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ウエスタン4連覇おめでとう!やっぱり強かったソフトバンク《9/20 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
20日、阪神に勝ってウエスタン・リーグ史上初の4連覇を達成したソフトバンク2軍。
ホークスの選手たちに胴上げされる水上監督。
ホークスの選手たちに胴上げされる水上監督。
三塁側スタンドもバンザイ!黄色いうちわがいっぱいで勘違いしそうになりました…
三塁側スタンドもバンザイ!黄色いうちわがいっぱいで勘違いしそうになりました…
そのあとグラウンドで全員揃っての記念撮影。ペナントはまだようですね。
そのあとグラウンドで全員揃っての記念撮影。ペナントはまだようですね。

きのう20日、阪神ファームは滋賀県の守山市民球場で今季最後のソフトバンク戦に臨みました。前日は鳴尾浜で今季最終の公式戦とあり、何とか胴上げを阻止したものの、この日は最初から劣勢。序盤にホームラン2本で先制され、打線は2安打のみで完敗です。正午に始まった試合は午後3時2分に終わり、ソフトバンクの優勝が決まっています。

ウエスタン・リーグでは阪神が2001年~2003年(監督は岡田、岡田、木戸)に3連覇しており、昨年これに並んでいたソフトバンクがリーグ史上初の4連覇を達成。7月まで首位にいた広島との差をグイグイと縮め、追い抜いたあとは8月からの13連勝など地力を発揮しました。さすがです。1軍、2軍、そして3軍と層の厚さは驚くほど。まだまだ続きそうな気がしますねえ、この天下は。

記事紹介のところで『胴上げ、記念撮影を目の前で見せられた小虎』と書いたんですけど、実際はミーティングと野球教室の準備でベンチに人がほとんどいませんでした。でもソフトバンクの選手たちがマウンド付近に集まってきて輪ができたあたりは見たでしょうね。そろそろ鳴尾浜でも味わいたいものです。では試合結果とコメントをご紹介します。

《ウエスタン公式戦》9月20日

阪神-ソフトバンク 最終23回戦 (守山)

ソフ 012 000 020 = 5

阪神 000 100 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】●榎田(2敗1S)-松田-守屋-田面 / 岡崎-小豆畑(9回表)

【ソフ】加治屋(4回)-嘉弥真(1回)-○巽(1勝3敗4S)(2回)-バリオス(1回)-森福(1回) / 斐紹

◆本塁打 猪本15号ソロ(榎田)、上林9号2ラン(榎田)

◆二塁打 真砂、カニザレス2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .356

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .218

2]一:荒木  (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .186

〃打三:森越 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .276

3]中:江越  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .314

4]指:ペレス (3-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .320

〃打指:原口 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222

5]二:北條  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .246

6]三一:陽川 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .203

7]右:横田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .211

8]捕:岡崎  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .286

〃打左:緒方 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .231

9]遊:植田  (3-1-0 / 0-0 / 1 / 1) .200

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

榎田 5回 78球 (7-3-1 / 3-3 / 2.79) 149

松田 1回 16球 (0-1-0 / 0-0 / 3.95) 147

守屋 2回 31球 (3-3-1 / 2-2 / 4.88) 146

田面 1回 15球 (1-1-0 / 0-0 / 4.15) 145

試合経過

先発の榎田投手。2発を反省しながらも、納得の内容だったようです。
先発の榎田投手。2発を反省しながらも、納得の内容だったようです。

榎田は1回、2死から上林に左前打されますがカニザレスを遊ゴロに打ち取って無失点。しかし2回2死から猪本にレフトへ第15号ソロを打たれ、先に失点しました。3回は先頭の真砂に左翼線二塁打されるも、牧原のバント失敗で1死一塁。金子圭は右飛で2死としたあと、上林にライトへ第9号の2ランを浴びます。続くカニザレスの打球をショート植田が弾いて二塁まで進めましたが(記録は二塁打)、江川を遊ゴロに仕留めて追加点は与えていません。

