Yahoo!ニュース

契約更改・第2弾は鳴尾浜にて 巻き返しを誓う4選手《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
台湾でのウインターリーグに向けて打率とHR、そして盗塁もと意欲満々の横田選手。

安芸と鳴尾浜で秋季キャンプ打ち上げ

鳴尾浜の秋季キャンプも17日に打ち上げ。一本締めのために全員集合です。
鳴尾浜の秋季キャンプも17日に打ち上げ。一本締めのために全員集合です。
掛布監督(右)から締めの挨拶に指名され、ピンマイクを装着する清水選手(中央前)。
掛布監督(右)から締めの挨拶に指名され、ピンマイクを装着する清水選手(中央前)。
清水選手「やらせて頂きます」、掛布監督「どうぞどうぞ」…←勝手にアテレコ。
清水選手「やらせて頂きます」、掛布監督「どうぞどうぞ」…←勝手にアテレコ。
なお清水選手は今キャンプ鳴尾浜のMVPです。ね?掛布監督。聞いてはりますか?
なお清水選手は今キャンプ鳴尾浜のMVPです。ね?掛布監督。聞いてはりますか?

安芸市営球場と阪神鳴尾浜球場で行われていた秋季キャンプは、きょう17日で打ち上げとなりました。朝からどんよりした天気だった鳴尾浜は、途中から雨が降り出したものの例年通り午前中で練習が終了。ラストは正午くらいに全員で走ったとのことですが、走る前に掛布監督がマイクを通して「多くの方に来ていただき、選手も気合いが入ったでしょう」というお礼のコメントに続いて「締めの挨拶は清水選手がします」と。

指名された清水選手は走りながら必死で考えていたんでしょうか。でも無事に挨拶(実はピンマイクを渡され、場内に声が流れたせいか、ちょっと噛んだという情報も…)と一本締めで鳴尾浜キャンプは打ち上げ。ちなみにこの秋季キャンプ、掛布監督が選んだ鳴尾浜組のMVPは清水選手だそうですよ。

このあとは21日のファン感謝デーをはじめ様々な球団行事があり、もちろん12月下旬まで若手選手による強化練習が行われます。でも残念ながらスタンドの開放はきょうまででした。ファンの皆さまに見学していただけるのは年明けの新人合同自主トレからです。ご了承ください。

台湾遠征、守屋投手から田面投手に変更

さて、11日には安芸の秋季キャンプ宿舎で一気に15選手(育成2選手を除く)が契約を更改し、アップ3人、ダウン7人、現状維持5人という内訳でした。くわしくはこちらをどうぞ。<安芸キャンプの契約更改>

きのう16日に第2弾として今度は鳴尾浜で、練習が終わったあと16時過ぎから伊藤和投手守屋投手西田選手横田選手の4人が契約更改交渉を行い、サインをしています。4人とも今季は1軍の試合出場がなく、悔しいダウン、そして現状維持という結果になりました。

なお守屋投手の取材中に「僕は台湾へ行かないことになったんです」という話があったため、嶌村副本部長に伺いました。今月末から台湾で2年ぶりに開催されるアジア・ウインターリーグには当初、岩貞投手、守屋投手、陽川選手、横田選手の4人が参加予定だったのですが「守屋投手に関しては(派遣を)やめました。右肩の問題もあって、11月25日から1ヵ月間行かせるのは…」とのこと。

ただし嶌村副本部長は「今が悪い状態というのではなくて、きょうようやくキャッチャーを座らせて投げたところですし。フェニックスから順調に投げていればいいんですけどね。もちろん行かせることもできますが、ウインターリーグは公式戦的な部分もあるわけですから、無理をしても」と続けています。代わりに田面投手が行くそうで、4月からの福井に続き「ことしは色んなとこ行きます」と田面投手。水と氷には気をつけてください。

また夕方、権田トレーナーとともに高知から戻ってきた横山投手は、松葉づえ姿で寮へ入っていきました。15日のトレーニング中に右足の痛みがあり、高知で検査を受けたところ『右第5中足骨(小指側の甲部分にある骨)の骨折』と診断されていて、今後は鳴尾浜での治療とリハビリになるそうです。この時期にしっかり治しておきましょう。来年のために。

では、16日に契約を更改した4選手のコメントをご紹介します。いつものように年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、金額(万円)は推定。今回は4人ともわかりやすく答えてくれたので助かりました。実際の金額とそれほど差はないと思われます。

【伊藤和】来年は戦力になって恩返ししたい

画像

4年目 600→550

サインは?「しました」。増減は?「下がりました。50万くらい…」。とても具体的にありがとうございます。球団からはどんなことを言われましたか?「ことしファームでも(公式戦は)3試合しか投げていない。来年は大卒で5年目。もっとしっかりしてほしいと…いう話です」

来年に向けては「毎年ケガが多いので、しっかりこのオフにトレーニングします。4年終わって一度も戦力になれていない。来年はほんと勝利に貢献して、タイガースの戦力になれるよう頑張っていきたいです」とのこと。昨年は6試合投げたのに、ことしは1軍登板なく終わったことで「ことし勝負と思ったのに、情けない1年でした。クビも覚悟していたんですが、もう1年できることになったので、しっかり戦力として球団に恩返しできるようにしたい」と話しています。

