望月投手153キロ、才木投手152キロ、原口選手と西田選手が1号《8/17 阪神ファーム》

左が2年目の望月投手(20)、右は1年目の才木投手(19)。楽しみな右腕です。

 15日から鳴尾浜で行われたウエスタン・オリックス3連戦は、15日に原口選手と北條選手、16日に高山選手、17日に原口選手と高山選手が1軍から参加しました。これをプロ野球では『お手伝い』と呼びます。決してファームの試合に1軍から“助っ人”で来るわけじゃなく、1軍で出番の少ない野手が打席に立ったり守備についたりする機会を得るためのもの。でもなぜか、監督やコーチも「あしたは上から何人か手伝いに来る」と表現しますね。これもプロ野球の不思議な慣習の1つでしょうか。

 さて、その3連戦の結果は引き分け、逆転負け、逆転負けで1分け2敗…。4位の阪神は3位・中日を追いかけるどころか、5位・オリックスにゲーム差なし(勝率もわずか1厘差)と迫られました。まあ今季は首位から最下位まで、17日現在で8.5ゲーム差。例年ほどの開きはないものの、もう残り試合は阪神で30試合ほどしかありません。そこで個人個人がいかに結果を残すか、どうアピールしていくか。暑い夏が翳りを見せる前に決めなくてはならない、自分との勝負です。

 では17日の試合結果をご紹介します。先発・才木投手の前に先先発?の望月投手が投げました。

《ウエスタン公式戦》8月17日

阪神-オリックス 26回戦 (鳴尾浜)

 オリ 200 010 403 =10

 阪神 000 310 002 = 6

 

◆バッテリー

【阪神】望月-才木-山本-高宮 / 長坂-小豆畑(8回~)

【オリ】コーク(4回)-高木(1回)-○鈴木優(1勝1S)(1回)-八木(2/3回)-塚原(1/3回)-赤間(1回)-佐藤達(1回) / 飯田

◆本塁打 原口1号ソロ(高木)、園部4号2ラン(才木)、西田1号2ラン

◆二塁打 岩崎、緒方、杉本

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]中:高山  (4-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .375

2]二:荒木  (5-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .265

3]一:原口  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .667

〃一:西田  (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .231

4]三:陽川  (4-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .265

5]指:狩野  (4-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .256

6]左:緒方  (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .239

7]右:江越  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .132

8]捕:長坂  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .164

〃捕:小豆畑 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .174

9]遊:植田  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 1) .217

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

望月  1回 28球 (4-1-0 / 2-2 /18.00)153

才木 5.2回101球(8-5-3 / 5-5 / 4.81) 152

山本 1.1回 10球 (0-0-0 / 0-0 / 2.88) 137

高宮  1回 31球 (3-1-2 / 3-3 / 3.95) 138

《試合経過》

2回から7回途中まで投げた才木投手。
2回から7回途中まで投げた才木投手。

 1回の望月は1死後、岩崎の左二塁打と宗の左前打で1死一、三塁として4番・杉本に右前タイムリーを浴びます。園部からは151キロの真っすぐで見逃し三振を奪ったものの、続くモレルに左前タイムリー。2点を先取されました。ついで才木が登板。2回、3回は計3奪三振などで完璧に抑え、4回は2死から飯田に右前打されるも無失点。

 すると、1回と2回は三者凡退で3回にようやく長坂の右前打が出た打線(でも得点なし)が、4回裏に猛攻を見せます。1死から陽川が左前打、狩野は四球で一、二塁として緒方が中前タイムリー!続く江越の右前タイムリーで同点!なおも一、三塁で2死後、植田が左前タイムリー!3対2とひっくり返しました。

原口選手は交代の3打席目、5回にソロホームラン!
原口選手は交代の3打席目、5回にソロホームラン!

 5回は才木が先頭の岡崎に右前打、1死後に岩崎の右前打で一、三塁。3番・宗のタイムリー内野安打(ショート植田、逆をつかれながら素早く戻って捕球!一塁は惜しくもセーフ)で追いつかれます。しかしその裏、1死から原口が高木の初球をレフトへ!打った瞬間にそれとわかるホームランで、再び勝ち越しました。6回は互いに3人ずつで攻撃を終え、7回へ。

 投げきれば自己最長タイとなる6イニング目に入った才木。先頭の岡崎に内野安打、次の根本にも内野安打、岩崎は死球で無死満塁の大ピンチを迎えます。ここで宗に右前タイムリーを許して2人還し、5対4回とまたまた逆転されました。杉本のバントは長坂が捕り、陽川、植田と渡って併殺!2死一塁としたのですが…続く園部にレフトへ2ランを浴びて7対4。才木が降板します。

山本投手は打者4人をピシャリと抑えました!
山本投手は打者4人をピシャリと抑えました!

