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2016年・安芸キャンプのこぼれ話《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合前のサイン会。高山選手(奥)がぼやけて…すみません。手前は板山選手です。

あす3日から阪神タイガースは本格的に実戦モードへと突入します。1軍はオープン戦で、まずソフトバンク2連戦 (ヤフオクドーム、3日が18時~、4日は13時~)、ファームは春季教育リーグでオリックス2連戦 (3日、4日とも神戸サブ、12時半~)です。そして5日からは1軍が甲子園、ファームは鳴尾浜での試合が続き、そのあと15日からオープン戦が千葉、神宮、ナゴヤドームと3試合やって京セラのオリックス3連戦で終了。ファームは15日にウエスタン・リーグ開幕となります。

3月になればもう開幕を見据えての戦いで、10日を過ぎたら投手陣が逆算して登板したり、野手もレギュラー勢揃いです。小虎の (言葉は悪いですけど) “お試し期間”は例年そのあたりまでなので…何とか結果を残してきて、と祈るばかり。ヤフオクドームには山山コンビと原口選手も行くみたいですね。また2年目の守屋投手とルーキー・青柳投手は、きょうの1軍練習に参加してオープン戦登板の機会をうかがいます。とにかく、まずチャンスがありますように!

さて、そんな臨戦態勢の直前に何ですけど、しかもキャンプはファームの場合かなり前に終わった気がしますけど、きょうは先月24日に打ち上げた安芸キャンプのこぼれ話をご紹介します。なかなか書けるタイミングがなかったもので…すみません。気楽にお読みください。

ルーキーも楽しみな家族参観日

家族と一緒にやってきた、望月モモちゃん。いつも眠そうな顔でした。
家族と一緒にやってきた、望月モモちゃん。いつも眠そうな顔でした。
こちらは望月ロッキーちゃん。やっぱり眠そうなところを1枚。
こちらは望月ロッキーちゃん。やっぱり眠そうなところを1枚。

ことしも選手のご家族が安芸に来られました。すべての方々を把握できてはいないのですが、ルーキーは板山選手、望月投手、青柳投手、高山選手、竹安投手の順にいらしています。ことしは結構、日にちが違っていましたね。望月家は一斉にではなく、お母さんが先に来られてお兄さんが合流してという具合に時差あり。ブルペンで投げるところはしっかりご覧になれたようです。青柳投手のお母さんも、息子が試合に登板するということで滞在期間を急きょ延長!でもマウンドでの姿と無失点デビューを見て、安心して帰られました。

横山投手のご家族とは13日、大雨の中でお会いしました。「去年も来たら雨で、試合が中止だったんですよ」とお父さん。あ、そういえば。ということは…もしかして横山投手が『雨男』というより、横山家の方々が『雨一家』なんでしょうか?そう言ったら皆さん大笑い!これは意外と外れではいないのかも、と勝手に確信したしました。でも翌14日の試合はできていますからね。濡れ衣です。ごめんなさい。

また久々にお話できた山本投手のお父さん。ですが、その前にブルペンで『T47』と書かれたパスカードの女性をお母さんと思って声をかけてしまいました。あとでお母さんからの連絡で、今回はお留守番されていると聞いて…勘違いに気づいたのです。お母さんも、声をかけてしまった方も、すみません!でもこの日、ブルペンで少し力を入れて投げた山本投手を見て、お父さんがとてもホッとした表情だったのは印象に残っています。

伊藤隼選手のいとこの子どもを抱っこした小豆畑選手。顔は笑っているけど、腕は緊張!
伊藤隼選手のいとこの子どもを抱っこした小豆畑選手。顔は笑っているけど、腕は緊張!

安芸キャンプ最後の土日だった20日と21日にも、伊藤隼選手や小豆畑選手のご家族が来訪。伊藤家の皆さんはおそらく、ことしのキャンプで最多人数だったと思われます。望月家も多かったけど、それをはるかに超えましたね。隼太選手のお兄さんや弟さん (あれ、もう一人のお兄さんでしたっけ?いや弟さん?なんせ4兄弟なので分からなくなって…すみません)、隼太選手のいとこさん、そしてその子どもさんたち。本人は別メニューなので残念でしたが、でもトレーニングの合間に顔が見られてご両親も安心されたでしょう。

実は隼太選手のいとこさん(女性)は小豆畑選手の大ファンで、練習後は写真を撮ったり握手をしたり。そして、その子どもさんを抱っこしてもらいました。「抱き方はこれで合ってますか?大丈夫ですか?」とビビりまくる小豆畑選手。その様子は写真でどうぞ。でもね、小豆畑選手も予行演習はやっとかないと。この時は小豆畑選手のご両親も来られていたので、そろそろ孫をね~と、余計なお世話をさせていただきました。

