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ヤフオクドームの『鷹vs虎』親子対決、横田バースデーアーチで小虎は勝ち!《6/9 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
二十歳のバースデーを、自らのホームランで祝った横田慎太郎選手。

きのう9日から、阪神は1軍もファームも揃って福岡遠征。先週末も親子で同じ日本ハム戦ながら、場所は甲子園と新潟に分かれていました。でも9日はヤフオクドームで、同じカードの親子ゲームです。昔は甲子園でも親子ゲームがあり、広島市民球場で同カードの親子ゲームを見に行ったことは懐かしい思い出。ただしファームの選手にとっては悔しいんですよね。ナイターの練習に同じユニホームのチームメイトがやってきて、でも自分たちは引き揚げなくてはならない…。いつかあそこの残ってやる!と思いを新たにしたことでしょう。

4連勝も、今季ワーストの15三振

さてナイターの1軍は負けてしまいましたが、朝10時10分から始まったウエスタン・ソフトバンク-阪神の“モーニングゲーム”は5対2で阪神が勝ち!これで、このカードは5月14日から引き分けを挟んで4連勝となっています。ソフトバンクに4連勝するのが2011年(6月16日~7月10日)以来4年ぶりでした。そしてチームは4月30日以来の貯金1。順位はずーっと3位のままですけど、2位のソフトバンクに2ゲーム差と少し接近していますね。少し。

試合は打ち合いというより、投手戦だったかもしれません。相手のミスで先制しますが直後に追いつかれ、緒方選手のソロで勝ち越し。6日が二十歳のバースデーだった横田選手もホームランを打ちました。1点返されたあとは9回に4連打で引き離して4連勝!ただしソフトバンクの投手陣に計15三振を喫しています。5月に13三振が3度もあったけれど、それを上回る今季ワーストということに…。きのう三振しなかったのは中谷選手ただ1人でした。

《ウエスタン公式戦》6月9日

ソフトバンク-阪神 11回戦 (ヤフオク)

阪神 101 000 102 = 5

ソフ 100 000 100 = 2 

◆バッテリー

【阪神】○秋山(2勝1敗)-加藤-小嶋-S玉置(2敗5S) / 梅野

【ソフ】●千賀(4勝2敗)(6回)-中村恵(1回)-加治屋(1回)-巽(2/3回)-日高(1/3回) / 斐紹-拓也(7回~)

◆本塁打 緒方2号ソロ(千賀)、横田6号ソロ(中村恵)

◆二塁打 上林、牧原、横田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]右:緒方  (4-2-1 / 2-0 / 1 / 0) .219

2]左:田上  (3-0-0 / 1-1 / 1 / 0) .357

3]遊:北條  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .238

4]捕:梅野  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .350

5]中:横田  (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .207

6]一:中谷  (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .295

7]二:森越  (4-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .257

8]三:黒瀬  (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .185

9]指:西田  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .190

〃打指:原口 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .235

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

秋山 6回 74球 (6-8-0 / 1-1 / 2.37)

加藤 1回 23球 (2-1-1 / 1-1 / 1.04)

小嶋 1回 7球 (1-0-0 / 0-0 / 1.25)

玉置 1回 10球 (0-2-0 / 0-0 / 4.79)

経過1 両先発が6回で計18三振

1回の攻撃は、先頭の緒方が右前打を放ち、暴投で二塁へ。田上は四球を選んで無死一、二塁となり、北條が顔のあたりに来た球を避けながら振ったような空振り三振。これで三盗を仕掛けた緒方を刺そうと、ソフトバンク・斐紹が三塁へ送球するも逸れて緒方は生還!田上も三塁へ到達。記録は斐紹のエラーです。なおも1死三塁でしたが後続は打ち取られて1点止まり。

その裏、秋山も先頭の牧原に中前打と盗塁を許し、実戦復帰の本田は空振り三振で1死となったあと、塚田のセカンド内野安打(森越がよく追いついてナイススロー!ところがファースト中谷は捕った直後にポロリ…。森越、幻のファインプレー)で1死一、三塁。続く松中の左犠飛で同点とされます。

しかし打線は3回、先頭の緒方がライトへ第2号ソロを放って勝ち越し!そのあとは4回1死から中谷が左前打しただけで、千賀に対しては2点を取ったものの3安打のみ。しかも6回で2ケタの10三振を喫しました。

秋山の方は2回に上林の二塁打、4回には松中と猪本の連打を浴びるも、しっかり後続を断っています。5回も牧原に左中間へ大きな当たりを飛ばされましたが、三塁を欲張ってタッチアウト(記録は二塁打)。3回と6回は三者凡退で、6回を投げ6安打無四球で1失点。8三振を奪いながら無四球とあって74球という球数です。

経過2 最後に4連打でダメ押し

7回はお互いに投手が代わり、ソフトバンク2人目の中村恵から、先頭の横田が軽くライトスタンドへ飛び込む第6号ソロ!あとは3人で片づけられたものの、横田の大きな一発で3対1とリードを広げます。と思ったら…その裏に登板した加藤が、先頭の上林の右前打と暴投、四球などで2死一、三塁として牧原の中前タイムリー。再び1点差に詰め寄られました。8回は加治屋に三者凡退、こちらの小嶋もカニザレスに中前打されながら猪本を遊ゴロ併殺打と3人で打ち取って9回へ。

ソフトバンク4人目の巽に対して、1死から梅野が右前打、横田は左中間への二塁打を放って二、三塁となり、横田が右前タイムリー!続く森越が左前タイムリー!なおも1死一、二塁で黒瀬は遊飛に倒れ、ここで巽が降板。代わった日高に対し、代打の原口は変化球で空振り三振で攻撃を終えますが、この回4連打で2点を追加しました。