5回は牧原をセカンド内野安打で出し、犠打や暴投、カニザレスへの四球(なんと盗塁も!)などで2死二、三塁というピンチをしのいだ榎田。5イニングで78球を投げ、7安打3失点で交代します。6回は松田が、先頭の塚田に粘られながらも中飛に斬って取り、猪本は空振り三振、斐紹は右飛三者凡退!7回の守屋も真砂、牧原から連続三振を奪うなど三者凡退!好リリーフを見せました。

ところが8回、2イニング目に入った守屋がカニザレスを2球で追い込みながら三塁線を破られて二塁打、曽根の内野安打(ファースト陽川が捕って守屋にトスするもセーフ)、さらに塚田への死球で1死満塁として猪本の左犠飛で1点。続く斐紹の右前タイムリーでもう1点失いました。ライト横田は素晴らしいダイレクト返球を見せたのですが、カニザレスの代走・河野の足が速く、セーフとなっています。

そして9回は田面が登板。1死から金子圭に右前打されたものの上林を空振り三振。そのボールを、この回からマスクをかぶった小豆畑が後ろに逸らし、金子圭は二塁へ。小豆畑はボールを持ち、戻って球審に何かを告げ、審判団が集まって話し合った結果、金子圭は一塁へ戻されました。すると三塁側ベンチから水上監督が出てきて、大きな声で抗議。やり取りは短く、最後に「1軍でこんなことをやったら大変なことになるぞ!」という言葉を残して引き揚げた水上監督です。

どうやら「空振りしたボールがバッター・上林の足に当たっていたためボールデッド」となり、2死一塁でゲーム再開とのこと。最後は河野を遊ゴロに打ち取って、田面は0点に抑えました。

8月末、フェンスに激突して離脱していた横田選手。この日は復帰後初打席でした。
8月末、フェンスに激突して離脱していた横田選手。この日は復帰後初打席でした。

さて打線は、ソフトバンク加治屋の前に手も足も出ず、3回までパーフェクトに抑えられます。でも4回は柴田の死球と荒木の四球、江越は二ゴロで1死一、三塁となりペレスが右前タイムリー!1安打で1点を返したのはよかったのですが…ここからまた沈黙。5回、6回、7回と三者凡退で、ようやく8回1死でバリオスから植田が放った中前打がチーム2本目のヒットでした。柴田の三振で植田が二盗!しかし得点には至らず、9回は森福に対して三者凡退で試合終了です。

敗戦の中で得た教訓を生かして

雨の心配もなく無事に先発マウンドに上がった榎田投手。1回に149キロを計測したことに「うーん、スピードガンが速かったんじゃないですか?」と笑ったあと「感じとしては悪くないですし、逆に良かったと思います。スピードというより、ボールのキレが悪くなかった。ただ良かった分、もったいなかったかなと…ホームラン2本は」と話しています。

野球教室での榎田投手。終始、穏やかな指導でぶりでした。
野球教室での榎田投手。終始、穏やかな指導でぶりでした。
榎田投手とともに、この日登板した松田投手も指導…しているのかな?
榎田投手とともに、この日登板した松田投手も指導…しているのかな?

「猪本のホームランはカットボールが真ん中高めに入ってしまった。上林のはカウントを不利にして真っすぐを打たれた。それまでの配球を考えないと」と反省の弁。とはいえ「今、いい方向に来ているので微調整していきたい」と話す榎田投手でした。

守屋投手も、この日は1イニング目の7回に146キロが出ていて、プロ入り後の最速だったそうです。「ボール自体はよかったけど、コースに投げきれていない。きょうみたいな、ああいう状況で打たれたのは3回目なので…」と悔やんでいます。

“ああいう状況”も含めて、久保投手コーチの話をご紹介しましょう。「榎田はボールの質がだいぶ良くなって、自分の思っていること、考えを出せるようになりましたね。松田もそう。この先、クライマックスにも出ていけるようにと思っています。守屋もいいですよ。一生懸命に練習している。それが少しずつ出てきました。ことし中に何とか目鼻をつけていきたい。ただ…あの1球の怖さ。カニザレスへのあの1球ですね」

