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同級生の江越選手とともに3安打!打撃好調の中谷選手がリーグ首位打者に《4/17 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
今季初の3安打で打率を一気に上げ、ウエスタン・リーグトップに躍り出た中谷選手。

きのう17日はウエスタン・広島戦が行われた鳴尾浜。甲子園でナイターの巨人戦があり、そちらへ行く前に寄られたお客様が多かったのか、平日にしてはスタンドが大盛況でした。試合後に古屋監督が「きょうはいろんなことがあったねえ」と振り返り、また小刻みにつないだ投手陣に久保投手コーチは「野球の“読み合い”の面白さが出たゲーム」と表現しています。詳しくは試合経過でご確認ください。

《ウエスタン公式戦》4月17日

阪神-広島 4回戦 (鳴尾浜)

広島 100 010 300 1 = 6

阪神 004 100 000 0 = 5 

※延長10回

◆バッテリー

【阪神】秋山-渡辺-榎田-鶴-山本-桑原-●玉置(2敗2S) / 小豆畑

【広島】中村恭(3回1/3)-西原(1回2/3)-佐藤(1回)-池ノ内(1回)-江草(1回)-○今井(1勝1S)(1回)-S飯田(1/3回) / 磯村

◆二塁打 横田、下水流、桑原

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]一:中谷  (4-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .341

2]遊:植田  (3-2-0 / 1-1 / 0 / 1) .229

3]指:原口  (2-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃打指:緒方 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .231

4]中:江越  (5-3-2 / 1-0 / 1 / 0) .353

5]三:黒瀬  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .118

6]左:一二三 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .125

〃打左:柴田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .294

〃打:岡崎  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃走:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

7]二:西田  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 1) .292

〃走二:荒木 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .067

〃打:鶴岡  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

8]右:横田  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .125

9]捕:小豆畑 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .158

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山  4回 51球 (1-2-1 / 1-0 / 1.13) 139

渡辺 0.1回 13球 (2-0-0 / 1-1 / 2.45) 141

榎田 1.2回 20球 (1-1-0 / 0-0 / 0.00) 142

鶴  0.1回 8球 (3-0-0 / 3-3 / 6.75) 143

山本 0.1回 9球 (1-0-0 / 0-0 / 4.05) 135

桑原 1.1回 10球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 148

玉置  2回 32球 (2-1-0 / 1-0 / 1.00) 140

経過1 3回と4回で5点取って逆転

秋山は1回、先頭の中東に四球を与え、庄司の犠打失策(小豆畑から西田に送球、西田のエラー)で1無死一三塁として、新外国人・シアーホルツの二ゴロで1点を先取されます。しかし2回は三者凡退、3回は2死から庄司に中前打を許しただけで、4回も三者凡退でした。

その間に打線が援護します。3回は小豆畑と中谷がともに中前打、植田はサード内野安打で1死満塁として原口の中犠飛で同点。続く江越が左前打、あまりいい当たりではなかったものの、それが幸いして2人を還します。さらに黒瀬の中前打で1死一、二塁となり一二三が右前タイムリー。ただし三塁を狙った黒瀬が、9-2-5と渡ったボールでタッチアウト(古屋監督いわく「自爆」だそうで…)となり攻撃は終わりましたが、この回6安打を集中して4対1と逆転に成功!

4回にも1死から横田が左中間へ足を生かした二塁打を放ち、小豆畑の打球はショート桑原の好守備で内野安打に(このあともショート桑原の、高校出ルーキーとは思えない安定感抜群の守備に、ヒット性の当たりを何本か捕られる阪神打線)。これで一、三塁となって中谷が中犠飛。植田は四球を選び2死一、二塁で原口、と思ったら小豆畑が牽制死して1点止まりです。

経過2 7回に追いつかれる

調子の上がってきた秋山でしたが、4回で交代。5回は渡辺が登板して下水流のサード内野安打と桑原の中前打などで1死一、三塁として降板。代わった榎田が中東を一ゴロに打ち取るも、この間に1人還って5対2。

そして7回、4人目の鶴が土生に右前打、下水流にフェンス直撃の中越え二塁打を浴びて無死二、三塁となり、続く桑原の左越え二塁打で2人を還して1点差。そのあと犠打で1死三塁とされたところで鶴が降板します。代わった山本は代打・赤松を投ゴロに打ち取り、山本→黒瀬→小豆畑→植田→中谷とボールを回して三塁走者を狭殺。しかしその間に赤松を三塁まで進め、続く庄司の右前タイムリー。ピッチャーは桑原に代わって、鈴木将を2球で一邪飛に切って取り終了。ついに追いつかれてしまいました。

4回が終わったところでノーヒットは原口と西田のみだった打線。5回に先頭の原口が打った!と思ったらまた桑原の守備で遊ゴロ。江越はショート内野安打となり盗塁を決めますが後続を断たれ、6回は西田と中谷にヒットが出るも無得点。7回は江越の右前打、8回は西田の四球と毎回走者を出しながら勝ち越せず、5対5のまま9回を迎えます。

