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横田、“気持ち”でつかんだ開幕1軍!/陽川、交流試合で逆転2ラン!《3/23 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年の陽川選手(右)と横田選手(左)。揃って1軍で見たい『YYコンビ』です。

きのう23日、阪神タイガースは廣田神社参拝のあと1軍は京セラドームで練習、ファームは鳴尾浜で四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズとの交流試合でした。そして午後に公示された今季最初の出場選手登録。新外国人や移籍選手以外では、5年目の歳内投手、4年目の北條選手、3年目の横田選手、そしてドラフト1位ルーキー・高山選手が初めて開幕1軍メンバーに選ばれています。

緒方選手と江越選手は昨年に続いて、荒木選手は2013年以来3年ぶり2度目の開幕1軍。狩野選手は2010年以来です。この年は外野での出場が多かったものの登録はまだキャッチャーで、それ以来6年ぶりです。また岡崎選手は、1軍初出場の年でもあったプロ5年目の2009年以来、7年ぶりの開幕1軍となりました。

「切り替えて、一から」と北條

では、ことし初めて開幕を1軍で迎える選手に聞いた話を…といっても高山選手のひとこと、短めの北條選手と横田選手のみですが、ご紹介します。

高山選手は、京セラドームの練習を終えて寮へ帰ってきたところで、開幕1軍おめでとう!と言ったら「ありがとうございます」と笑顔。キャンプ終盤とオープン戦で1軍は経験したけど、公式戦は違うかな?「どうでしょう。まだ実感はないですねえ」と首を傾げました。何もかもが初めての1年目で、いきなり開幕スタメン、しかも1番と金本監督が名言しています。さすがに緊張するだろうなあ。

甲子園でのウエスタン公式戦。今年はもっともっと満員の甲子園で!北條選手。
甲子園でのウエスタン公式戦。今年はもっともっと満員の甲子園で!北條選手。

北條選手は「1つの目標だったので」と少しホッとしたような表情を見せ、すぐに「でも嬉しがってる場合じゃない。これからです」と顔を引き締めました。でも沖縄キャンプ、オープン戦を経て“ことしはいけるかも?”と感じたのでは?「いや、もう必死にやっていました。後半全然ダメだったけど…決まったので切り替えて。また一からやります!」

夕方には高山選手、横田選手と一緒に決起集会へ出かけていった北條選手。サードを守るんでしょうか?そういえば初めて1軍に昇格した2014年のこと。試合出場はなかったのですが、試合中のベンチで「サードは無理やなあ。ファームでもやってないのに。代打でいい。代打だけでいい」と、つぶやいていたんですよね。それを思い出しました。でも今はもう大丈夫。どこでも守るにしても、チャンスをものにしてください。

横田、変わったのは気持ちだけ!

横田選手は開幕1軍どころか、1軍公式戦も初めて。「緊張するかどうか、まだわからない」と言っていたんですが、きのう京セラドームでの練習後には「緊張すると思います」に変わっていました、さすがに。開幕1軍の感想を聞くと「特にはないんですけど、これまでと同じ気持ちで今後もやって結果を残したい」という答え。練習試合やオープン戦で結果を残したと思いますが、自分としては出来すぎ?それともまだ足りない?「まだまだですね」。もっと何を?「走攻守すべて、まだまだです」

横田選手も昨年のウエスタン公式戦(甲子園)のもの。ことしの写真がまだ1枚もない…
横田選手も昨年のウエスタン公式戦(甲子園)のもの。ことしの写真がまだ1枚もない…

横田選手ならではの内野安打は何度か見ました。でもホームランが出ていません。その点は「まったく気にならないです」とのこと。まあ常に狙っていないと言っていますしね。1軍にはもうすっかり慣れた?「少しは慣れました」。まだ “少し” ってところが初々しくていい(笑)。1年目は頑張りすぎて腰を痛めてしまった横田選手だけに、そのあたりはちょっと心配です。自分で自分の加減を見極めてください。

結局、一度もファームに来ることなく1軍の開幕を迎え、今もなお「絶対に落ちたくないっていう気持ちで毎日やっている」と言います。目標を尋ねたら「数字とかはまったくないです。一日一日、必死でがむしゃらに食らいついていきます!」というコメント。そして、去年までと変わったことは「特にはなくて、気持ちだけ」と横田選手。最後に、ライバルは?と聞いたら「いないです」という答えでした。

それと、きのう対戦した香川オリーブガイナーズの西田真二監督は、ちょうど寮へ帰ってきた横田選手を見つけて「おお~横田!頑張っとるなあ」と大きな声をかけ、その後ろにいた北條選手に「おお~北條もな!」とニコニコ。2人揃って開幕1軍ですと伝えると、西田監督は「ここで試合をした時のこと覚えとるもんな。又吉とか投げてたやろ?それが2人とも1軍か。僕も嬉しい。頑張れよ!」と激励されました。ありがたい祝福ですね。

香川OGと2年ぶりの対戦

掛布監督(左)と香川OGの西田監督の握手。
掛布監督(左)と香川OGの西田監督の握手。

さて、お待たせしました。きのう23日に行われた四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズとの交流試合の結果をご紹介します。1軍先発陣の岩田投手、藤浪投手が投げると新聞等で予告されていたこともあり、平日の、しかも交流試合とは思えない人出で、まさかの入場制限と言う事態にビックリ!