守屋投手に何か話しかける少年。野球教室でにて。
守屋投手に何か話しかける少年。野球教室でにて。

これが守屋投手も反省していたところ。8回1死からカニザレス選手を2球で追い込んで、その次に投じた1球が甘い変化球でした。久保コーチは、これが1軍のデッドヒートの最中なら「あの1球で優勝を逃した、と言われてもおかしくないボール」と例えました。「敗戦の中でも、きょうは彼らにとっていい教訓になった。強い相手とやるのはいいこと。ちょっと甘い球を投げると打たれる、長打になる、点を取られる。戦う相手としてはベストでしょう」。

地元でヒットもエラーも出ました

野球教室の締めで、久々に挨拶を担当した植田選手。
野球教室の締めで、久々に挨拶を担当した植田選手。
野球教室で内野守備の指導中。荒木選手(右)と西田選手。
野球教室で内野守備の指導中。荒木選手(右)と西田選手。
野球教室の閉会式で清水選手らが爆笑。理由は…子どもの挨拶、かな?
野球教室の閉会式で清水選手らが爆笑。理由は…子どもの挨拶、かな?

野手は2安打(よく1点取れたこと!)で、またしても2ケタの11三振を喫しています。そんな中、地元の植田選手が8回に1安打!「よかった~。ラッキーヒットでもよかったです」と嬉しそうでした。ただしヒットの前に守備で目立っちゃったんですよ。エラーは1つですが、3回に二塁打となったカニザレス選手は「打球が手前の芝に当たったから」だそうです。4回の猪本選手のは?「あれはもう…ミスですね」と苦笑い。いや~ヒットが出て何よりでした。

植田選手の応援には、ご両親とおじいちゃん、おばあちゃん、高校の同級生や後輩、小学校のお友だちなど多くの方が来られたそうです。腰痛のため長く戦列を離れていたため、母・美奈子さんは「ここに来られないんじゃないかと思ってたんですよ。ほんと、よかったです!」と声を弾ませていらっしゃいました。そうですよね。間に合ってよかったと地元の皆さんも喜んでおられたでしょう。野球教室の時にも「かい!」と声援が飛んでいたし。と思ったら、声の主はおかあさんだったみたいで(笑)

公式戦では最後の野球教室

その野球教室は、守山市内のスポーツ少年団に所属している6チーム75人が参加して行われました。ペレス選手も楽しそうにトスを上げ、原口選手は空振りした子に「ダメじゃない。全然ダメなんかじゃないよ!」と真剣な眼差しで声をかけていて、子どもも大きくうなずいています。バッテリーのところでは、いいカーブを投げる子に「教えてよ」と頼むピッチャーも。

名前を挙げられて、前の列に押し出され恥ずかしそうな江越選手(中央)
名前を挙げられて、前の列に押し出され恥ずかしそうな江越選手(中央)
植田選手の挨拶にニヤニヤしているのは横田選手(中)です。
植田選手の挨拶にニヤニヤしているのは横田選手(中)です。

終了後、まず子どもたち代表で挨拶した少年が「僕はずっとタイガースのファンで、センターを守っているから江越選手を応援しています」と名前を挙げ、後ろの列にいた江越選手が押し出されて恥ずかしそうに笑っていました。こちらの代表は久々に植田選手で「僕もプロに入りたいと思って練習していたので、みんなも一所懸命練習してプロに入れるよう頑張ってください」というような挨拶。臨機応変に、なかなかやりますねえ。

横田選手も久しぶりの野球教室だったのですが、今回はあまり目立っていなかった気がします。代表の挨拶をしなくてよかった割には。復帰後初の打席で二ゴロ、三振、一ゴロという結果に「きょう打てなかったので、次は打ちます!」とのこと。バッティングに関しての違和感がないかと尋ねると「それはないです。感じは悪くないと思います」と言っていました。

内野手にノックする森越選手(右)と、捕球する原口選手。
内野手にノックする森越選手(右)と、捕球する原口選手。

また、9回にペレス選手の代打で出た原口選手は「サードゴロ、惜しかったでしょう?惜しかった。でも森福さんの、あの低いボールなので無理ですね。高い球だったら抜けていたかなあ」と、質問しながら自分で解説して話を完結させました(笑)。きょう21日のオリックス戦は既に試合が始まっていて、原口選手は5番DHで先発出場です。どかんとヒット、打ってください!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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