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横田は阪神ファームの今季1号!植田がサヨナラ打!《3/8 教育リーグ 後編》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
8日の試合後、仲良く外野をランニングする横田選手(右)と植田選手。

8日に鳴尾浜球場で行われた教育リーグ・オリックス戦でサヨナラ勝ちした阪神ファーム。試合経過や個人成績、そして初登板したドラフト1位ルーキーの横山選手に関するコメントなどは、きのうの記事に詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。『阪神ファーム サヨナラ勝ち!横山が初登板《3/8 教育リーグ 前編》』

とりあえず結果を再度載せておきます。連続写真は偶然、植田選手の打席も撮っておこうと構えた瞬間に打ってくれたサヨナラ打の場面です。

同点で迎えた9回裏。2死満塁で打席に入った植田は狙いを絞り
同点で迎えた9回裏。2死満塁で打席に入った植田は狙いを絞り
カウント2-2から、内角高めに来たストレートを打ちました。
カウント2-2から、内角高めに来たストレートを打ちました。
結果はレフトへのサヨナラ打!このバット、折れていたそうです。
結果はレフトへのサヨナラ打!このバット、折れていたそうです。

《春季教育リーグ》3月8日

阪神-オリックス (鳴尾浜)

オリ 020 000 000 = 2

阪神 001 100 001x = 3

◆バッテリー

【阪神】横山-玉置-高宮-藤原-伊藤和-田面-守屋 / 鶴岡-小豆畑(6回~)

【オリ】前田(6回)-古川(1回)-大山(1回)-森本(2/3回) / 田中-原大(4回~)-若月(7回~)

◆本塁打 横田ソロ(前田)

◆三塁打 一二三

◆二塁打 山本、宮崎 

なお得点経過は、まずオリックスが2回に谷の中前打、暴投、縞田は四球(暴投)で1死一、三塁となり田中の一ゴロの間に1点。続く9番・山本の右越えタイムリー二塁打でもう1点を横山から失いました。阪神は3回2死から横田のソロで1点返し、4回も2死から岡崎、一二三、鶴岡の3連打で満塁として西田の押し出し四球で同点。そのまま9回に入り、オリックス・森本から先頭の一二三は四球、小豆畑が送って西田の中前打で1死一、三塁。2死後に横田は四球を選んで満塁となり、植田の左前タイムリーでサヨナラ勝ち。以上です。

“よこうえコンビ”に古屋監督

古屋監督は試合後、こんな話をしていました。レフトのポール際へ今季1号を放り込んだ横田選手については「(左に)切れたと思って目を離しちゃったよ。やっぱり規格外だねえ。できれば、あのあとに1本打ってほしいね。コンスタントにヒットを打ってほしい」と期待を込めた注文です。

古屋監督が上げた手に首をすくめた植田選手。でもフェイント、祝福のなでなで。
古屋監督が上げた手に首をすくめた植田選手。でもフェイント、祝福のなでなで。

そしてサヨナラ打の植田選手がちょうど目の前を通ったため「彼はもう、エンドランの指示を出したらフライ打つし、盗塁のサイン出したら挟まれるし」と聞こえるように言って苦笑いした古屋監督。1回無死一塁での二飛、7回2死から右前打した直後の牽制死、ですね。でも「最後は、決めて来い!と言ったらハイって。よかったんじゃない?」と、普段から実戦向きと評すルーキーの仕事には○印のようでした。

「植田が決めてくれた」と喜ぶ守屋

守屋投手は前回、ソフトバンク戦(雁の巣)で1点リード8回から2イニングを投げて無失点。8日は同点の9回に登板して抑え、サヨナラ勝ちへとつなげましたが「1死から無駄なフォアボールを出してしまった。中谷さんがゲッツーを取ってくれたのでラッキーでした。無失点というのはよかったですけど、内容には納得していません。いい内容で無失点ってのがいいですね」と納得はいっていない様子。

9回を抑えた守屋投手。その裏に植田選手がサヨナラ打。「1軍でやりたいですね」
9回を抑えた守屋投手。その裏に植田選手がサヨナラ打。「1軍でやりたいですね」

この日は「下半身を使って投げることが全然できていないので、そこをテーマに投げた」と言います。また「カーブが抜けちゃうとこ多いので、カーブは100%ストライクを取れるようにしていくと楽になる。あとはストレートの抜けが多かった。それをなくすようにしたい」と反省点も挙げました。

同期の横山投手の初登板については「あいつは納得できていないと思うけど、植田が打って勝った。新人が頑張ったということで(笑)。あ、僕はあんまり頑張ってないけど」と守屋投手。いえいえ抑えたからこそのサヨナラ、勝ち投手ですよ。「植田が決めてくれたのがよかった。これを1軍でやりたいですね」。その1軍に今、同期もいます。「江越さんや石崎さんがいるので、悔しいですね。僕もあそこにいたい」。その負けん気がきっと守屋投手を甲子園に導いてくれるでしょう。