試合は、先に岩田投手が1点を失いますが、陽川選手の2ランなどで逆転勝ち。全部で9四球をもらった割には控えめな得点だったかもしれませんねえ。ちなみに香川OGとは2014年4月1日以来の対戦で、その時は4対0の完封負けでした。なお写真が攻撃のみで、本文と合わない点はご了承ください。

《交流試合》3月23日

阪神- 香川 (鳴尾浜)

香川 010 000 000 = 1

阪神 000 300 01X = 4

◆バッテリー

【阪神】岩田-藤浪-ドリス / 岡崎-梅野(5回~)

【香川】間曽(5回)-エドワーズ(1回)-アストーン(1/3回)-原田(2/3)-田中(1) / 古川-白橋(5回~)-高島(7回~)

◆本塁打 陽川2ラン(間曽)

◆二塁打 古川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中右:俊介  (5-3-1 / 0-0 / 1 / 0)

2]遊:植田   (4-0-0 / 0-1 / 1 / 0)

3]一:新井   (2-0-0 / 0-2 / 0 / 1)

4]三:陽川   (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

〃打三:森越  (1-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

5]指:原口   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:小豆畑 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]捕:岡崎   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:梅野   (2-0-0 / 0-3 / 0 / 0)

7]二:西田   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 1)

8]左:一二三  (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

〃左中:中谷  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]右左:板山  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

岩田  4回 58球 (4-1-0 / 1-1) 143

藤浪  3回 48球 (1-2-3 / 0-0) 149

ドリス 2回 30球 (0-5-0 / 0-0) 152

試合経過

4回、逆転2ランの陽川選手を迎える掛布監督と…あら、ベンチの選手が少ないですね。
4回、逆転2ランの陽川選手を迎える掛布監督と…あら、ベンチの選手が少ないですね。
同じく4回、中前打の岡崎選手。
同じく4回、中前打の岡崎選手。
続く西田選手は、グッと腕を伸ばしたあと四球を選びます。
続く西田選手は、グッと腕を伸ばしたあと四球を選びます。

まず“豪華な”投手リレーから。先発の岩田は三者凡退で立ち上がりましたが、2回は先頭・宗雪に左前打され、内野ゴロ2つで2死二塁として、7番・古川に左中間へのタイムリー二塁打。先に1点を失います。3回は1死からヒットを許すも岡崎が盗塁を阻止するなど3人で片付け、4回は先頭をファースト新井のエラーで出し、2死後に6番・白橋に先前打されますが、自身の牽制で3アウトとしました。予定の4イニングを投げ4安打1失点です。

ついで藤浪。5回は1四球のみ、6回は先頭を死球で出したものの併殺打など3人で終了。7回は1安打1四球と走者を出しながら、相手の走塁ミスもあって無失点。8回までの予定を予定を切り上げ、4イニングで交代しました。聞けば、登板前のブルペンで多く(60球以上)投げたからとのこと。

次の一二三選手が左前にタイムリー!
次の一二三選手が左前にタイムリー!
二塁から岡崎選手が滑り込んで3点目。
二塁から岡崎選手が滑り込んで3点目。

そして3人目のドリスが繰り上がって登板。8回は1死からセカンド西田のエラー(走りながら捕球を試みるも、つかみきれず)で出し、三振で2死を取ったあと盗塁も許しますが、ここも三振で無失点。9回は3者連続三振!というわけで、8回から9回にかけ5者連続の空振り三振でスタンドを沸かせました。

打線は1回、俊介が右前打して1死後に盗塁を決めるも後続を断たれ、2回と3回は三者凡退と抑え込まれます。しかし4回、1死後に新井が四球を選んで続く陽川が左中間へ2ラン!さらに2死を取られてから、岡崎が中前打、西田は四球で一、二塁。一二三が左前タイムリーを放ってもう1点!板山の四球で満塁と攻めますが、ここは追加点ならず。それでも3対1と逆転成功です。

8回にタイムリーを放った俊介選手。グラブ持ってきて~
8回にタイムリーを放った俊介選手。グラブ持ってきて~
交代してベンチにいた陽川選手が持ってきてくれました。笑顔!
交代してベンチにいた陽川選手が持ってきてくれました。笑顔!

