2戦目の西田選手。
2回に中前タイムリー、7回にも中前打とマルチ!復帰2戦目の西田選手。

 前日に実戦復帰した西田直斗選手は、さっそく9番サード(3回からファースト)でフル出場。2回のタイムリーを含む4打数2安打です。前日は初球を打ってタイムリー、この日も早いカウントでしっかり打てたのでは?「タイミングが取れているかなと思います。ケガをしている時も、いろいろ考える時間があったので、いいバッターの映像を見たり聞いたりしていました」

 意識していることは?「ライト方向に強く引っ張るんじゃなくて、センターから左と思いながらでも、一塁へ走るんで勝手に引っ張ったような感じにはなる。第一に、タイミングを考えてやっています。打つ方向を決めているわけじゃないけど、自分が入っていく方向を間違わないように」

野原監督は1年ぶりの鳴尾浜

1回1死から森選手が左前打で出塁。
1回1死から森選手が左前打で出塁。
続く3番・松浪選手も中前打。
続く3番・松浪選手も中前打。
先発の小田投手は2回に3失点。
先発の小田投手は2回に3失点。

 OBC高島の話もご紹介しましょう。野原監督は、矢野監督と現役時代が重なっていて、ルーキーイヤーの2009年は1軍で一緒にプレーしています。でも試合数はそれほど多くなかったこともあり「自分のことを覚えていてくださった、それだけでもう。光栄です!」と感激の様子。また「こうやって試合を組んでいただいて、本当にありがたいです。選手が一番うれしいと思いますよ」と野原監督。投手、野手ともほぼ全員を試合に出しましたもんね。

 5回途中に登板した坂本将武投手は、ことし2月の宜野座キャンプに打撃投手で参加していたので、選手たちは覚えていたようです。実は1月末に野原監督から「うちの坂本がキャンプのお手伝いに行かせていただくんです!よろしくお願いします」と電話をもらったこともあり、宜野座へ行った初日に探して挨拶をしました。まだ第1クールだったのですが「楽しいです。いい緊張感でやらせてもらっています。本当にありがたい。勉強になります!」と話していた坂本投手。

 この日は1死満塁のピンチでリリーフして中谷選手を併殺打に仕留め、6回はビシッと三者凡退に抑えました。野原監督も「坂本、よかったですねえ」と納得の表情です。試合後に本人と話すタイミングはなかったので、またいつかキャンプでのことなども聞いてみたいと思います。

トラヴィス&モンテル

4回は永井投手。後ろは二盗を決めた陽川選手。
4回は永井投手。後ろは二盗を決めた陽川選手。
5回1死満塁で登板した坂本投手。
5回1死満塁で登板した坂本投手。

 残念ながら佐村トラヴィス幹久投手は、2日前に投げたばかりで登板こそなかったけれど、それでもファンの皆さんは元気な姿が見られて喜んでいらっしゃいます。昨春に入団してからトレーニングや練習に励み、11月の試合で初登板したトラヴィス投手。年明けに少し肩を痛め、最近復帰したところだとか。でももう大丈夫だそうで「チームに貢献できるように頑張ります!」と言っていました。

 それと、沖縄出身の可愛い後輩もできたんですよ!ことし金光大阪高から入った日隈モンテル投手。ヤクルト・日隈ジュリアス投手の弟です。お兄さんと同じく登録名は「モンテル」で投手なんですが、なんと代打出場したからビックリ。試合後に「もしかして二刀流?」と聞いたら「はい!二刀流です」と飛びっきりの笑顔で答えてくれたもんで、こちらもつられて笑ってしまいます。

帰りのバスにて、右からトラヴィス投手、早藤投手、村田選手。
帰りのバスにて、右からトラヴィス投手、早藤投手、村田選手。

 24歳のトラヴィス投手にとって18歳のモンテル投手は、かなり弟分って感じですね。でもモンテル投手は「トラヴィスさんは優しい!」と言ったあと「すごくマイペースで…いや自由で(笑)、すべてにおいてゆっくりしています」と分析。確かに、あわててバタバタする感じはないかなあ。沖縄県人らしく。って、モンテル投手も沖縄ですけど、高校3年間でかなり関西に染まったような“ノリ”がありますね。

試合後の整列。一番大きいのがトラヴィス投手。右端がモンテル投手。
試合後の整列。一番大きいのがトラヴィス投手。右端がモンテル投手。

 そうそう、金光大阪の先輩である陽川選手は、しっかりあいさつに行ったそうで「トラヴィスかと思った~って間違えられました!」と、これまた美味しいネタも披露してたトラヴィス&モンテルコンビ。まあ私も、試合中にベンチから出てくるモンテル選手を見て「あ、トラちゃん」と思ったのは確かです。ただ、全員が整列するとトラヴィス投手はやはり一際大きいのでわかりますけど。

昨年に続いて近畿2次へ!

6回に右前打を放った佐竹選手。
6回に右前打を放った佐竹選手。
2枚を合わせました。右から松浪選手、那珂投手、モンテル投手。
2枚を合わせました。右から松浪選手、那珂投手、モンテル投手。

 10日に行われる都市対抗京滋奈1次予選へ向けて、佐竹誠人選手(主将から今季は選手兼任マネージャーに)は「僕らは挑戦者なので、しっかり挑戦していきます。全力で立ち向かうのみ!2連勝すれば行けるので」と決意表明。

 ちなみに試合後、ベンチ裏から出てきたところでお客様と一緒になり、サインを頼まれたという佐竹選手。「ビックリですよ~。書いたことないのに、生まれて初めてしました!」。セカンドの守備位置から聞こえる、あの大きな声でファンになられたのかもしれませんよ。

 皆さんも、これから都市対抗やクラブ選手権、そして日本選手権の本大会を目指して奮闘するOBC高島の戦いに、ぜひご注目ください。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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