9回裏2死、カウント3-2となったスコアボード。
9回裏2死、カウント3-2となったスコアボード。

9回のマウンドには玉置が上がり、ビシッと三者凡退。その裏に登板した広島の今井から、先頭の中谷が中前打を放ちボークで二塁へ。植田が苦労しつつ、それでも結果は絶妙の犠打を決めて1死三塁とチャンスを広げましたが、緒方は遊ゴロ、江越はフルカウントの末に空振り三振。今季チーム初の延長戦に突入です。

経過3 判定が覆った延長戦

一度は右飛と判定された打球が右前打に代わり、抗議する古屋監督。
一度は右飛と判定された打球が右前打に代わり、抗議する古屋監督。
問題の打球を打った岩本選手(左)と、ゲーム再開に備える一塁の森笠コーチ。
問題の打球を打った岩本選手(左)と、ゲーム再開に備える一塁の森笠コーチ。
「得点なしで2死一、三塁」からの再開に、今度は高監督(右)が福家塁審に抗議。
「得点なしで2死一、三塁」からの再開に、今度は高監督(右)が福家塁審に抗議。

10回も続投の玉置は先頭の赤松を遊ゴロエラー(植田がよく追いついて捕ったものの、走りながら送球しようとしてポロリ)で出し、犠打などで2死二塁となって4番・岩本の打球がライトへ!これはタイムリーだと思った瞬間に横田がダイブして…捕った?落とした?横田は何もアピールしません。みんなの動きが止まったのちにアウトのジャッジがあり、かなり戸惑った空気の中、選手が引き揚げてきます。ベンチに戻る横田の顔もポカンとした感じ。

一塁付近では4人の審判が集合して協議が行われ、やがて福家一塁塁審から説明がありました。やはり「捕球していない。記録は岩本の右前打」とのこと。まず抗議に出た古屋監督はすぐに戻ったんですが、ランナー一、三塁でのゲーム再開に今度は広島の高監督が猛抗議。なぜ三塁なのか、ということでしょう。「還っていたんだから!」「協議の結果です!」というやり取りがスタンドまで聞こえてきました。

やがて2死一、三塁で再開された試合は、次の5番・小窪が左前打して勝ち越し。その裏は飯田に対して1死から代打の岡崎が左前打して望みをつないだものの、続く代打・鶴岡は二ゴロ併殺打。3時間45分の長い試合は6対5で広島が勝って終了です。

先発復帰の秋山、手応えの51球

久しぶりの先発に「緊張しました」という秋山投手。
久しぶりの先発に「緊張しました」という秋山投手。

いろいろあった上に長い試合で、秋山投手が先発したことを忘れてしまいそうでした。今季公式戦初先発に「緊張しましたね」と息を吐きます。2回だけセットポジションで投げたのも「ちょっと緊張していたせいか、しっくりこなくて。ムダな動作なくシンプルにいこうと(2回は)したけど、セットでもあまり良くなかったんで、練習してきたことをワインドアップで出そうと3回からまた戻しました」と説明。それで3回、4回と尻上がりに?「これから上がってくるかなと思ったら終わっちゃいました」と少し苦笑いです。

シアーホルツ選手には「リーチがあると思ったので、しっかり近い球で打ち取れた。外国人の攻め方が一番よかったかなと思います」とのこと。久しぶりに長いイニングを投げ「全体的には納得できていませんが、広島は早打ちなので早めの勝負をした。フォークもそれなりに使えていたし。しっくりこない中でも、うまくゴロを打たせていけたと思います」と収穫を口にしました。

久保投手コーチは「3回までの予定だったけど、よかったので4回もいったんです。これからってとこ?そう、きょうは手探りだったと思うけど、4回が一番よかったね。いいとこが出てきた。広島はいいバッターが並んでいて、いいバロメーターになったと思うよ。フオークがよかったし、真っすぐもスピードガン以上にバッターが差し込まれていた。本人の持ち味が、ボールをどれだけ前で離すか。それを相手に感じさせられたでしょう。スタートラインに立ったかな?」というコメント。

また久保コーチは「桑原はいいね。力はあるし、自信を持っていい。普通にあのボールを投げておけば成績を残せる。スライダーもいいし、真っすぐは150キロくらい出るでしょう。もっとオーソドックスにいけばいいんだよね。山本は(1点差に迫られた7回2死三塁の場面で)庄司に投げた球。2ボールから、あそこでインコースの真っすぐはないよ。フォアボール覚悟でいってほしい。そういう読み合いがたくさんあった試合」と振り返っています。

江越は3安打も9回の三振を悔やむ

こんな写真ですみません!9回裏2死三塁、フルカウントの末に三振を喫した江越選手。
こんな写真ですみません!9回裏2死三塁、フルカウントの末に三振を喫した江越選手。