殊勲にも淡々、植田ワールド

監督からサイン通りにいかなかった点を挙げられ、笑うしかない?殊勲打の植田選手。
監督からサイン通りにいかなかった点を挙げられ、笑うしかない?殊勲打の植田選手。

ではルーキーつながりで植田選手のコメントです。サヨナラの場面を少し振り返って左前打は「真っすぐしか来ていなかったので変化球を捨てて、それだけでいこうと思って打ちました。ちょっとボール気味ですね。インコースの高め。つまってた。バット折れてました」とのこと。ここは自分が決めてやろうと?「はい、そうですね。アウトになったら次はないので」

じゃあ自信があった?と聞かれて「そんなに、自信ってのは…。あんまり打てると思って打席に入ってないんで」と苦笑いしながら答えた植田選手。確かに打撃練習を見ていても“普通”という感じなんですよね。でも試合では打つ。以前から、ああいう場面で強かったのかな?「いや、打ったり打たなかったり」。これが植田ワールドです。

アピールより課題が見つかったと横田

では、今季実戦1号の横田ワールドもご紹介しないといけませんね。打ったのはカーブ?「たぶん。スライダーかカーブです」。切れなかったね!「そんなこと言われても…」。これに戸惑った記者もいたようですが、おそらく「打球の行方を僕に聞かれても」ということだったのではないでしょうか(笑)。打った瞬間に入ったと思ったかという問いには「距離はあったので巻いてくれればと思いました」と答えています。

今季チーム1号を放ち、戻ってくる横田選手。真顔ですね。2日前に打ちたかった?
今季チーム1号を放ち、戻ってくる横田選手。真顔ですね。2日前に打ちたかった?

「左ピッチャーが苦手だったので、そこを打たなければ1軍でレギュラーは取れないと和田監督にも言われました。ことしは左を打とうと思っていたので、打ててよかったです」。うまく反応できた?「反応、だと思います。無意識でした」。変化球を狙って?「スライダーを狙っていました。カーブは頭になかった」

いいアピールになったかと振られ「アピールというか、自分の課題が見つかったので1つずつクリアしていきたいです」と、なかなか大人の返事をしています。その課題とは、左投手対策以外にどんなこと?「最後のピッチャー(森本投手)みたいな、145キロを超える真っすぐを打てないとダメだと、1軍に行ってわかりました。きょう打てなくて悔しかった」。1軍での8日間でいい経験をしてきたんですね。もっと大きくなって戻るのを、みんな楽しみに待っていますよ。

サヨナラ勝ちの貢献者にも

9回に中前打で1死一、三塁とチャンスメイクした西田選手は「たまたまです」とひとこと。その前に2死一、三塁で三振した6回の打席が悔しいと言います。「インコースはないから『外や、外や、外や』と思って…追いかけすぎました。でもことしは引きずってないです。堂々と帰ってます!」。なるほど、それで最後のヒットになったわけですね。

小豆畑選手にも聞きました。ナイスバント!と。前回のサヨナラ勝ち(2月28日の中日戦)では小豆畑選手のバントがエラーを誘ったものの、バントは失敗だったと猛省していたのですが、今回は「スプレー缶、当たったでしょ?」とにっこり。安芸キャンプで毎日、滑り止めのスプレー缶を斜め前に置き、当てるまで続くバント練習をしてきましたからね。見事命中です。3球目だったけど。あ、すみません。

ホームランの横田選手を迎えて頭をたた…いえ、優しく撫でる一二三選手。
ホームランの横田選手を迎えて頭をたた…いえ、優しく撫でる一二三選手。

なお先頭で四球を選び、サヨナラのホームを踏んだ一二三選手にはタイミングが合わなくて話せずじまいです。激走の三塁打を含む2打数2安打だったのに、ごめんなさい!キャンプ後はヒットも増えてきて、ここ2試合はマルチなんですよね。次はしっかり取材しておきます。

約1ヶ月ぶりの実戦登板に「ちょっと緊張しました」と伊藤和投手。
約1ヶ月ぶりの実戦登板に「ちょっと緊張しました」と伊藤和投手。

最後に伊藤和投手の話です。キャンプ中に左わき腹を痛め、帰ってきてからは中指のマメが潰れたこともあって、2月11日の練習試合・西武戦(安芸)以来の実戦登板でした。わずか11球で三者凡退という結果で「まだちょっと指がかかっていないかなという気はしますけど、でもバランスがよかったので、感覚としては悪くなかった」そうです。そして「久しぶりだったので、ちょっと緊張しました」と笑顔も。これからどんどん投げて、チャンスをつかまないといけませんね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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