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望月投手は7回を無失点!原口選手と糸原選手が復帰した練習試合《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
実戦復帰した原口選手(左)と糸原選手(右)。望月投手(中)は7回無失点の好投!

 きょう6日、阪神とオリックスとのファーム練習試合(鳴尾浜)は、雨のため中止になりました。そして1軍の今季最終戦(甲子園)も、16時15分に中止が発表されています。おまけに予備日が10日って、何とも言えない空白が…。でも安藤優也投手のラスト登板と引退セレモニーも、来場された方への最終戦ハンドタオルプレゼントも、しっかり10日にあります。どうか好天を祈りながらお待ちください。

 なお鳴尾浜で試合前に予定されていたファームの表彰式は、場所を虎風荘内に変更して行われました。『球団選定ファーム年間最優秀選手賞』には陽川尚将選手、同じく『優秀選手賞』は竹安大知選手が受賞したそうです。陽川選手はウエスタン・リーグの表彰もありますし、竹安投手は前日の1軍初昇格からの初登板初勝利に加え、嬉しい出来事が立て続けですね。来年はずっと1軍で、と2人とも思いを新たにしたことでしょう。

全員安打と、ほぼ全員打点

 さて、きのう5日は鳴尾浜にベースボール・ファースト・リーグ(BFL)選抜チームを迎えての交流試合でした。BFLは関西を中心に活動する独立リーグで、ことしは兵庫ブルーサンダーズ、06BULLS、和歌山ファイティングバーズの3チームで戦っています。和歌山は昨年誕生した新チームで今季からの参入、ただし昨年まであった姫路Go To WORLDが現在活動休止となり、チーム数は3のままです。

 それぞれ監督はNPBのOBで、皆さんよくご存じの方ばかり。兵庫ブルーサンダーズは以前、阪神でトレーニングコーチを務めていた続木敏之監督ですし、この日は井川慶投手が予告先発でしたね。また06BULLSには昨年まで阪神でプレーした坂克彦選手(コーチ兼任)がいます。坂選手は退団後、初めての鳴尾浜だったはず。終始ニコニコと楽しそうでしたよ。 体はかなり細くなっていますが、モミアゲは健在です。

楽しそうに笑う坂克彦選手。スリムになりましたね。
楽しそうに笑う坂克彦選手。スリムになりましたね。
もと阪神トレーニングコーチの兵庫・続木敏之監督(右から2人目)。
もと阪神トレーニングコーチの兵庫・続木敏之監督(右から2人目)。

 今回の選抜チームは監督が和歌山の山崎章弘監督、コーチとして兵庫の続木敏之監督、和歌山の吉田篤史コーチ、06の村上隆行監督、石毛博史コーチが参加しています。ちなみに、この日は選手だけでなく監督やコーチも全員が同じユニホームで、これはリーグ選抜チームで試合をする際に着用するものだそうです。これまで選抜メンバーで対戦した四国アイランドリーグplusも、ルートインBCリーグも個々のユニホームだったので、“お揃い”は初めてかもしれません。

 では試合結果をご紹介します。先発の望月投手が7回4安打無失点、島本投手と榎田投手の左2人がパーフェクトリリーフ。打線は8回の7連打など、出場した10人全員の17安打で16得点でした。しかも、2打席で交代した原口選手を除く全員が、ホームラン、タイムリー、犠飛、押し出し四球で打点を挙げています。

《交流試合》  10月5日

阪神- BFL選抜 (鳴尾浜)

 BFL 000 000 000 = 0

 阪神 100 204 09X =16

◆バッテリー

【阪神】望月-島本-榎田 / 小豆畑

【BFL】兵:井川(3回)-兵:黒田(1回2/3)-06:大坂(1回)-和:永井(0/3回)‐和:服部(1回1/3)‐和:金城(0/3回)‐兵:米田(1回) / 兵:木山-和:高橋(5回~)

 ※バッテリーの表記は、兵:兵庫ブルーサンダーズ、06:06BULLS、和:和歌山ファイティングバーズ

◆本塁打 板山2ラン(黒田)、緒方満塁(米田)

◆二塁打 BFL:星矢、阪神:板山、荒木、陽川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊:北條  (6-3-2 / 1-0 / 0 / 0)

2]二:荒木  (6-3-2 / 0-0 / 1 / 0)

3]指:原口  (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃打指:糸原 (2-1-2 / 0-2 / 0 / 0)

4]左:陽川  (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

5]一:西田  (5-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

6]三:今成  (5-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

7]中:板山  (3-3-2 / 0-2 / 1 / 0)

8]捕:小豆畑 (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0)