13日に登録を抹消され、ファームではこれが4試合目の江越選手。この日は3安打2打点に1盗塁という内容で「ヒットは1本目、2本目とも変化球で、飛んだところがよかった。いい感じをつかめてきています。1日で終わらないよう続けていきたい」と話しています。3回のタイムリーには「4番だったし、打たないとチームが勝てないので。チャンスで結果を残せるように」と言い、逆に9回裏2死三塁のサヨナラ機を振り返って「ほとんどがボール球だったので冷静になれればよかった…」と反省もありました。

再昇格に向け「いつチャンスをもらってもいいように、自身を持ってやれるよう打つこと、守ること、走ること、しっかり全部やっていきたいです」と語るルーキー。この話を聞く際にも同い年の中谷選手と笑いあっていた江越選手ですが、同期入団の選手たちとは「ファームに来て、多少は会話が増えた」と言います。みんなで切磋琢磨しながら1軍へ行ってくださいね。なお5回の盗塁は「行けたら行け」のサインだったそうです。

古屋監督は「3本しっかり打った。ヒットの内容もよかったけど、9回は今井に三振。1軍クラスのピッチャーとの経験の差が出たかな。これから?4番でずっと使いますよ」と話しています。

打率.341に急上昇!中谷

自分のフォームが固まり、打席で迷いがなくなったという中谷選手。
自分のフォームが固まり、打席で迷いがなくなったという中谷選手。

そして江越選手と同級生の中谷選手は打線好調!特にここ最近、いい打球のヒットが目立ちますね。きのうも最初の遊ゴロ以外は3本とも右前打、犠飛もセンターでした。4打数3安打1打点で、16日現在は.297だった打率が一気に上がって.341。リーグ首位打者になっています。また公式戦の3安打は自身今季初で、チームでも3月17日の西田選手、3月20日の北條選手以来。きのうは江越選手も安打で、2人以上が1試合で3安打するのは今季初です。って、これはちょっと寂しいかな。

好調の要因を自己分析して、中谷選手はこう言いました。「悪い時はいろいろ考えてしまって。フォームとか、もっとこうしなきゃとか。打席でも、フォームのことを考えてモヤモしながら立っていました。今はそれがないですね。フォームがこれ、って決まっているからピッチャーと勝負できています。ボールに入っていけている感じがある」

そろそろ大きいのも見たいかな?9回にサヨナラホームランを期待していたと言うとニヤッと笑い「あそこはとにかく出ようと思っていたので。悪い時は大きいのを狙ってしまうけど、今は何も考えずにいけている感じがします。1年目の感じに近いかも」と。そうか、1年目は何も考えずに打てていたんですよね。そう言って頷いたら「考えてましたよ~!」て笑いながら反論します。ごめん、ごめん。「何も」って失礼でした?とにかく余裕を持って打席に入り、楽にバットが出ている印象です。

3戦連続安打の植田

3月22日の中日戦(鳴尾浜)以来2度目の2番を打ち、4月2日のオリックス戦(鳴尾浜)以来2度目のマルチヒットを記録した植田選手。これで3試合連続安打ですが、本人は「ボールを振らずに、しっかりストライクを打てているから…ですかねえ」と悩みながらの回答でした。「きょうは1本目(中前打)が追い込まれていたので真っすぐも変化球も、と思って打った」そうです。ここまで16試合で選んだ四球は、きのうの1つを加えて6つ。「ボールは見えていますね。きょうも追い込まれてからのワンバウンドとか、しっかり見られた。三振もしたけど」とここは苦笑。

出会いがしらに撮ったので、ちょっと驚いた表情の植田選手です。
出会いがしらに撮ったので、ちょっと驚いた表情の植田選手です。

同点で迎えた9回に、ヒットで出た中谷選手を送るバントが決められてよかったですねえ。「三塁側はいけるんですけど、一塁側は苦手で」。2番はバントも多いでしょう?「それが困りますね」。でも練習は一生懸命していますので。それと10回に先頭打者・赤松選手のゴロを落としてしまったエラーには「足が速いので焦りました」と反省しています。

同い年でショートを守っていた広島の桑原選手のことは「していますよ。高校の時に練習試合をしたことがあるので」と植田選手。そうなんですね。やっぱり守備はうまかった?「いや、守備のことは覚えてないですね。バッティングが印象に残ってます。その試合でホームラン打たれたんで。あ、僕が打たれたんじゃないですよ」。いやいや、打たれたのがピッチャーだというのはわかっていますよ、海くん。へえー!そうでしたか。ホームランをね。

ちなみに、きょうの桑原選手の守備を見ていてどうだった?と尋ねたら「向こうもエラーしてなかったんで、先にエラーしたくないなと思ってた」という感想。なるほど、そこですか。でも最後に植田選手がやっちゃいましたね。桑原選手も俊足を生かした守備範囲の広い内野手です。負けずにアピールしましょう!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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