藤本コーチに感謝 西田の自主練習

キャンプ第1クール、ティーバッティング中の西田選手。
キャンプ第1クール、ティーバッティング中の西田選手。

西田選手が自主練習日だった13日と20日にやっていたバッティング。他の自主練習は確認していなかったのですが、この2日間はしっかりと見ました。安芸ドームの中で藤本守備走塁コーチに緩いボールを投げてもらって打つもので、延々と続きます。13日は45分間でした。ヘトヘトになって戻ってきた時に「なんていうバッティング練習?」と聞いたら「スローボール打ち!」と西田選手。そのままやなあ。高校時代にそう呼んでいたそうです。

これは20日の『スローボール打ち』。1時間20分の、まだ半分くらいです。
これは20日の『スローボール打ち』。1時間20分の、まだ半分くらいです。

「自分のテーマがタイミング。スイング軌道とかじゃなくてタイミングの取り方なんです。キレを出して打つことや足のつき方を意識してる。マシンは1人でいくらでも打てるし、真っすぐなら1、2、3で打てば飛んでくれるので自己満足なってしまう。だから、こういう自主練習でピッチャーとのタイミングをうまく合わせたいと思って。あわせないといいスイングも生かせない。いい形で振れることが増えてきているので、今の感じを続けたい、無意識でそういう動きをやりたいってのもあります」

ブルペンで、投げ終えた選手に声をかける高橋投手コーチ。
ブルペンで、投げ終えた選手に声をかける高橋投手コーチ。
ティー打撃のトスを上げる今岡打撃コーチ。
ティー打撃のトスを上げる今岡打撃コーチ。
打撃投手の準備でキャッチボール、平野守備走塁コーチ。
打撃投手の準備でキャッチボール、平野守備走塁コーチ。

あえてスローボールというのは?「高校の時からあったんですよ。日々ずれてくるタイミングを修正するためのもので、素振りの次くらいの基礎練習でした。あれだけ緩い球でも、というか緩い球やから、タイミングがずれれば打ち損じるし、うまく合えば打球に現れますね。無意識でやれるまでやるしかない。夜間でもやってるし」。藤本コーチは大丈夫なのかなあ。「大丈夫…だと思います。あした出てくるかもと言ってた(笑)」。いや、笑ってていいんですかね。

と言っていたら、最終クール初日の20日にも藤本コーチとともに打ち始めたので見ていたんですけど、これがなかなか終わりません。他の選手の取材などをしていて時間がわからなくなり、それでも1時間を超えたような。聞けば「1時間20分です」とグッタリ。これは藤本コーチの方も大変でしょう。すると西田選手が「こんな緩い球やったら、いつまででも放れるって」と藤本コーチの言葉を再現しました。それでも腕は相当疲れているはず。いつか本人にも確認しなくちゃ。

なお、初キャンプだった3人のコーチの写真も一緒に載せておきます。高橋コーチ、今岡コーチ、平野コーチ、皆さんの願いは「ケガせずに1年間戦ってくれること、そして1人でも多く1軍の舞台に立ってくれること、それに尽きる」でした。

お掃除ありがとうございます!

2月14日の朝、安芸市営球場や安芸ドームへ向かう坂道で女子高生の皆さんが何かをしている様子。よく見るとゴミや炭などをはさむ、あれは何という名称なんですかね?火バサミとかゴミバサミとかいう、いわゆる金属製のトングを持って、路上のゴミを拾ってビニール袋に入れています。球場のすぐ隣にある、安芸桜ケ丘高校の生徒さんでした。ちょっと写真をとお願いしたら「私はいいですよ、生徒だけ」とおっしゃった先生も少し写っちゃています!

14日の朝に出会った、安芸桜ケ丘高校の女子生徒の皆さん。
14日の朝に出会った、安芸桜ケ丘高校の女子生徒の皆さん。
こちらは15日の夕方、今度は男子生徒の皆さんです。
こちらは15日の夕方、今度は男子生徒の皆さんです。

ちょうど安芸市では『安芸の丼・どん・ドンスタンプラリー』が2月末まで開催されており、キャンプ中の土日祝の朝には安芸桜ヶ丘高校の皆さんの発案で、彼らがスタンプラリーの台紙を配付していのです。「釜あげちりめん丼や土佐ジローの親子ドンなど安芸のグルメを味わって」と呼びかける姿をご覧になった方も多かったのでは?スタンプラリーの台紙を持った取材陣も結構いましたしね。

私が彼女たちを見かけたのは14日(日)の朝。「スタンプラリーの一環としてゴミを拾っています」とのこと。クラス単位での活動なんでしょうかね。学校がお休みの土日祝に、しかも制服を着て朝から球場周りをきれいにしてくれた高校生たちに感謝です!と思ったら、翌15日の午後に今度は男子生徒のグループにも遭遇。安芸キャンプはお休みの日でしたが、彼らは放課後だったのかも。こちらは少し距離がありすぎて、顔の判別をしにくい写真になって…。すみません。

14日、15日とも手を止めて話を聞かせてくれた安芸桜ケ丘高校の皆さん、ありがとうございました!

