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フェニックス・リーグ最後の練習試合 岩貞が7回10K!《10/23 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
生目の杜運動公園(宮崎市)にあるアイビースタジアムも、コスモスの花が見ごろです。

きょう24日から『みやざきフェニックス・リーグ』は最終クールに突入。あと3試合を残すのみとなりました。あっという間ですね。しかもまだ中止が1試合もないなんて、2006年以来のことですよ。26日まで雨の心配はなさそうで、宮崎の関係者の皆さまも喜んでいらっしゃるでしょう。

馴染み深い相手で和やかな試合前。荒木選手は大学日本代表で一緒だった伏見選手と。
馴染み深い相手で和やかな試合前。荒木選手は大学日本代表で一緒だった伏見選手と。
江越選手(左)は、“長崎つながり”で宮崎選手と談笑中です。
江越選手(左)は、“長崎つながり”で宮崎選手と談笑中です。
これは試合後のオリックスのクールダウン風景。奥浪選手は絶好調だそうですよ。
これは試合後のオリックスのクールダウン風景。奥浪選手は絶好調だそうですよ。

ここまで全16チームが15試合を消化して、首位はオリックスで12勝1敗2分け。11日の引き分けを挟んで、なんと10連勝中です!ついでDeNAが10勝1敗4分けで2位。3位は広島で10勝4敗1分け、4位が巨人で9勝5敗1分けという並び。阪神はちょうど5割の7勝7敗1分けで、9位にいます。ま、優勝はオリックスかDeNAってとこですね。

ホームランの数をみると、阪神ヤクルトが最多で12本、次が韓国のLGツインズで11本、オリックスは10本。個人では内田選手(楽天)が現在5本でトップ、2位に陽川選手(阪神)奥浪選手(オリックス)が4本で追いかけています。

さて、きのう23日は“首位”のオリックスと、アイビースタジアムで練習試合を行いました。オリックスの武田選手によれば、好調の要因の1つとして「投手陣がめちゃくちゃ調子いい」とのこと。その通り、この日はまだ18歳のルーキー・齋藤綱投手に5回1死まで手も足も出ず、完璧に抑えられました。こちらの先発・岩貞投手が先に1点失ったものの、中盤に逆転して逃げ切り。練習試合ですからオリックスの連勝は継続です。 

なお6回に頭部付近に死球を受けた陽川選手の件。本人いわく「肩に当たって、頭に当たった」とのことですが、問題はありませんでした。念のため特別ルールとして臨時代走が送られたものの、その後の守備では元気にジャンピングスローも見せています。ご安心ください。

《フェニックス・リーグ》10月23日

練習試合

阪神- オリックス (アイビー)

De 010 000 001 = 2

阪神 000 013 00X = 4

◆バッテリー

【阪神】岩貞-歳内 / 小豆畑

【オリ】齋藤綱(5回)-佐野(0/3回)-森本(2回)-戸田(1回) / 若月

◆二塁打 山本、奥浪 北條 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]左:横田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

2]遊:北條  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]指:中谷  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0)

4]中:江越  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

5]三:陽川  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

〃 臨時代走:横田 (6回表)

〃 臨時代走:植田 (6回表)

6]右:伊藤隼 (2-0-1 / 0-2 / 0 / 0)

7]二:森越  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:小豆畑 (3-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

9]一:西田  (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責)最速キロ

岩貞 7回 127球 (5-10-4 / 1-1) 146

歳内 2回 32球 (2- 1-0 / 1-1) 145

試合経過

フェニックス締めくくりの先発で7回1失点と好投した岩貞投手。
フェニックス締めくくりの先発で7回1失点と好投した岩貞投手。
歳内投手は8回から登板。1点を失ったものの、低めにいい球が決まっていました。
歳内投手は8回から登板。1点を失ったものの、低めにいい球が決まっていました。

先に失点したのは岩貞でした。1回は2奪三振と小豆畑の盗塁阻止で無失点だったものの、2四球を与える立ち上がり。2回は先頭の若月に右前打され、岩崎は9球粘られた末の三振で1死となったあと7番・山本に右越えの二塁打(フェンスに当たってセンター江越が処理)を浴びて二、三塁。続く小田の左犠飛で若月を還しています。次の吉田雄にも四球を与え、ここで小豆畑と北條がマウンドへ。1番の武田を二ゴロに打ち取って最少失点にとどめました。

3回は2死から奥浪に右越え二塁打を浴びますが無失点。4回も先頭・岩崎への四球、1死後に二盗を許しながら小田と吉田雄から三振を奪って抑え、5回の先頭・武田にかけ3者連続三振!5回は三者凡退で、6回は若月の左前打のみ。7回はまた小田と吉田雄の連続三振で2死後、武田に内野安打(サード陽川のジャンピングスローも及ばず)されるも、代打・伏見は三ゴロ。7回を投げて5安打無失点、2ケタの10奪三振という内容です。

反撃の5回、まず陽川選手がレフト前にヒット!
反撃の5回、まず陽川選手がレフト前にヒット!
伊藤隼選手の四球に続いて、森越選手もレフト前ヒット!
伊藤隼選手の四球に続いて、森越選手もレフト前ヒット!
1死満塁で小豆畑選手がライト前へ同点タイムリー!
1死満塁で小豆畑選手がライト前へ同点タイムリー!
試合終了で引き揚げて来る歳内投手(右)、小豆畑選手(中)、西田選手。
試合終了で引き揚げて来る歳内投手(右)、小豆畑選手(中)、西田選手。

