Yahoo!ニュース

先発の横山が被弾、しかし2試合連続2ケタ安打で本拠地開幕戦も白星!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後に整列しての挨拶。ことしの発声担当は植田選手のようです。横田選手は卒業?

きのう20日は鳴尾浜での今季初公式戦が行われました。相手の中日はこれが開幕カードです。先発は阪神がドラフト1位の横山投手、中日は昨年のドラフト1位・鈴木投手で、互いに1回から失点する展開。ただ、鈴木投手がかなり制球に苦しみ8四死球(四球4、死球4)。それ以外にも体ギリギリに来る球が多く、みんな上手に避けてくれてホッとしました。

そんなわけで4回までに3度も満塁のチャンスがあったわけですが、阪神打線は非常に奥ゆかしく…内野ゴロと押し出し死球による2点しか取れません。それも中日が1点取ったら1点、もう1点取ったら1点と厚かましさがない。でも6回にランナー2人を置き、俊介選手がホームランを打ってくれたところでスッキリ!8回にも2死から満塁にして小宮山選手が二塁打を放ち試合を決めています。とはいえチーム11安打のうち、1軍から参戦の坂選手、柴田選手、俊介選手、北條選手で計8安打ですからね。

なお中日は鈴木投手のあとルーキー3人が登板。これがややこしかった!もちろん今ファームにいるかどうか考えれば、すぐにわかることなんですが、『浜田』と言われると『濱田』投手を思い浮かべてしまいます。次は審判が放送室に「ピッチャー山本まさ」って告げたもんだから、スタンドはどよめき!来ていないのは周知のはずなのに、私も「おお~」と。登録名が『山本雅』で、音にするとおんなじですもんね。「なるほど、こっちはトミーズ雅の雅やな」という声がスタンドのあちこちから聞こえて、みんな考えることは同じだなあと笑ってしまいました。

《ウエスタン公式戦》3月20日

阪神-中日 1回戦 (鳴尾浜)

中日 101 000 000 = 2

阪神 101 003 02X = 7 

◆バッテリー

【阪神】横山-二神-○福原(1勝)-田面-藤原-小嶋 / 小豆畑-小宮山(6回~)

【中日】●鈴木(1敗)(5回1/3)-浜田智(2/3回)-山本雅(1回)-金子(1回) / 桂

◆本塁打 桂1号ソロ(横山) 俊介1号3ラン(鈴木) 

◆二塁打 松井佑 小宮山 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中左:柴田 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .500

〃打左:中谷 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .500

2]二:北條  (4-3-0 / 0-1 / 0 / 0) .750

3]三一:坂  (3-1-0 / 1-2 / 0 / 0) .333

4]右:伊藤隼 (5-0-1 / 1-0 / 0 / 0) .222

5]左中:俊介 (3-2-3 / 0-2 / 0 / 0) .667

6]一三:西田 (3-2-0 / 1-2 / 0 / 1) .625

7]指:横田  (4-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

8]捕:小豆畑 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃捕:小宮山 (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .500

9]遊:植田  (3-0-1 / 1-2 / 0 / 0) .000

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)最速キロ

横山 4回 64球 (6-2-1 / 2-2 / 4.50) 142

二神 1回 6球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 144

福原 1回 8球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 140

田面 1回 23球 (0-1-1 / 0-0 / 0.00) 130

藤原 1回 15球 (1-0-2 / 0-0 / 0.00) 137

小嶋 1回 15球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 143

イライラの前半、スッキリの後半

この日は、腕を振っても球威がなかったと反省する横山投手。
この日は、腕を振っても球威がなかったと反省する横山投手。

横山は1回、先頭にストレートの四球を与え、1死後にボークで二塁へ。松井佑の中前タイムリーで先に1点を失います。しかしその裏、柴田の右前打、北條が死球、坂は四球で無死満塁と攻め、伊藤隼の二ゴロの間に1点。俊介も死球でまた満塁となりましたが、西田と横田は打ち取られて三者残塁。同点止まりです。

