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阪神タイガース安芸キャンプ ルーキーバッテリーが浴びた西武・森の一発《2/23》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
西武との練習試合で“プロ初先発”した、ドラフト6位ルーキー・福永投手。

阪神タイガースの春季キャンプは、きょう24日が最後の休日となりました。早いもので、あすから残り4日間の最終クールですね。沖縄・宜野座組はいよいよオープン戦(25日に名護で日本ハム、26日は北谷で中日)がスタート。安芸も25日が韓国のハンファイーグルス、26日が四国ILplusの高知ファイティングドッグスとの練習試合が組まれています。宜野座はちょっとお天気が心配ですけど、安芸の方は大丈夫そうな予報。最後の土日でお客様もきっと多いでしょう。

さて23日は西武ライオンズを安芸に迎えて練習試合が行われました。西武とは12日の安芸、18日の春野に続いて3度目の対戦ですが、今回は野手の顔ぶれが少し変わっています。宮崎県の西都で一次キャンプを行っていたA班(1軍)が高知県へ移動してきて、21日から春野二次キャンプをスタートさせているためで、スタメンにも中田選手、永江選手、山川選手、呉選手らの名前があります。なおB班は24日でキャンプ打ち上げ。もともとB班にいた森選手など、何人かA班に合流するような話も聞きました。何年か前の阪神と同じですね。

そんなわけで、西武のオーダーも書いておきます。1]右:斉藤、2]二:水口、3]三:呉、4]一:山川、5]捕:森、6]中:愛斗、7]左:大崎、8]指:中田、9]遊:永江。4番の山川選手が2点タイムリー二塁打、5番の森選手がソロとタイムリーの2打点としっかり結果を出しています。投手陣はすべてB班で、しかも18日の試合とまったく同じ、順番が変わっただけでした。

球場敷地内にある河津桜は、毎年この時期に咲きます。
球場敷地内にある河津桜は、毎年この時期に咲きます。
試合はご覧のような結果になりました。
試合はご覧のような結果になりました。

《練習試合》2月23日

阪神- 西武 (安芸)

西武 010 102 000 = 4

阪神 010 000 000 = 1

◆バッテリー

【阪神】福永-高宮-守屋‐柳瀬‐桑原 / 長坂‐小宮山(7回~)

【西武】誠(3回)-岡本(2回)-岩尾(1回)‐福倉(2回)‐藤原(1回) / 森‐駒月(8回~)

◆本塁打 森ソロ(福永)

◆二塁打 水口、陽川、西田、山川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]右左:緒方  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]二中:大和  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]中右:伊藤隼 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]三:陽川   (4-1-0 / 1-0 / 0 / 1)

5]左一:新井  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

6]指:狩野   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:小豆畑 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]一二:西田  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

8]捕:長坂   (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃打捕:小宮山 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

9]遊:森越   (3-0-1 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

福永  3回 46球 (2-2-1 / 1-1) 144

高宮  2回 33球 (3-0-0 / 1-1) 136

守屋  1回 28球 (3-2-0 / 2-2) 142

柳瀬  1回 11球 (1-0-1 / 0-0) 141

桑原  2回 35球 (1-5-1 / 0-0) 145

試合経過

西武・森選手の1打席目、初球のカーブを
西武・森選手の1打席目、初球のカーブを
バックスクリーンへ持っていかれました。
バックスクリーンへ持っていかれました。

福永は1回、1死から水口に左中間二塁打を浴びますが2死後、飛び出した二塁走者を自らタッチしてアウトに。2回は4番・山川を初球で中飛に打ち取ったあと、続く森にやはり初球(111キロのカーブ)を右中間へ放り込まれました。右中間と言ってもバックスクリーンの、阪神のオーダーあたりにガツンと当てられた豪快弾!しかし以降をしっかり抑え、3回も簡単に2死を取り、1番・斉藤に四球を与えたものの長坂が走者を刺して3人で終了。3イニングを投げ2安打1失点です。

2人目は高宮投手。森選手のタイムリーで1失点です。
2人目は高宮投手。森選手のタイムリーで1失点です。
守屋投手は山川選手に2点二塁打を許しました。
守屋投手は山川選手に2点二塁打を許しました。
7回は柳瀬投手が0点に抑えます。
7回は柳瀬投手が0点に抑えます。