5回、6回は1四球ずつで得点なし。7回は板山が四球を選び、俊介の左前打で三塁を狙うもタッチアウト。この間に二塁へ進んだ俊介が三盗を決め、植田は四球。植田も盗塁成功、新井の四球で1死満塁となります。ここで投手が代わり、森越と代打・小豆畑は連続三振で3者残塁。四球でもらったチャンスを生かせません。

8回は1死から西田が粘って四球を選び、2死後に板山は中前打を放って一、二塁。続く俊介が中前タイムリー!なおも2死一、三塁で植田は投ゴロに倒れて1点止まり。阪神は7安打3三振9四球で4得点、香川は5安打8三振3四死球で1点という内容でした。

2ランの陽川、今季初適時打の一二三

まず4回に逆転2ランを放った陽川選手のコメントです。「打ったのはカットボール。感触はよかったけど、弾道が低かったので、どうかなと思いました」。公式戦と合わせて、ここ6試合で4本目のホームランですね。「結果が出るのはいいことなので続けたい。でも、その前のストレートを仕留めたかった。自分としては」。ホームランにした、その前の球を仕留められずファウルになったことを悔やんでいます。

4回に逆転2ランを放った4番・陽川選手(左)と、四球で先に生還した新井選手。
4回に逆転2ランを放った4番・陽川選手(左)と、四球で先に生還した新井選手。

「ストライクゾーンに来た球は、しっかり自分のスイングをできるように心がけている」と話す陽川選手。現状はどうかと聞かれ「まだまだ打ち損じが多いと思うので(監督やコーチに)言われたことは継続しつつ、その中で自分に合うもの、と思っています。そこは一日一日、練習で取り組んでいきたい」と答えました。ホームランが出ているのは、そのストライクゾーンの球をスイングできているかな」というのはあるようですが「もっと確率を上げていけるように」とも。

次は、同じく4回に左前タイムリーを放った一二三選手です。一二三選手は安芸キャンプの初実戦(2月11日、ハンファとの練習試合)で押し出し死球による打点はありましたが、タイムリーは今季初。しかも鳴尾浜でのヒット自体が、今月10日の紅白戦で打った三塁打(もしくは二塁打とエラー)だけなので、対外試合では初だったんですね。ナイスバッティング!と声をかけたら「はい」とひとこと。打ったのはスライダーだそうです。久しぶりに見たと言うと、ただ笑っていました。

今季初タイムリーの一二三選手。鳴尾浜での試合は、これでしばらく見られないのかも。
今季初タイムリーの一二三選手。鳴尾浜での試合は、これでしばらく見られないのかも。

4月に開幕するルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズへ約3ヶ月の派遣が決まっている一二三選手。いつから行くの?「もうちょいっす」。頑張って。「はい!」。今月中には金沢へ行ってしまうようですね。チームを離れて修行に出るからには、出場機会が増えて何かをつかんでこられるよう祈っています。また様子を見に行かなくちゃいけませんね、皆さん!

3安打した俊介、3四球を選んだ西田

俊介選手は8回のダメ押しタイムリーを含む3安打。みんないい当たりでしたね。「ありがとうございます」。開幕1軍は逃したけど…と聞きにくいことを言いかけたら「はい、やるだけなんで。頑張りますよ!」と、思いのほか爽やかな笑顔が返ってきました。きっと俊介選手が必要とされる時が来ますからね。ここで目一杯チャージして、その時に備えてください。

ヒットはなかったものの3四球を選んだ西田選手にも、少し話を聞いています。4回はチャンスを広げ、8回は板山選手と俊介選手の連打につないで、得点を記録しました。その3四球について「最後(8回)はよかったですけど…その前の2つは誰でもフォアボールになった」と苦笑い。確かに4回はストレート、6回は3-1からでしたね。でも8回はファウルでよく粘ってのもの。

俊介選手のファウルボールが背中に?痛がる西田選手に掛布監督が「にしだ~」とゲキ
俊介選手のファウルボールが背中に?痛がる西田選手に掛布監督が「にしだ~」とゲキ

ところで、きのうはセカンドでフル出場した西田選手。「セカンドは、ことし初めてです」。前に出て捕ろうとしたエラーだけに惜しかった。「はい」と、かなり悔しそうでしたが「これからも前へいきますよっ!」とキッパリ。

開幕1軍メンバーで試合に出ていた岡崎選手、梅野選手は荷物を積んで帰っていきました。他の選手は25日からの広島戦(由宇)と29日からのソフトバンク戦(タマスタ筑後)に向けて荷物出し。その中で植田選手は今回の遠征に参加しないと言っていました。今シーズンはケガしない体力を作るため、残ってトレーニングや練習という機会も多くなるもよう。じっくり、みっちり、ですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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