3回に横山が9番・桂にレフトへ1号ソロを許し、次の遠藤には右前打、犠打で1死二塁とするも後続を断って2対1。その裏、1死から俊介が右前打して西田の四球、2死後に小豆畑が死球でまたしても満塁。続く植田の死球で押し出しと再び追いつきます。なおも満塁のチャンスで、2打席連続安打の柴田が右飛に倒れて、やっぱり同点止まりでした。

4回は2死から連打された横山ですが、ここは0点に抑え4回6安打2失点。その裏は北條と坂の連続内野安打などがあり、2死後に西田の四球で早くも3度目の満塁!でも横田は遊ゴロ、二塁封殺で得点が入りません。ここまでで6安打と7四死球と塁上を大いに賑わせながら、既に11残塁という攻撃…。5回は二神が三者凡退。鈴木も三者凡退です。

6回は福原が登板して、こちらは8球で三者凡退。その裏、続投の鈴木に対して北條が3打席連続安打となる左前打を放ち、坂は四球、1死後に俊介がレフトへ3ラン!ようやくスッキリと得点できましたね。続く西田の打球はピッチャーを強襲する内野安打で、鈴木は降板。代わった浜田智から横田が遊ゴロを打って二塁封殺。横田の盗塁失敗でチェンジとなっています。

「打てたのは嬉しいけど…」。きのう清水選手と入れ替わった小宮山選手は複雑です。
「打てたのは嬉しいけど…」。きのう清水選手と入れ替わった小宮山選手は複雑です。

7回の田面は球数を要し、1四球も与えますが無安打無失点。8回の藤原は死球、左中間二塁打、四球で無死満塁とするも、併殺打などで無失点でした。その裏の攻撃は金子に対して2死となったあと、俊介が四球。西田は中前打、横田も死球でこれまた満塁。途中出場の小宮山がセンター左への二塁打を放って、ダメ押しの2点を追加!9回は小嶋が登板します。先頭の藤澤をサード西田の捕球エラーで出したものの、後続をしっかり断って試合終了。

横山、課題と収穫を得た登板

試合後、横山投手は苦笑いというか、何とも言えない表情でした。「ストライクを狙っても入らなかった。バランスも悪かったし、体のキレもなかった。立ち上がりの悪さは社会人時代から言われてきましたが、先頭に四球を出してはいけないですね」。その1回にはボークも宣告され「ちょっとランナーを意識して間合いを変えようとしてやって、ちょっと早かった。社会人で取られたことはなかったんですが、気をつけないと」と反省しています。

公式戦初登板の横山投手。悔しさの中に収穫も。
公式戦初登板の横山投手。悔しさの中に収穫も。

4回を投げて2失点という結果に「本来、ズルズルいってしまう傾向はあるんですけどプロで先発をやる限りは、そういうのが大事になってくる。抑えるのが一番で、でも悪いなりに何とかやれた。そこは収穫ですね。ゲームを作る上で大事なことかなと思います」。和田監督や山口投手コーチなど、1軍首脳陣も多く視察に訪れましたが「特に気にはなっていないけど、ここでいいピッチングをしたらアピールできたのに。でも引きずることなく切り替えて、課題をしっかり“つぶして”やっていきます」とのこと。

変化球でカウントを取りたい、と前日言っていた横山投手。「きょうの中でもカーブは、まあまあよかった。ストレートが走っていない分、生きなかったけど。カーブは前よりよくなっていますね」。次回登板に向けて「きょうは投げていてもキレがなかったし、腕を振っても球威がなかった。ローテーション入りを目指す立場として、登板までの間のコンディショニングが大事だと思いました。早く自分に合った方法などを見つけたい。次、打たれたらイメージ悪いし…準備だけはしっかりやりたい」と締めくくりました。

久保投手コーチは「調子が良い日も悪い日もあるからね。きょうはどちらかというと悪い日。もっとバラバラになって点を取られるかと思っていたけど、悪い→グチャグチャになる→試合をぶち壊すということにはならず、自分のやるべきことをやれていた。コンディショニング?それが“調子”だね。そういうのがあって普通。いい日ばかりじゃない。悪い時の対処が問題。ああいう形で終えられたのはよかったんじゃないかな」と話しています。

福原、二神はピシャリ!

