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親子Vの2003年以来となる開幕戦2ケタ安打!《阪神ファーム 3/17》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
1回は先制タイムリー、7回にはダメ押しの今季リーグ1号ソロを放った伊藤隼選手。

きのう17日、ウエスタン・リーグが開幕。阪神ファームは雁の巣で、リーグ初の4連覇を狙うソフトバンクと対戦しました。昨年は雪やあられが舞う神戸第二球場での初戦でしたが、きのうの雁の巣はポカポカ陽気だったようですね。配信される画像を見ても、10日前の同じベンチにいたネックウォーマーの“覆面男たち”どころか、ユニホームの上に何かを着ている選手すらいません。スタンドは日傘まで登場していたくらい。

昨年はオリックスに負け、6年ぶりに開幕戦を落とした阪神でしたが、きのうは4対1でソフトバンクに勝利!開始早々に繋がった打線が計12安打を放っています。ただし得点機を逸したりして11残塁、4得点と少なめだったものの投手陣が踏ん張りました。岩本投手は6回1失点(自責0)、リリーフ陣も含め防御率0.00のスタートです。

伊藤隼選手はオープン戦でなく、ファームの遠征という悔しさは当然あるでしょうね。そこで先制タイムリーとソロホームラン。実は2013年の開幕戦(オリックス・神戸第二)でも打っています。この時は3回に中谷選手がチーム1号の2ラン、伊藤隼選手は5回に3ランでした。

ところで、開幕戦に12安打もするなんて長らくなかったのでは?と思い、調べてみました。まあ5年前くらいにはあっただろうと高を括っていたら…予想外に遡ってしまったのでビックリ。この件は後ほどご紹介します。まずは試合結果と経過からどうぞ。

《ウエスタン公式戦》3月17日

ソフトバンク-阪神 1回戦 (雁の巣)

阪神 200 001 100 = 4

ソフ 000 001 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】○岩本(1勝)-高宮-山本-S玉置(1S) / 清水

【ソフ】●笠原(1敗)(5回2/3)-伊藤大(1/3回)-五十嵐(1回)-岡本(2回) / 斐紹

◆本塁打 伊藤隼1号ソロ(五十嵐)

◆二塁打 西田2、中谷 斐紹、福田 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:横田  (5-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

2]二:西田  (5-3-1 / 1-0 / 0 / 0) .600

3]一:中谷  (4-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .500

4]右:伊藤隼 (4-2-2 / 0-1 / 0 / 0) .500

5]指:狩野  (5-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .400

6]三:岡崎  (5-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .200

7]捕:清水  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

8]左:一二三 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .333

9]遊:植田  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .000

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

岩本 6回 109球 (4-3-1 / 1-0 / 0.00)

高宮 1回 19球 (2-1-0 / 0-0 / 0.00)

山本 1回 10球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00)

玉置 1回   6球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00)

西田、中谷、伊藤隼で鮮やかに先制!

1回1死から西田が左翼線二塁打、中谷の左前打で1死一、三塁として4番・伊藤隼が右前タイムリー。3連打で先取点を挙げます。さらに狩野の三ゴロで2死一、三塁となり岡崎は三ゴロでしたが、二塁に送られてセーフ!この間に中谷も生還して2点目。ただしスコアボードにHのランプがつきヒット総数も4だったのですが、途中で変わったようです。記録は捕球した方、セカンド川島のエラーになっていました。

2回は先頭で四球を選んだ一二三を、植田が送れず空振り三振。横田の二ゴロで二塁封殺。西田が今度は右前打を放ち、中谷の四球で2死満塁として伊藤隼!でしたが、ここは中飛で3者残塁。3回も1死から岡崎と清水の連打、一二三の一邪飛で2死一、三塁としたものの、植田が空振り三振。4回は三者凡退。5回は狩野の左前打のみで追加点なし。ここまでで早くも8残塁です。

しかし6回、先頭の一二三が左前打、植田の犠打(今度は成功!)で1死二塁。横田が放った遊直で一二三は手から帰塁してセーフ。続く西田がライトへ放った打球に、牧原は前進して飛び込むも捕れずタイムリー二塁打となりました。これで3対0。この時点で西田はもう3安打です。そして一二三に左前打が出たので、1番・横田と9番・植田だけヒットがありません。

先発の岩本投手は、1回1死から斐紹にレフトフェンス直撃の二塁打を浴びますが、3番・江川を見逃し三振、4番・猪本を三ゴロに仕留め無失点。2回は先頭・福田の中前打だけ。3回は三者凡退。4回は猪本にストレートの四球を与えるも、最後まで四球はこの1つのみでした。5回は白根に左前打されますが、味方の好守備もあって無失点。

投手陣が好投、伊藤隼はリーグ1号

ところが3点目が入った直後の6回裏、簡単に2死を取ってから猪本の打球をサード岡崎がエラー。二塁へ進めてしまい、次の福田に右翼線へタイムリー二塁打を浴びました。岩本は6回を投げ4安打1失点、もちろん自責は0です。