9]右:緒方  (4-1-4 / 0-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

望月 7回 93球 (4-9-1 / 0-0) 154

島本 1回 12球 (0-1-0 / 0-0) 144

榎田 1回 9球 (0-1-0 / 0-0) 142

《試合経過》※敬称略

BFLの先発は兵庫の井川投手。今も変わらない太ももでした。
BFLの先発は兵庫の井川投手。今も変わらない太ももでした。
2ランを放った板山選手を、山田監督代行とコーチ陣が出迎えます。
2ランを放った板山選手を、山田監督代行とコーチ陣が出迎えます。
8回の猛攻を締めたのは、緒方選手の満塁ホームラン!
8回の猛攻を締めたのは、緒方選手の満塁ホームラン!
左から今成選手、緒方選手、板山選手、小豆畑選手。並んでベンチへ。
左から今成選手、緒方選手、板山選手、小豆畑選手。並んでベンチへ。

 まず打線。1回は井川に対し、荒木のショート内野安打と原口のセカンド内野安打で1死一、三塁として陽川が中犠飛。1点を先取します。2回は板山の二塁打のみで3回は三者凡退でした。4回は1死から西田が中前打、続く今成の投ゴロで併殺を狙うもショートの送球エラーによって2死二塁となり、板山がライトへ2ラン!これで3対0です。

 6回は2死から板山の四球と盗塁、小豆畑は投ゴロでファーストの捕球エラー、緒方も四球で2死満塁となり、北條が左翼線に2点タイムリー二塁打!続く荒木も中前タイムリーで2人を還します。荒木が盗塁を成功させ、糸原はストレートの四球を選んだものの、ここは追加点なし。とはいえ打者9人攻撃で2安打ながら4点!計7点となりました。

 そして8回。1番からの攻撃で、北條がサード内野安打(ベースを直撃)、荒木は左中間二塁打で無死二、三塁として糸原の中前タイムリーで2人生還!送球の間に糸原は二塁へ、陽川の右翼線二塁打で無死二、三塁となって西田が右前タイムリー。ここで投手交代。無死一、三塁で今成も中前タイムリーを放ち、この回4点目が入って11対0。まだノーアウトです。

 7番の板山の右前打で、この回7連打。これで無死満塁となり、小豆畑が押し出しの四球を選んだため連打は7で止まったものの、まだ無死満塁です。9番の緒方が2ボールからの3球目をライトへ、満塁ホームラン!9点を取って、それでもまだアウトなし。打者一巡して北條が遊飛、荒木と糸原は二ゴロ。ようやく8回が終わりました。

8回は島本投手が三者凡退。
8回は島本投手が三者凡退。
9回の榎田投手も三者凡退でした。
9回の榎田投手も三者凡退でした。

 変わって投手陣。先発の望月は1回2死からヒットを許すも無失点の立ち上がり。2回、3回、4回は三者凡退!5回に先頭の坂をピッチャー強襲の内野安打で出します。望月自身の左足内側に当たったもので、福原投手コーチやトレーナーがマウンドへ向かいましたが、続投。次を遊ゴロ併殺打、ついで見逃し三振を奪い、結果的に3人で片づけています。

 6回はショートへの内野安打のみで、ここまで二塁も踏ませぬ好投。7回は先頭に左中間二塁打を許し、四球などで2死一、三塁と初めてピンチを迎えたものの、最後は変化球で空振り三振を奪って無失点!7回を投げ、4安打9三振1四球という内容でした。8回は島本が、9回は榎田が登板。2人とも1奪三振で三者凡退。完封リレーで試合終了です。

望月投手、“復活の”7イニング

望月投手、この日の最速は154キロ。フォークでの三振も多数です。
望月投手、この日の最速は154キロ。フォークでの三振も多数です。

 山田勝彦監督代行はまず、揃って実戦復帰した原口選手と糸原選手について「あしたも試合があるし(注:6日は中止になりました)、1軍に報告して、あとは1軍の方でどうするかですね」というコメント。

 また望月投手には「ことし一番!低めにも決まっていて、相手どうこうではなく球もよかった」と絶賛でした。そして「本人もよくなってきたところで打球が当たって、でも続けて行ったことに意味がある。7回までの予定だったけど打球が当たってしまった。(ここまでで)いいと言ったら、本人が行くと言った。そこが一番大事なところだし、1軍で求められるところ」と、アクシデントに負けなかった右腕を褒めています。

望月投手に何度もお辞儀をする坂選手。
望月投手に何度もお辞儀をする坂選手。
左足に打球を受けて、少し間を取る望月投手と内野陣。左は福原コーチ。
左足に打球を受けて、少し間を取る望月投手と内野陣。左は福原コーチ。