福原投手は内転筋にも問題なく「上々」。
福原投手は内転筋にも問題なく「上々」。
「しっくりきた」と二神投手。
「しっくりきた」と二神投手。

福原投手は「まあまあよかったんじゃないですか。投げられてよかったし、ベースカバーもできたので上々。まずバッターに対して投げることで、これまではチームメイト相手だったから。バッターへの感じ、力んでみて足がどうかなどの確認でした。問題なかったですね。あとはどれだけ実戦を重ねていけるか、という感じです」と、十分な手応えを得た、復帰登板だったようです。

続いて二神投手。前は、ブルペンでのボールが試合で出せていないと言っていましたが「今回はだいぶ(力が)伝わっていたと思います。あとは、1軍で打たれることもあるけど、腕があまり振れないとか、良くない時にどんなピッチングができるか、というところですね。きょうはしっくりきました」と少し笑顔も出ています。

生き残りを賭けて…

この日、1軍から参戦した坂選手は1安打、柴田選手は2安打、俊介選手は2安打、北條選手は3安打。その中で6回に決勝の3ランを打った俊介選手は「いい感じで打てたのでよかったです」とのこと。2安打だけでなく、1回には避けた顔に当たるかもという死球があり、8回はかなりインコースに来て“あわや死球”という四球も。避けた際に肩を打ったようで山下トレーナーが出ていき心配しましたが「大丈夫です。そんな日もあります」と冷静。

3ランを打った俊介選手はベンチ前でハイタッチ。…見えますか?
3ランを打った俊介選手はベンチ前でハイタッチ。…見えますか?

試合が3時間14分と長かったこともあり、ナイターの1軍オープン戦(対オリックス、京セラドーム)へ行く選手たちは大急ぎでした。この4人以外に、西田選手も行くことになっていて「すみません、時間がなくて」と中へ。西田選手や北條選手は先輩の車で連れていってもらうため、より焦っていたようですね。

古屋監督は開幕2連勝に「4人がしっかりやってくれたからね。まだ(1軍、ファームの)メンバーが決まったわけじゃないけど、意地を出してくれた。俊介も下ではいいプレーするから、上で打ってくれないとね」と1軍から来た4選手のことを挙げています。そして「横田、植田がね。教育リーグとは違うからねえ。あしたくらい打つでしょう」と一番下の2人に言及しました。

末っ子と、その1つ上の子と

開幕カードのソフトバンク3連戦は雨のため1試合目しかできなかったのですが、そこで12安打したチームの中で横田選手と植田選手だけがノーヒット。きのうもまたこの2人にヒットは出ませんでした。横田選手は「悪くないです。打ちますよ」と意に介さず。いつものように練習の締めでスイングチェックを行った掛布DCも「結果が出ていないだけで形は悪くない。焦りや力みはあると思うけど、形が悪くないからどこかで1本出れば変わるよ。今、9の0?僕はまったく焦ってませんよ。かえって開き直れていいと思ってる。たった9打数」と笑います。

さらに「毎日続けて素振りをしておくと、ポンとタイミングが合ってヒットが出ると、それをババーッと体が思い出すんですよ。だから継続してやることがすごく大切。彼はそれができるのでね」と掛布DC。1本出ればポンポンと固め打ちできる、という話もありました。そろそろですかね。

試合後に全員整列してスタンドに一礼。植田選手、大きな声でした!
試合後に全員整列してスタンドに一礼。植田選手、大きな声でした!

2試合で10打席に立ち9打数0安打の横田選手に対して、植田選手は9打席で6打数0安打(犠打1、四球1、死球1)。早くヒットを打ちたいねと言うと「はい。打ちます!あしたは」と宣言しました。きょうとあすはお母さんが見に来られますからね。ぜひ。7回に失敗した盗塁については「全然スタート切れなかった…3球目まで」と悔しがります。走ったのはカウント1-2からの4球目。「もっと早くスタート切れたらよかったです」と反省していました。初ヒットも初盗塁も、楽しみにしていますよ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事