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大きく振りかぶって! 筒井投手が先発で7年ぶりの4イニング 《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
2週間前からワインドアップモーションに変えた筒井投手。ダイナミックです。

きのう21日もポカポカ陽気の阪神鳴尾浜球場でウエスタン・中日戦が行われました。先発がプロ12年目の筒井投手。ずっとリリーフで活躍している左腕ですから、2週間前にワインドアップのフォームに変えてからも中継ぎでの登板でした。いつ以来の先発か?本人と話をしたところ、直近では昨年2月の沖縄キャンプ練習試合だそうです。

4イニングも投げたのは何年ぶり?

1軍公式戦では2009年に2試合の先発登板があり、また入団3年目まで(2004年~2006年)はファーム公式戦でローテーションに入って15試合前後に投げています。2006年には9勝を挙げ、ウエスタン・リーグ最多勝を受賞しました。翌2007年には11セーブをマークして今度はウエスタン・リーグ最多セーブのタイトルを獲得。以降、1軍での活躍は皆さんもご存じでしょう。

4イニングも投げたのは、いつ以来ですかねえ。1軍での最後(2009年)は2試合とも3回までにノックアウトされたし、去年のキャンプ練習試合も3回3失点で」と苦笑いの筒井投手。じゃあファームで最多勝を獲った2006年以来かな?という話で着地しました。確かに公式戦では、それ以来9年ぶりとなります。しかし昨夜、自分の資料をひっくり返してみたら…非公式戦で1試合ありました!

筒井投手がプロ5年目、2008年のフェニックスリーグです。10月22日に行われた西武戦で先発して5イニング、打者20人に68球を投げ5安打4三振1四球で無失点という内容でした。背番号『19』では最後となる対外試合のマウンドだったわけです。この時以来、7年ぶりに投げた4イニング。詳しいコメントは後ほどご紹介します。

今成、荒木、緒方、原口は復帰間近

また試合後に秋山投手と岩貞投手が投げ、今成選手と荒木選手がバッティング練習を行いました。2人とも右わき腹を痛めて別メニューでのトレーニング中。本隊が福岡遠征中にシート打撃もやっていますが、荒木選手はきのうから試合前のバッティング練習にも入っています。古屋監督は「きょう9割~10割で振っていたから、あすの様子をみてということだね。問題なければ24日の練習を見て、25日の育成試合(日本新薬)にいけたらいいかな。今成荒木、それと緒方も。ちょっと寒くなるみたいけど」と話しています。

右ひざを手術してリハビリを続けてきた緒方選手も、ようやくゲームが見えてきましたね。ただし週の前半はまた気温が大きく下がる予報だけに、3選手とも無理せず延期となる可能性もあるでしょう。あくまでも「そのあたりで出られたらいいな」という希望ですので。

なお名前の出てこなかった原口選手について「原口は、きょう延長10回があれば代打でいくつもりだったよ。9回に出したら10回に守らなきゃいけないでしょ?守備はまだ無理なので」と古屋監督。もしかすると、きょう打席に立つ可能性がないとはいえませんね。ただし野手の人数がギリギリゆえ、代打で出るタイミングも難しい。うまくチャンスが巡ってきますように。原口選手本人は「いつでも行けます!」と準備万端のようです。

前置きが長くてすみません。21日のウエスタン・中日戦の結果と試合経過をご紹介します。前日と逆に、きのうは中日が奥ゆかしい攻撃をしてくれて助かったのですが、後半は盤石だったリリーフ陣がまさかの失点。いったん逆転するも追いつかれ勝ち越されて、開幕3連勝はなりませんでした。

《ウエスタン公式戦》3月21日

阪神-中日 2回戦 (鳴尾浜)

中日 000 001 101 = 3

阪神 000 002 000 = 2 

◆バッテリー

【阪神】筒井-渡辺-山本-高宮-●玉置(1敗1S) / 鶴岡-小宮山(7回~)

【中日】岩田(7回)-○岡田(1勝)(1回1/3)-S武藤(1S)(2/3回) / 加藤

◆三塁打 松井佑 

◆二塁打 伊藤隼 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:横田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .000

2]二:西田  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .545

3]一:中谷  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .375

4]右:伊藤隼 (4-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .231

5]指:狩野  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

6]三:岡崎  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .222

7]左:一二三 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .167

8]捕:鶴岡  (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃捕:小宮山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

9]遊:植田  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .000

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)最速キロ

筒井 4回  70球 (3-2-2 / 0-0 / 0.00) 140

渡辺 1回  12球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 134

山本 1.1回 41球 (2-1-4 / 2-2 / 7.71) 138

高宮 1.2回 25球 (0-1-2 / 0-0 / 0.00) 138

玉置 1回  15球 (2-1-0 / 1-1 / 4.50) 140

3連打で一度は逆転するも…

2回、3回は3人ずつで片づけた筒井投手。
2回、3回は3人ずつで片づけた筒井投手。

筒井は1回、先頭の遠藤に粘られて中前打されますが牽制で刺し、谷は見逃し三振で2死。ところが松井に四球、古本は投ゴロでファースト中谷の捕球エラー、和田も四球と満塁にしてしまいます。でも杉山を左飛に打ち取って3者残塁。前日の阪神みたいに遠慮がちでしたね。2回と3回は三者凡退に切って取り、4回は先頭の古本から連打を許しながらも後続をビシッと断った筒井。4回を投げ3安打無失点です。ここまで伊藤隼、一二三、西田らの好守備もありました。