 代わった山本は、その後と8回を完璧に抑える見事な仕事ぶり!しかし9回の高宮がピリッとしません。根本に右前打、岩崎は四球、宗の犠打で1死二、三塁となり、杉本に左越えの2点タイムリー二塁打。さらに2死後、モレルに四球を与えて7番・飯田に中前タイムリー(高宮の体の脇を鋭く抜けていく当たり)を浴び2点目を与え、10対4と大きくリードされました。

 その裏、高山の右前打などで1死一塁として、途中出場の西田がカウント1-1からの3球目を振り抜き、ライトへの今季1号ホームラン!2点を返しますが、反撃はそこまで。10対6で試合終了です。

才木「100球を投げ切る」課題

 試合後の掛布雅之監督は、才木投手について「力はあるし、角度もある。あとはスタミナなんだろうね。きょうは100球がメドだった。6回で代えてもよかったんだけど、もう1イニングと言われたんで。俺は途中で代えたくなかったんだよね。長坂にも才木にも残るものがないから。あそこで何も背負わずに代わるのは、2人にとって何の意味もないんですよ」と振り返りました。

7回のピンチ、マウンドで話す長坂選手(左)と才木投手。
7回のピンチ、マウンドで話す長坂選手(左)と才木投手。

 7回、あのイニングを投げ切っての交代こそが、ルーキーバッテリーにとって意味があるということだと思われます。そして「才木は100球を投げる難しさを知ったでしょう」とのこと。

 久保康生投手コーチには2人のことを聞いています。まず望月投手。「しっかり投げられている。腰を痛めてからの、復帰の段階として順調。あす何ともなければ、次はイニングを少し伸ばしていくつもりです」。また才木投手には「きょうは100球を“投げきる”という課題でした。明らかに2回り目で捕まってしまったけど、これは顕著に出ていいところ。練習の材料があるということだから」とコメント。

 「この夏を乗りきって秋になれば、ずいぶん変わりますよ」と久保コーチは笑顔でした。高校出の選手たちは、実りの秋が一番楽しみでもありますね。

自分自身と勝負してしまう反省

 では選手の話をご紹介しましょう。まず望月惇志投手。1週間前の9日、ウエスタン広島戦(鳴尾浜)で約5か月ぶりに実戦復帰しました。その時は6回1イニングを投げて4安打2失点。きのうは2度目の登板で、同じく1イニングの予定ながら“先発”で投げています。思うに、この日は1軍の金本知憲監督が才木投手を視察するため訪れるので「最初に持ってきて望月投手も」ということではないでしょうか。あくまで推測ですが。

 試合後の望月投手は「前回の試合で思った以上に力が入って真っすぐが高かったですし、高くてシュートする球が多かった。だから、きょうは低めを意識して、自分のリズムや体の使い方で、ブルペンでやっているように入っていきました」と言います。しかし「ほぼ、できていなかったですね…。きょうは全然できなかった」と反省の弁。また、変化球を多めにと言っていたけど今回は?「少なかったですね」と、やはり反省。

試合後にポール間をランニングする望月投手。
試合後にポール間をランニングする望月投手。

 そのあたり、思ったことができない原因として「試合で、自分と勝負しているというか。自分の中で、力を入れすぎないとかボールを低くするとか考えながらやっているからかなと。バッターとの間(ま)を意識したりすることも出来なくて。それが出来れば、自ずとボールは低めにいったりするのかも」と自己分析しています。

 次に向けて変えていくことは?「もう2度投げさせてもらっていますし、3度目も真っすぐを狙われているのに高くいって打たれたりはダメだと。1試合1試合、何かを変えて何かをつかまないと、って思います。いろいろ変えてはいきたいです」。腰の状態が問題なければ、少しずつイニングを増やしていくでしょうね。でも焦らずに。いつか大きな花を咲かせてくれると信じて待っていますので。

先発としてのスタミナが足りない

 次に才木浩人投手。先発と言っていい登板ですが、形としては2人目でした。そのあたりの“入り”はどうかと聞かれ「特に気にしていなかった」と答えています。1イニング目の2回、2イニング目の3回とパーフェクトピッチングで、これは“自身プロ一(いち)”くらいの出来だったのでは?「でも5回、6回、7回と先頭を先頭を出してしまったので…。点を取ってもらった次の回に先頭を出してしまったり、その入りがよくないです」

2回と3回は素晴らしいピッチングを見せた才木投手です。
2回と3回は素晴らしいピッチングを見せた才木投手です。

 最初の2イニングは、やはり飛ばしていた?「自分で飛ばしているという意識はなかったけど、腕は振っていましたね。後半バテたのはスタミナ不足かなと。先発するスタミナが課題だと思います」。なるほど。ちなみに152キロが3球くらい出ていたけど、自己最速?「152出てたんですか?はい、最速です」。151キロもプロ最速だったので、さらに更新しました。