3対1となって、7回はソフトバンク3人目の五十嵐が登板。先頭の伊藤隼はその初球、高めにきた真っすぐを打ってライトへのホームラン!ファームではありますが今季チーム1号、もう1試合(広島-オリックス1回戦)は出ていなかったので今季リーグ1号です。8回は植田が初球を打って右飛、横田も初球を打って中飛、西田は空振り三振で三者凡退。9回に先頭の中谷が左中間二塁打を放ち、伊藤隼の四球で無死一、二塁と攻めたんですが、狩野は空振り三振。岡崎は三ゴロ併殺打で攻撃を終えました。

岩本のあと7回は高宮が、白根の右前打と牧原のセカンド内野安打を許しながらも0点に抑え、8回の山本は3番からの江川、猪本、福田を10球で三者凡退に切って取ります。そして9回は玉置。最終回での登場は約1ヶ月ぶり、安芸キャンプいらいですねえ。まず先頭の代打・上林をチェンジアップで空振り三振、代打・高谷は初球で中飛、最後の白根も初球で右邪飛と三者凡退締め!わずか5球で片づけて初セーブです。

西田「しっかりタイミングが取れた」

岩本投手も不運な失点があったけれど、内容はさすが1軍のオープン戦で結果を出しているピッチャーという内容です。ことしは鳴尾浜であまり会えないかもしれませんね。また前日に「打ちますよ」と出かけていった横田選手植田選手の1、2年生コンビですが、この2人だけが残念ながらノーヒットで終わってしまいました。でも横田選手はしっかりスイングしていたし、植田選手も2度目はバントを決められたし、これからです。

この試合は両チーム合わせて7度、併殺を取りにいって6度が二塁封殺のみ。最後の岡崎選手だけが併殺になっています。2回に1死一塁で横田選手が二ゴロを打って一塁はセーフになった際、配信されている画像から「なんて足が速いの」みたいな声が聞こえました。おそらく福岡のお客様だと思います。一塁を駆け抜けた横田選手に対する賛辞と受け止めさせていただきました。

2番の西田選手が3安打で、中谷選手、伊藤隼選手、狩野選手のクリーンアップが2安打ずつとつながりを見せた打線。その中で西田選手には、短めですが話を聞けたのでご紹介します。「きょうはしっかりタイミングが取れていました!それだけです」。遠征前にもずっと「始動を早く」と繰り返していたので、その点はうまくいったのでしょうね。それから「最後の三振はだめです」と反省も。

5打数3安打の西田選手。ファームではありますが、いいスタートです。
5打数3安打の西田選手。ファームではありますが、いいスタートです。

打率6割だ、チームトップだと言ったら「まだ1試合ですよ」と軽く流されました。確かに。でもスタートがいいと乗っていけますもんね。期待していますよ。よこうえコンビも早く1本、出ますように。

12年ぶりの吉兆かも!?

では最初に書いた『開幕戦2ケタ安打』の件です。2004年から昨年までの11年間で、開幕戦は6勝4敗1分け。阪神のヒット数は以下のようになっています。

2014年 オ-神 ●1-5 5安打

2013年 オ-神 ○6-3 9安打

2012年 中-神 ○3-0 9安打

2011年 神-ソ ○3-1 7安打

2010年 神-ソ ○4-0 6安打

2009年 神-中 ○6-1 9安打

2008年 神-ソ ●0-4 2安打

2007年 神-ソ ●5-8 8安打

2006年 神-ソ △3-3 6安打

2005年 巨-神 ○6-2 8安打

2004年 神-中 ●2-10 8安打

ことしより得点が多い年でも9安打までだったんですね。ちなみに2008年の2安打完封負けはソフトバンク・和田投手が先発した試合でした。また2005年はイースタンとの交流試合が始まった年で、開幕カードはジャイアンツ球場での巨人戦。先発は杉山投手で、喜田選手と藤原選手の同級生アベック弾があり、リリーフのダーウィン投手に勝ちがついています。2004年は中日の筒井壮選手にホームラン2本など3安打3打点と大暴れされました。懐かしい…!

そして2003年。この年と2004年は前期、後期の2シーズン制で行われています。開幕は2003年3月29日、鳴尾浜での広島戦でした。そういや広島とは、その後ずっと開幕で当たっていないんですね。試合は4対2で阪神の勝利。勝ちは橋本投手(先発・安藤投手)で、広島の長谷川投手から関本選手がソロホームラン。桜井選手にも1号が出ています。阪神は10安打。

というわけで無理やり、こじつけさせていただきましょう。2003年、岡田監督からチームを引き継いだ木戸監督のもと、前期の日程を惜しくも2位で終えた阪神ファーム。しかし後期は優勝して、10月4日の『ウエスタン年度優勝決定戦』(由宇)に臨みました。相手は前期優勝の広島。先発・藤川投手が好投し、早川選手、喜田選手、桜井選手にホームランが出て5対3の勝利。ウエスタン・リーグ初の3連覇を達成しました。それだけでなく阪神タイガースとしても39年ぶり2度目となる、1軍&ファームの“兄弟優勝”です。

それ以来のことなんですよ、小虎が開幕戦で2ケタするのは。こんな吉兆を無視するわけにはいきませんよねえ。ほんと無理やりですけど。雁の巣へ行けなかったのに、これが言いたくて記事を出しました(笑)。残念ながら、きょう18日は雨のため中止。あすも試合は無理かなという予報ですが、勢いはなくさずに帰ってきて中日戦を迎えてください。吉兆、吉兆!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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