4回は高宮が登板。先頭の水口に右前打と盗塁を許し、2死後に森の中前タイムリーで1点。5回も先頭の大崎に右前打されますが、次の中田の右飛でもう二塁へ到達してしまっていた大崎の代走・鈴木。おかげで難なく併殺、3人で片づけました。6回は守屋が斉藤、水口の連打で無死一、二塁として1死後に山川に右中間へ2点タイムリー二塁打。2死後にエラーがあったものの、ここは2点で終わらせています。

7回は柳瀬と小宮山のバッテリーで、死球で出した先頭打者を続く永江の二ゴロ併殺打で片づけ、斉藤は中前打するも小宮山が素晴らしい送球で盗塁阻止!柳瀬の投球もナイスでしたね。まだ三者凡退のない阪神投手陣ですが、この回も3人で終了しました。8回は桑原がマウンドへ。1死から3番・呉に中前打され2死後、森に四球を与えるも山川と愛斗は空振り三振。そして9回は真っすぐとスライダーで3者連続三振!桑原が2イニングで5三振を奪い、阪神投手陣の奪三振は9となりました。

変わって打線。1回は三者凡退でしたが、森のソロを浴びた直後の2回裏は先頭の陽川が左中間へ二塁打、続く新井は四球を選んで2死後に長坂の右前打で満塁!まず9番・森越の四球で押し出し、1対1の同点とします。(唯一の打点、と言ったら森越選手は「目立たないところで貢献」と笑っていました)。なおも2死満塁、緒方は3球で見逃し三振を喫して1点止まり。3回は三者凡退です。

相当痛かったと思われる小宮山選手の死球…
相当痛かったと思われる小宮山選手の死球…

4回は2死後に西田が左越えの二塁打を放ち、長坂も四球を選んだものの得点なし。5回は大和の左前打1本のみ、6回は西田の四球のみです。さらに7回、8回と西武4人目の福倉にパーフェクトピッチングを許し、9回は藤原から小宮山が死球で出塁しただけで最後は森越の右邪飛で試合終了。

※小宮山選手の死球は右足首とふくらはぎの間あたりで、当たった瞬間に「あいたーっ!」と大声で叫び、あまりの痛さに歩けないほど。帰りにも、テーピングした足をまだ引きずっていたことを付け加えておきます。

4安打で押し出しの1点のみ…

掛布監督は、まず「バッティングカウントの時の内容がよくなかったですね。2‐0とか2‐1とかで、自分から仕掛けていくのがなかった」と振り返りました。福永投手には「ゲームの方が彼らしく攻めてくれて、おもしろい球も投げていた。森のホームランは、あれはバッテリーで対応するところでもあるね。だけど崩れることなく、自分の投球で勝負できていたんじゃないかな。(3回2死からの)フォアボール、あれは出しちゃダメ」と注文も。

なお久保投手コーチの福永投手評は「ゲームの中でしっかり投げている。全然問題ないですよ。ホームラン?あれは出会い頭。これから、どんどん投げさせて経験を積ませたい」というものでした。

8回と9回で5三振を奪った桑原投手。
8回と9回で5三振を奪った桑原投手。

最後に投げ、8回は1安打1四球ながら無失点、9回は3連続三振と抑え込んだ桑原投手について「去年のシーズン終盤は抑えを任せてして、そのあたりから調子を維持している。年齢も含め、覚悟をもって来ているんじゃないですかね」と掛布監督。また今キャンプの練習試合が残り2つで「3月になったらサインとか出して、チームで戦っていく。打順の入れ替えもあって、2月とは変わってくると思います。残り2試合だけど、テーマは “ケガするな” です」と話しています。

初球のカーブを森に打たれたバッテリー

福永投手は初めての先発にも「そこまで緊張することなくいけました。ずっと先発をしてきて、入り方とかは慣れているので」と平常心で臨めたようです。西武・森選手のホームランは「前のバッター(山川選手)が初球を打ってセンター前だったので、初球から来ないかなと。低めに丁寧に変化球をと思ったら…拾われました。思いっきり。次の課題はそういうとこです。ホームランバッターに対しての初球、不用意に入りすぎました」と反省しきり。