5回は渡辺が12球で三者凡退。しかし6回に登板した山本は松井佑に左前打を浴び、さらに連続四球で無死満塁として杉山の右前タイムリー。以降は3人で片づけたものの先取点を与えています。

5回まで岡崎が2回に放った右前打1本と2四球しかなかった打線ですが、先制された直後の6回裏、2死から西田と中谷の右前打、加えて暴投で二、三塁となり伊藤隼が右越えのタイムリー二塁打!2人が生還して逆転に成功しました。

と思ったら…山本が続投した7回、先頭の遠藤に死球、犠打で1死二塁として松井佑に四球を与えたところで降板。変わった高宮が古本に四球を与えて1死満塁となり、続く和田の中犠飛で追いつかれます。杉山を空振り三振に切って取った高宮、8回は1四球のみで無失点。

こちらの攻撃は7回、8回が三者凡退で2対2のまま迎えた9回に登板した玉置は、1死後に松井佑の三塁打を浴びてしまいます。センターの少し左へ飛んだ打球を横田が追って、でも届かずというもの。そして次の古本に右前タイムリー。1点勝ち越されました。その裏は伊藤隼が降り逃げで出塁するも、チャンスを広げるに至らず試合終了です。

試合後の談話 監督、コーチ

古屋監督は「1軍経験のある、こういうピッチャーを打っていかないといけないね。7回、8回、9回に強い選手にならないと。それはピッチャーも含めてね。山本や玉置も順調に来たのに、思わぬ結果になってしまった」とゲームを振り返りました。また筒井投手のことは「ことしは6連戦が多いので、中継ぎのピッチャーに先発してもらう場合もある。それにファームで60球、70球投げておかないと1軍の20球、30球は投げられないから」と言います。現時点で先発に固定と決まっているわけではないんでしょうかね。

久保投手コーチも「太い幹を作りにいっているところ。まだいろんなものがついているので、無駄なものをそぎ落として芯にしていく。長いイニングを投げて感情が出るピッチングを目指しています。中継ぎになってセットポジションになっても、力の入れどころがわかってくるからね」と筒井投手について話しました。

筒井「4イニング投げて楽しかった」

では筒井投手のコメントです。立ち上がりがちょっと不安定だった?「最初、思い切っていこうとしたら思い切りすぎたというか…豪快にいくはずが、あやうくゲームを壊してしまうところでした。きょうの1回に関しては、自分ではもっとうまく入れると思ったのにそうはいかず、バタバタになってしまった。先発ってのはゲームを作ることがメインだと思うので、1回は運よく0点に抑えられたから2回以降は切り替えて。鶴岡さんがうまく引き出してくれました」

降板後もブルペンで投げ「フォームの修正や感覚の微調整をやったので、自分としてはまた次と思っています。それが先発であれ中継ぎであれ、きょう出た課題をクリアしていければ。先発をやるならイニングを延ばし、球数を増やしていきたい」と話しています。次が先発かどうかということも、まだ言われていないそうです。

7年ぶりの4イニング、考えながら野球ができたと言う筒井投手です。
7年ぶりの4イニング、考えながら野球ができたと言う筒井投手です。

「セットポジションで投げていて、見た目も自分自身も変わり映えしなかったので、振りかぶって投げてみた」というフォームチェンジ。今月7日、雨の中でお披露目した“ダイナミック投法”は「これなら使えるな」の手応えとともに「今までは肩やヒジに出ていた張りがなく、下半身に出るようになった。振りかぶって、肩もヒジも楽になってきています。ここ数年は何とも言えない張りがあって不安だったんですけど、体全体を使って投げるのがいいのかも」と変化も感じたそうです。

さらに「同じバッターに違う攻めでいくとか、考えながら野球ができた。きょう4イニング投げて…やっぱり楽しかったですね」と、えくぼを見せる筒井投手でした。

「同じ失敗はできない」と山本

6回から登板して2安打4四死球と、珍しく制球を乱した山本投手。一番最後にブルペンから戻ってきて「いろんなことに取り組んでいる中、しっかり足を使って投げるということをやっていたんですが…うまく合わなくなって“怪しいな”と。ちょっと崩れただけなのに、最後まで修正できませんでした」と、さすがにガックリとした面持ちです。

「このまま上半身だけで投げていたら、あそこまでひどくならなかったとは思いますが、そしたら成長できない。きょうこんな結果になったからといってやめるんじゃなく、継続していきます。試合はダメでしたが、同じ失敗はできないので、その後のブルペンでも確認しました。今やっていることを信じて続けるしかないですね。同じ失敗はしない」と繰り返しました。次は大丈夫!

3試合連続打点、伊藤隼

最後に、きのう唯一の打点を挙げた伊藤隼選手。開幕戦からすべて打点があり、3試合で5点目ですね。6回の2点タイムリー二塁打は「2ストライク後だったので、どんな球でも対応していこうと思っていました」とのこと。そして「まだまだミスショットが多い。きのうもそうですが…。きょう打った打席のイメージで確率を上げたい」と言います。

掛布DCは「きのう打っときゃよかったなあ!きょうの二塁打。首脳陣が見ていたのに」と笑いながら「状態はいいと思うよ。まだ1軍は開幕したわけじゃない。ファームが開幕しただけで。この3試合いい結果も出しているし」と。ミスショットに関して「彼は最後までボールを見ようとしすぎて、体が止まってしまっていた。止まると傾くんだよ。自然に回っていけばレベルに振れる」と説明。回っているコマが止まる時に傾くのと同じだそうです。わかりやすい例えをありがとうございました!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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