そして9回裏は玉置。まず釜元をカウント1-2からの4球目で空振り三振!ついで拓也も同じく1-2からの4球目で空振り三振。どちらもチェンジアップと思われます。三者連続、と思った最後は0-1からの2球目、真っすぐを打たせてライナー気味の右飛。三者凡退で試合終了です。

「ホームランより、メッチャ盗塁したい!」

ホームランの2人に話を聞けたので、ご紹介しましょう。まず横田選手です。7回に放った“バースデーアーチ”はカウント2-2からの7球目、132キロの「ツーシーム」だったそうです。まるでピンポン球みたいに飛んでいった完璧な当たりは、本人も「打った瞬間に入ると思いました」と納得の一打。ヤフオクドームでのホームランは初めてと言いますが、お誕生日にホームランを打ったことはあるかと尋ねたら「ないです」という返事でした。

7回にホームラン、9回にも二塁打を放った横田選手。写真は6日の野球教室でのもの。
7回にホームラン、9回にも二塁打を放った横田選手。写真は6日の野球教室でのもの。

千賀投手には初回、全球ストレートを投げられた横田選手。147キロで空振り、148キロも空振り、145キロはボールで、次の146キロに空振り三振です。感想は「速かった!」のひとこと。その千賀投手から中村恵投手に代わってすぐのホームラン。よかった~、よっしゃ!って感じだったかもしれませんね。なお9回の左中間二塁打は、巽投手から。カウント1-1の3球目、116キロの変化球を打ったものですが、初球と同じく「カーブ」だったとのこと。

これで第6号となり、トップの北條選手とソフトバンク・猪本選手(2本差を追いついてきていたんですね!知らなかった…)とは1本差の単独3位。どうせなら2本打って抜いておきますか?なぜか“ライバル”だと思っている北條選手を。「ホームランはそんなに狙わないです」。あら、そうなの?「はい。盗塁がメッチャしたいです!」。なるほど、そこでしたか。現在、ソフトバンクの釜元選手が9盗塁で1位、ついで横田選手とソフトバンクの牧原選手が7盗塁の2位タイ。きょうからの雁の巣、メッチャしたい盗塁にも期待です。

フォークが来る前に千賀を仕留めた2打席

3回に一時は勝ち越しの第2号ソロを打った緒方選手に、横田選手へのお祝いアーチだったのかな?と聞いたら「横田は自分でバースデーアーチしたので、お祝いにならなかったですね」と笑っていました。いえいえ、やっぱり祝砲ですよ。打ってベンチへ戻ってきた緒方選手に、すぐ近づいて嬉しそうに話しかけているところテレビ画面で見ましたよ。

緒方選手は千賀投手から第2号を含むマルチ!これも6日の野球教室で撮った写真。
緒方選手は千賀投手から第2号を含むマルチ!これも6日の野球教室で撮った写真。

それにしても千賀投手からホームランを含む2安打。1回の右前打が初球の145キロをファウルして、2球目の147キロを打っています。そして3回のソロも144キロを空振りしたあと同じ144キロを仕留めました。「ストレートで押してきてくれるピッチャーは好きなので、千賀はなかなか相性いいですね!フォークが来る前に打たないと厳しいんで、2打席打ててよかったです。いいスイングができました!」と納得の緒方選手。

「でも、やっぱりフォークが来たら厳しいですね。あとの2打席は残念」と言います。確かに、3打席目は変化球を混ぜてきた千賀投手に、134キロのフォークで空振り三振を喫しました。加えて8回、加治屋投手のフォークで空振り三振だった4打席目も反省しています。

また1回に出塁したあと、田上選手への4球目が暴投になって素早く二塁へ行った場面は「決め球のフォークの落差がすごいんで狙っていました!」とのこと。そこから三盗を決め、エラーを誘って一気に先制のホームインです。いい仕事っぷりですねえ。もうヒザの心配は要らない今シーズン、そろそろ1軍で走り回りたいところでしょう。その前に「あす(10日)は東浜なんで、あすも打ってきます!」と同級生打ちでアピールすることを宣言しました。

奪三振が増えたのは吉兆?

秋山投手に話は聞けなかったんですが、テレビで見る限り、ランナーを出したあとは特にしっかり制球できていたような気がします。8奪三振はもちろん今季最多。シーズンで見ても、昨年の116個と2012年の96個はともにリーグトップだったくらい、三振数の多い秋山投手でした。それがすべてではないとはいえ、三振も1つのバロメーターなのかもしれませんね。ことしは8日までの10試合で17個と少なめ。きのう9日で11試合25個となっています。

6回で8奪三振の秋山投手。6安打されるも要所で低めに決まっていました。
6回で8奪三振の秋山投手。6安打されるも要所で低めに決まっていました。

なんといっても、きのうの試合で右打者に対する外へのスライダーやカットボールが見事でした。それも含めて低めにコントロールされていた秋山投手の投球、ナイター前の1軍首脳陣にも見てもらえたことでしょう。ファームで毎年、最多奪三振を競っているのは本意じゃありませんからね。

そうそう、抑えの貫録と球威がよみがえってきた玉置投手も目に留まっていますように。「しばらくゲームから離れてレベルアップできた。もとに戻すだけでは意味がない」というコメントは先日もご紹介しました。これで半月ぶりに試合復帰してから6試合、5回1/3を投げて2安打9三振1四球で無失点!「三振はいつでも取れるんで」と話していた頃の玉置投手を思い出しました。球速が少し上がったことで、あのチェンジアップがさらに生きますね。鳴尾浜の防波堤が復活、と言っている場合じゃありません。やはり甲子園で腕を振ってほしいと願います。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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