フェニックス・リーグで好投もあったのでは?「まだ納得いくボールは投げられていないけど、ちょっとずつ良くなってきました。オフを大事に、しっかり考えて過ごしたいです」。下がった分は来年取り返すつもりで?「はい。頑張ります!」

【守屋】実力のなさを痛感した1年

画像

1年目 840→800

サインは?「しました」。増減は?「ダウンしました」。どれくらい?「お任せします」。というわけで40万円下げさせていただきました。いかがでしょうか?そうかけ離れてはいないと思います。球団からの話はどういう内容ですか?「期待してもらっているのをすごく感じました。来年はダウンした分を取り戻してほしいと」

ルーキーイヤー振り返って「自分の実力のなさを痛感した1年でした」と守屋投手。かなりの悔しさが見て取れます。社会人からの入団で、ことし1軍登板がなかったこともあって「来年は絶対に1軍で投げないといけないので、それを達成できるよう頑張りたいと思います」と力を込めました。

まだ12月下旬まで鳴尾浜で強化練習がありますが、そのあとオフの予定は?「フォームを安定させることが一番。基本的に球が高いので、低く投げられるよう1つでもコツをつかんでいきたい。自主トレはHonda鈴鹿に。一番よく見てくれていた人たちなので、よくなったところと悪くなったところを見てもらって。このオフは大事な時期だと思います」

【西田】最後の年になるかもしれない覚悟で

4年目 600→580

サインは?増減は?と聞くまでもなく、金額は判明。そのあと、球団とどんな話をしたか?という質問のみで、以下のような長いセンテンスが返ってきました。西田選手が語ったままノーカットで書かせていただきます。

画像

「ことし1年というか4年間を振り返ってどうやと聞かれたので、3年目までは置いといて今シーズンの話をさせていただきました。年明けに西岡さんとか他球団の方と自主トレさせてもらって、1軍でも活躍している先輩方があんなに練習するってところを生で見られた。自分も甘えてられへんなと思って、だからことしは続けて何かをやろうと。で、朝のランニング、夕方のバットスイングを1年継続しようと決めて、それをできた。ちょっとやって止めて、また違うことやってということが多く、継続できる性格ではなかったので、よくても悪くても続けられたのは大きいです。ただ結果には出なかったけど。来年は『いろんなとこが守れるんやから、一番期待しているのはバッティング』と言われました。このキャンプはいい感じで、いい方向に進んでいると思う。なのでオフも休みなく、休んでいる立場じゃないですし、しっかり体を作ること。来年5年目、最後の年になるかもしれないんで、1軍で結果を出すということを考えて2月1日のキャンプに入ります」

一気に2月のキャンプまで話が完結しちゃったんですけど(笑)。本当に朝のランニングと、夕方のバットスイング、ロングティーなど、しっかりやりましたね。成績に出なかったとはいえ、来年につながるでしょう?「遠征先ではできなかったですが、続けられたことはよかった。今も続けています。朝走ることでアップから体が動くし。そこは来年にも生きるし、繋がってほしいです」

バッティングにも生かせる?「ウエートも1年続けてきて体重が増えました。強い打球を打てるようになりたいので、体を大きくして筋力をつけたい」。確かに、ことしはお尻が大きくなったなあとおっしゃっている方も多かったですよ。

まだ交渉前が始まる1時間くらい前、ウエートルームから出てきた西田選手と会った時に「絶対下がります」と宣言?していました。その通りというか、でも下がったのは20万円だけ(金額をちゃんと言ってくれたので間違いないです)。といっても悔しいでしょう。「来年は必ず取り返そう」と言ったら「はい!」と元気な声。先輩にも後輩にも負けてはいられませんからね。

【横田】2ケタHRより、1軍で活躍したい!

画像

2年目 720→720

サインは?「しました」。金額は?「同じです」。どんなことを言われた?「ウインターリーグもあるので、頑張れと」

それだけ?ことしの振り返りとかは?「はい、普通に」…なるほど、ウインターリーグの話が一番印象に残ったんですね。

初めて参加するわけですが、どんなふうに過ごしたい?「このキャンプでいろいろ試してきたことを、あっちでも試したいです。バッティングのフォームとかステップ、フォーロースルーの位置、タイミングなど」。掛布監督からは『打率.280、ホームランは3試合に1本』との指令があったとか。「結果と数字にこだわっていきたいと思います。さっきも(解約更改の席で)打率と、ホームランを打てるようにといわれたので、両方がんばります」

この日のシートバッティングでもいい当たりを飛ばしていた横田選手だったものの「まだ実戦であまり結果が出ていないので自分ではわからないですけど、継続してやっていきたい」。1本でもいい当たりがあると手応えを感じる?「そうです!」と力いっぱいの返事(笑)。来年の目標を。ことしはファームでホームラン9本だったから2ケタ?と聞いたら、少し考えて「上で活躍できるように!」とキッパリ。よく言ってくれました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事