練習試合で懐かしい顔と再会

安芸キャンプでは毎年、5試合前後の練習試合が行われます。ことしも5試合を予定していたのですが、13日の社会人・四国銀行は昨年に続いて雨天中止、20日の西武B班も雨で中止となりました。両日とも考える余地もないくらいの本降りだったので仕方がない、とはいえ3試合しか実戦をやれないのは辛い、というわけで急きょ四国アイランドリーグplusの高知と23日に練習試合が組まれ、しかも当日の予報が悪いため前日に前倒しという…なかなか大変な調整がなされたのです。

おかげで何とか4試合が行われ、11日の韓国・ハンファイーグルス1軍キャンプ組(○6対0)、14日の社会人・JR四国(●0-3)、21日のハンファ2軍キャンプ組(ー2-2)、22日の高知ファイティングドッグス(○4-0)という結果です。関係者の皆さん、中でも高知FDの皆さん、ありがとうございました。

そのおかげで、四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスに所属している西本泰承内野手(29)と、何年振りかで会えました。いつ以来だろう?彼が最初に高知でプレーしていた時のフェニックスリーグですかねえ。5年近くは経っていると思われます。現在は競輪選手でもと阪神の伊代野貴照さんが、高知の臨時投手コーチをしていた時でしょう、おそらく。

まだ現役!日米の独立リーガー

西本選手の高知FDでの背番号は最初が『9』、今は『23』です。
西本選手の高知FDでの背番号は最初が『9』、今は『23』です。
この日はエラーがついてしまったけど、やっぱり守備は軽快でした。
この日はエラーがついてしまったけど、やっぱり守備は軽快でした。

西本泰承(やすつぐ)選手は和歌山出身ですが、宮崎の日南学園でショートを守り甲子園にも出場。その後、奈良産業大学でもレギュラーを張りました。阪神にドラフト1位で入団した蕭一傑投手(台湾・義大ライノズ)とは高校、大学と同級生です。それだけでなく榎田大樹投手も同い年で、高校時代に対戦して負けたことが今の榎田投手を作ったと言っていると、西本選手が教えてくれました。

小林西高校で4番を打っていた榎田選手は野手として進学予定で、試合にも各大学から多くのスカウトが見に来ていました。しかし西本選手が3安打した日南学園に、自身もヒットを放ちながら負けた時、決心したそうです。「ピッチャーで、一からやりたい」と。それでピッチャーとして福岡大学に進んだとか。「榎田と一緒にメシ行ったりすると、アイツが『今の僕があるのは、おまえらのおかげ』って、今でも言うんですよ」と西本選手。「で、お礼の気持ちってご馳走してくれました」。なるほど(笑)。でも同じチームでも、戦った相手でも、同級生っていいものですね。その関係はうらやましい。ずっと長く続けてください。

さて、西本選手自身は2012年の開幕まで高知ファイティングドッグスにいて、そのあと渡米。アメリカ独立リーグですぐにレギュラーを勝ち取り、2年間プレーしました。帰国後、2014年はルートインBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスへ。そして昨年から古巣の高知に戻っています。実はアメリカ独立リーグ時代の監督が、今度はもう1ランク上のリーグに移ったこともあり、もう一度アメリカでやることを模索中、というか行くつもりだったそうです。向こうのシーズンは5月から8月なので、前回と同じく途中で移籍することをチームに了解してもらって。

憧れた人との間で揺れる思い

ところが、ここに西本選手を引き留める大きな存在が現れました。ことしから高知の監督に就任した駒田徳広さんです。西本選手いわく「僕が野球を始めるきっかけは、ジャイアンツの駒田選手だったんですよ。阪神-巨人戦を見に行って、めちゃくちゃ声援を送っていました。その人が監督になって、同じチームでやれるなんて。だからアメリカのほうには3月いっぱい返事を待ってもらっています」。憧れたその人と一緒に野球ができる機会と、アメリカでプレーするチャンスとの間で、心は大きく揺れています。

野球人・西本泰承選手は、まだまだ夢の途中です。
野球人・西本泰承選手は、まだまだ夢の途中です。

ちなみに駒田監督については「僕らが思っていた駒田さんより緻密ですね。でも試合では細かいことは言わない」そうです。試合中にバットを立て続けに折る選手がいて、三塁側ベンチから駒田監督が「掛布さ~ん、バットください!」と一塁側ベンチに向かって言い、掛布監督は持っていたバットを差し出す仕草をしたと、西本選手が笑いながら教えてくれました。

試合ではスタメンでショートを守った西本選手。攻撃でチャンスになるとベンチから「西本さんまで回せ!」と声が飛んでいましたね。「そんな、オープン戦からプレッシャーかけられても(笑)。最年長ですよ、同級生の柴田(阪神)に、あいつメッチャ張り切ってると思われても恥ずかしいでしょう?」。あら、柴田選手は「張り切ってたやん」って笑っていましたよ。30歳を迎える4月にどんな結論が出ているのか。いずれにしても、独立リーガー・西本泰承の選択を応援します。頑張ってくださいね!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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