 その望月惇志投手本人は、今季最長となる7イニングを投げ切り「いつもより変化球のコントロールもまとまっていたかなと。そこを意識しました。自分のピッチングができたと思います」と振り返りました。この日、1軍に初昇格した竹安投手と才木投手のことを聞かれた時は、しばらく時間を置いて「自分のできることをやっていきます」と返した望月投手。そうです。焦る必要はありません。すべては来年のためですから。

 そうそう、ピッチャー返しの強烈な打球を放った坂選手は望月投手を気にして、一塁で帽子を取り何度も何度も頭を下げました。まあ昨年は一緒にプレーした仲なので、お互いに笑顔ですけどね。この回が終わってグラウンド整備中にも、ベンチ前で望月投手がキャッチボールを始めるやいなや、また深々とお辞儀。望月投手も恐縮したでしょう、きっと。

「CSしか見えていない」と糸原選手

左わき腹痛から復帰した原口選手は久々の試合出場。
左わき腹痛から復帰した原口選手は久々の試合出場。
2打席目はしっかりとフルスイングも!
2打席目はしっかりとフルスイングも!

 来年ではなく、あと10日足らずで始まるクライマックスシリーズを目標に据えた復帰組2人の話をご紹介しましょう。まず1軍登録を抹消された直後に左わき腹を痛め、鳴尾浜でリハビリを続けてきた原口文仁選手は8月29日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ)以来の実戦。3番・DHで先発出場し、1回は内野安打(ラッキーヒット?セカンドが処理)、3回は空振り三振、この2打席で交代しました。

 戻ってきた際は「何もないですよ」とひとこと。でも、思いっきりフルスイングしていたのでは?と聞いたところ「まあスイングできたのはいいですけど…」と浮かない表情を見せた原口選手。それはやはり翌朝になってから患部の状態などを見なければわからないということだったのかもしれませんね。でも、きょう6日も全体練習に入っていたので問題はなかったと思われます。

107キロのボールが、糸原選手の右ひじに当たる瞬間!撮れちゃいました。
107キロのボールが、糸原選手の右ひじに当たる瞬間!撮れちゃいました。
当たったあと、しばらく動かなかったのは…「えー!?」という感じですかね。
当たったあと、しばらく動かなかったのは…「えー!?」という感じですかね。

 次に7月19日に右ひざの靭帯を損傷した糸原健斗選手も、それ以来の実戦。原口選手の代打で出て5回は1ボールから死球、6回はストレートの四球、8回が2点タイムリー、一巡して二ゴロという結果です。最初の死球は緩い変化球だったのもあり、当たってから少し立ち尽くしていたような?「はい(笑)」。8回に4球目をファウルするまで、一度もバットを振らせてもらえなかったねと言ったら「出塁するのが大事ですよ」と笑います。

 感想を聞くと「ピッチャーの球を見られたし、タイムリーも出たのでよかったです。すんなり実戦に入れたと思う。感覚が鈍っているというのはない。動いてみて全然問題なかったですね」と収穫ありという様子。そして「CSに向けてやるだけです」と続け、さらに「CSしか見えていないです!」と自ら宣言してくれました。

2人とも納得のホームラン!

 最後はホームランを放った2人に聞いています。まず板山祐太郎選手。2回に二塁打、4回に2ラン、四球2つで8回は右前打と3打数3安打2打点と大当たり。2回の2ランは変化球をうまく打って、フィニッシュで少し“ためて”からバットを投げる仕草に、これはかなりの手応えがあったと確信しましたよ。でもカメラの準備が間に合わず、写真を撮れなくて残念!

3打数3安打の板山選手。2ランを放って生還したところです。
3打数3安打の板山選手。2ランを放って生還したところです。

 「ホームランは(体を)開かずに拾えました。どうしても上体で打ちにいってしまうので、今は下半身で打つのを課題に練習していて、それができたと。前は強い打球を打ちたい気持ちが強すぎて、セカンドゴロやファーストゴロになっていたので、下半身で粘れたのがよかったですね。センター返しで強い打球をとして、うまく拾えたと思います」。まだ2017年は終わっていませんからね。「はい、CSもあるので」

満塁弾の緒方選手。先にホームインした3人とハイタッチ!
満塁弾の緒方選手。先にホームインした3人とハイタッチ!

 8回の猛攻、小豆畑選手が押し出し四球を選んで、なおも無死満塁で打席に立った緒方凌介選手。スタンド中の期待に応えたグランドスラムでしたねえ。打ちそうな気がしたと言ったら「僕も思っていました」とニヤリ。「満塁の、すごくいい場面で自分に回ってきて、ラッキーやなと思った」そうです。打ったのは132キロの真っすぐ。

 「ピッチャーも苦しんでいたので、ストライクが来たら思い切っていこうと思っていたんです。いいとこに来ましたね。しっかり振り切れた、納得のいくスイングが出来ました」と話しています。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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