初先発の福永投手。実戦が楽しみなピッチャーです。
初先発の福永投手。実戦が楽しみなピッチャーです。
長坂選手は2回にチャンスを広げる右前打。
長坂選手は2回にチャンスを広げる右前打。
4回は四球の前にバットを折られました。
4回は四球の前にバットを折られました。

森選手とは18日の練習試合(春野)でも対戦しており、その時も打たれていますが、ポテンヒットだったそうです。この点は長坂選手の言葉も、のちほど。福永投手は「やっぱり(森選手は)、しっかり初球から自分のスイングをしていますね。そういうバッターに対して、どの球種でも打ち取れるようにしたい。これから試合を重ねていくごとに、いいバッターと対戦して感じられるものがあると思うので」と話しています。練習試合での初失点も初被弾も、すべてを糧にする気合いが表れていました。

ホームランのあと、キチッと立て直したのがよかった?「そうですね。1本打たれてから、より力を入れて投げられました。それ以降はよかったと思います」。また、この日はもと監督の和田豊さん、OB会長の川藤幸三さんが視察に訪れ、川藤さんは「沖縄組に対してナニクソと、金本監督を振り向かせるくらい頑張れ!」と安芸メンバーを激励したそうです。それを伝え聞き「いつ呼ばれてもいいように、しっかりピッチングコーチと話しながらやっていきたい。課題を今のうちに勉強して」と福永投手。

では、リードした長坂選手のコメントです。まず初めてのスタメンマスクについて「特に意識はなかったです」とのこと。森選手のホームランは「ストレートを狙っているんだと。前の試合(18日)で、詰まらせてバットを折りながらセンター前に落とされたんです。それを森くんが覚えていたら、ストレートに意識あるかなと思ってカーブを投げさせて…うまく打たれた。1軍のバッターはストレートを待っていても、強引にいくんだろうなと思いました」と言っています。いつか1軍の交流戦でお返しをするバッテリーを楽しみにしましょう。

二塁打の陽川&西田

二塁打は先頭の初球で写真が間に合わず…。二塁上の陽川選手です。
二塁打は先頭の初球で写真が間に合わず…。二塁上の陽川選手です。

陽川選手は練習後に話しかけると「何もないですよ。何もしてませんよ」と去りかけます。いやいや2回の1打席目、初球を打って二塁打を放ち、森越選手の押し出し四球で唯一の得点でした。「打ったのは高めの真っすぐだと思います。初球からいけた。それはよかったです」。右飛に終わった3打席目が悔やまれる?「あそこですね。あそこは仕留めなあかんと思っていました」。いつも言っている“打ち損じをなくすこと”ですね。2ボールからの3球目を一発で仕留めたかったと。

特打の時に川藤さんから何か?「沖縄組に負けんなよ!と言われました」。それについて「沖縄を意識というか、いま自分のやっている課題をモノにしないと。それができないと上に上がっても同じ結果になる。残り1クール、しっかりつかんでいきたいです。まず、形もそうですけど強く振ること。その中で形を作っていけたら」と陽川選手。連日の特打、成果は出てきたかと聞かれ「まだまだです」と答えました。それにしても、練習メニューを見ると毎日のように『特打・陽川』と書いてありますね。「ありがたいです!」

4回にレフトへ二塁打を放った西田選手。
4回にレフトへ二塁打を放った西田選手。

最後は、4回に二塁打を放った西田選手です。「1打席目に三振して、完全に前へ突っ込んでいるなと。足も使えていなかったし。次の打席は、ゆったりと後ろを大きめにと思って。大げさに言うと、メッチャ後ろに体重をかけていった。よかったです!次(3打席目が四球、4打席目で一直)は意識しすぎて、ちょっと(笑)。久しぶりにいい当たりの長打が出たので、まだまだ納得はしていないけど、ああいうのが増えてきたらいいなと思いますね」

今岡打撃コーチにトスしてもらって、延々と打ち続ける姿を日々見かける今キャンプ。自分では「安芸太り」と笑っていますが、大きくなった下半身でパワフルな打球を飛ばす西田選手が楽しみな春です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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