打線はオリックスの齋藤綱に抑え込まれ、4回までパーフェクトピッチングを許していました。その間、3三振を喫しながら球数は37球…。5回も先頭の江越がヘルメットを飛ばすほどの空振り三振に倒れます。しかし、立ち直った岩貞を援護すべく、ここから反撃開始。陽川が左前打、伊藤隼は四球、森越が左前打で1死満塁と攻め、続く小豆畑の右前タイムリーでまず同点。

6回は2人目、同じくルーキーの佐野に対して、北條が中越え二塁打、中谷と江越は連続四球で無死満塁!陽川は死球で押し出し。大事を取って臨時代走に横田が送られます。これで勝ち越した打線は伊藤隼も四球を選び、押し出しで2点目。佐野が降板し、代わった森本に森越は三ゴロ併殺打で2死となりましたが、その間に1人生還。ここで三塁へ進んだ横田に代わり、植田が臨時代走。最後は小豆畑が三振に倒れて終了、この回は1安打と4四死球で3点をもらっています。

7回は北條の右前打と2四球があったものの攻めきれず無得点。8回は歳内が登板して内野ゴロのみの三者凡退!ただし、その裏の阪神打線も戸田の前に三者凡退でした。9回も続投した歳内は、先頭の縞田に左前打され、小島は三振。暴投で1死二塁となって、小田の左前タイムリー。1点返され、バックホームの間に小田を二塁へ進めたものの、後続はやはり内野ゴロで打ち取って追加点を与えず試合終了。4対2で逃げ切りました。

岩貞、充実のフェニック打ち上げ

ことしのフェニックス・リーグでチーム最長となる7イニングを投げた岩貞投手。2回に犠飛はあったもののタイムリーは許さず、散発5安打で1失点です。しかも10三振を奪う力投。最速は、球場に表示されたものは145キロでしたが、チームのスピードガンでは146キロが出ました。「ブルペンから調子がよくなくて…。修正しないと、と思いながら2回まではそれがイマイチずれていたんです。3回からは違う視点からいって、ボールがようやく走り始めました」

岩貞投手は一足先にフェニックスを打ち上げました。「いい内容」と満足そうです。
岩貞投手は一足先にフェニックスを打ち上げました。「いい内容」と満足そうです。

ボール球が多かったことも「最初はそんな感じだったから」と苦笑いで「でも途中からよくなりましたね。腕はもともと振れていたんですけど、タイミングが合ってなかったかと。そのタイミングが合い出して3回からはうまくはまり始めたと思います」と自己分析しています。そして「1軍でもこういうことがあった時、自信になりますね」とニッコリ。

これでフェニックス・リーグでの登板機会が終了するため、試合後に監督やコーチ、選手らと握手を交わしていた岩貞投手。フェニックスを振り返って「いい内容が続いたし、本当によかったと思う」と納得のコメントでした。特にシュートには手応えを得られたようで「シュートがあるだけで、打者が踏み込んでこなかったりしましたね。カットボールが得意球なので、それと逆の球ができてよかった」と充実の表情です。

もう完成品?と聞いたら「はい!」と答えましたが、そこは控えめに言った方がいいかなということで、じゃあ「完成間近」にさせて頂きましょうか。来年の今ごろは日本シリーズで投げていますよね?「そうですねえ」。とびっきりの笑顔でバスに乗り込みました。いい秋を過ごせたようです。このあとは秋季練習に合流し、秋季キャンプに備えます。

前夜の練習が結果に?北條は2安打

試合前、思いっきり真面目な顔で、カメラを見る北條選手。め、珍しい…。
試合前、思いっきり真面目な顔で、カメラを見る北條選手。め、珍しい…。

6回に撰ったーオーバーの二塁打、7回には右前打とマルチヒットだった北條選手。きのうの朝、ことしのフェニックスは結構打ってますねと言ったら「今また打てなくなった…」と少し声が小さかったんですが、きのうはしっかり2打席連続安打。掛布DCによれば「軸を真っすぐにした方がいいんだけど、ちょっと後ろにいっちゃうんだよね。でも7回のライト前は、うまくバットが出ていた。軸を真っすぐに回れたから」という話でした。

北條選手は「ちょっと(背中が)反った感じになってしまうんですよ。それを真ん中で回転させる感覚で打てということで。打っている時は前へ突っ込まず、反ることもないから。きのうの夜やりました」と言います。なるほど、前日の夜間練習で取り組んだわけですね。早その成果が出た?「いや出たというか、結果としてできていたかなと思います。できていない時は、強引にいってフライになるので」

掛布DCの宮崎滞在はきょう24日までとか。でも残り3試合で北條選手が打っているかどうかは、どこにいてもチェックされるはず。しっかり結果を残して帰りましょう!次び会う時は…呼び名が変わっているんですかね。

新人捕手が入ってきても「自分は自分」

第4クールから合流した山田バッテリーコーチ(右)と送球練習中の小豆畑選手。
第4クールから合流した山田バッテリーコーチ(右)と送球練習中の小豆畑選手。

岩貞投手と歳内投手をリードし、5回には1死満塁で同点タイムリーも放った小豆畑選手。「打ったのは真っすぐです」と言っただけで、あとは岩貞投手の話になりました。ブルペンから調子が良くなかったそうですね。「あまりよくない時でも、試合の中で修正できたというのは大きいと思います」とホッとした様子。キャッチャー冥利に尽きる?「はい」

ところで、先日のドラフトでキャッチャーが指名されたことについて振ると「関係ないです」とひとこと。そりゃそうでしょう。先輩の意地がありますもんね。と思ったら「自分は自分ですよ」だそうで。いずれにしても、ことしグンと伸びた打撃面も含め、小豆畑選手の逆襲はこれから始まります。秋季キャンプ、そして来シーズンへつなげてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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