 金本監督が来られていたのは「一応、事前に聞いていました」とのこと。前回とは違って?「はい、今回は事前に(笑)。でも、そんなに意識はしてないですね」。真っすぐの感じは?「序盤は、よくなってきていると思いました。それをどれだけ継続できるか」。そして7回を振り返り「あのホームランも配球の勉強になりましたし、いい経験をさせてもらっています」。掛布監督の言う“100球を投げる難しさ”をも体感できたことが収穫でしょう。

 なお他の投手に比べて登板間隔が長めの才木投手。そこに雨とかも絡み、さらに空くことも。その間はどんなふうに調整しているのかという質問に「自分は調整に使うというより、トレーニングとか技術面とかに充てていきたいと思ってやっています」と答えました。そうですね。昔よく投手コーチに「若い選手に“調整”はない。すべて練習、勉強」と教えられたことを思い出します。

“鳴尾浜研修”・2試合目はHR

 最後は、ホームランを放った2人に話を聞いてみました。言葉は少なめですけど、書いておきます。2人とも今季1号なんですね。

15日に続いて、今季2度目のファームでの実戦となった原口文仁選手は3番ファーストで先発出場。1回が2死ランナーなしで初球を打って遊ゴロ、4回は先頭でカウント2-2からの7球目を打って遊邪飛、そして3対3に追いつかれた直後の5回は1死からレフトへソロホームラン。初球、140キロの真っすぐを打っています。

★HRを打って戻る原口選手に、掛布監督が右手を上げてひとこと。
★HRを打って戻る原口選手に、掛布監督が右手を上げてひとこと。

 「どこまで飛びましたか?」という問いが最初の言葉なので、かなり好感触だったのでしょう。「うまく打てた。よかったです」と流れる汗をぬぐう原口選手。打ってベンチ前へ戻ってきた時、出迎えた掛布監督が右手を後ろに引くジェスチャー(★写真をご覧ください)で声をかけました。あれは何と言っていたのかを聞いたら「ああ、あれは『止まってたねえ!』だそうで」。打ちに行く瞬間の上半身の動きですかね。

 その身振りをしながら、ちょっと掛布監督のモノマネっぽい口調だったので笑っちゃいました。でも「腰が早く開かなかったから(上半身も)止まっていたんだと思いますね」という原口選手の言葉です。つまり、1年4か月ぶりに出場したファームのゲームで掛布監督からもらったワンポイントアドバイスの、その先にホームランがあったということかもしれません。

 掛布監督は「原口のホームラン、前の壁ができていたね。いい形の2試合だったんじゃない?」と振り返っています。

オリックスキラーの本領発揮?

ホームインした直後、高山選手に頭をなでなでされています。いいですね、同級生。
ホームインした直後、高山選手に頭をなでなでされています。いいですね、同級生。

 そして西田直斗選手は試合後、ある記者から「オリックスキラー!」と呼ばれて「ほんまオリックスばっかりや」と笑いました。詳しくは、昨年8月21日に公開した記事をご覧いただけばお分かりでしょう。 →<西田直斗選手がプロ3本目の満塁ホームラン!しかし9回に悪夢が…>

 ウエスタン公式戦のホームランが通算8本目となり、そのうち5本がオリックス戦ってことです。この相性の良さはすごい!これが今季1号だったのですが、彼にしては意外と“普通”の一発でした。というのも上記の記事に書いているように、2014年は2本ともが満塁ホームランで、しかも5月7日のオリックス戦で放った1号のあと、10日後にまたオリックスから満塁弾ですもんねえ。

 そして昨年は1号が、ことしと同じ8月17日に放った人生初のサヨナラホームラン(これはソフトバンク戦)で、その3日後にまたオリックスから逆転満塁ホームランを打っています。ここまで派手なものが並ぶと、先ほど書いた“普通の一発”というのが如何に普通か…わかっていただけましたか?

 

カメラを向けたら、こんな顔になっちゃいました(笑)。西田選手。
カメラを向けたら、こんな顔になっちゃいました(笑)。西田選手。

 その今季1号2ランは「行ったかな?とは思ったけど、そんなに打った瞬間!って感じではなかった」そうです。「打ったのはツーシームだと思います。まっすぐを狙っていたとこで、ツーシームかフォークが来て、うまく反応できたのでよかった」と西田選手。支配下に戻れたことは1つの通過点です。ことしは、何が何でも1軍に昇格して数字を残してこないといけませんからね。周囲のライバルにも、自分自身にも勝って切符をつかんでください!