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阪神ファーム サヨナラ勝ち!横山が初登板《3/8 教育リーグ 前編》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
8日の教育リーグで実戦初登板を果たしたドラフト1位・横山雄哉投手。

8日の阪神タイガースは、1軍が甲子園で巨人とのオープン戦、ファームは鳴尾浜でオリックスとの教育リーグに臨みました。甲子園では『永久欠番デー』として、監督もコーチも選手も全員が初代ミスタータイガース・藤村富美男さんの背番号10のユニホーム。10番、11番、23番に続くのは誰の番号になるのでしょうね。きのうは普通に自分の背番号をつけて、鳴尾浜の試合に出ていた選手かも?それを見るためには長生きしなくちゃいけません。

甲子園に負けない鳴尾浜劇場!

さて、その鳴尾浜でも話題はいっぱいです。ルーキーの横山雄哉投手がついに実戦初登板とあって、スタンドは今年一番の混み具合でした。横山投手は2回2失点で不満だったようですが、ドラ1の片りんは見せたのではないでしょうか。そして横田選手が今季1号を放っています。私の記録と記憶が正しければ、2月の練習試合で誰もホームランを打っていませんよね。教育リーグも打たれてはいるけど、阪神は打っていないはず。よって今季ファームのチーム1号!一番乗りが横田選手というのも嬉しいことです。

嬉しいといえば、9回にサヨナラヒットを放ったのがチーム末っ子のルーキー・植田海選手だったことも!お膳立てした先輩方も、9回を0点で抑えた同じルーキーの守屋投手も大喜びでした。というコメントは、次に出す《8日教育リーグ 後編》でご紹介しますので、しばしお待ちくださいませ。

これで降雨ノーゲームとなった7日のオリックス戦を除けば、阪神ファームは今季まだ負けなしの10連勝!教育リーグはあと10日と11日のソフトバンク戦を残すのみです。全部勝って公式戦へ、と言いながら公式戦に入って負けるのも困るので…。とにかく内容のある試合をして締めくくり、さらには1軍オープン戦の関東遠征に帯同できる選手が出てくることを期待しています。

《春季教育リーグ》3月8日

阪神-オリックス (鳴尾浜)

オリ 020 000 000 = 2

阪神 001 100 001x = 3

◆バッテリー

【阪神】横山-玉置-高宮-藤原-伊藤和-田面-守屋 / 鶴岡-小豆畑(6回~)

【オリ】前田(6回)-古川(1回)-大山(1回)-森本(2/3回) / 田中-原大(4回~)-若月(7回~)

◆本塁打 横田ソロ(前田)

◆三塁打 一二三

◆二塁打 山本、宮崎 

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:横田  (3-1-1 / 1-2 / 0 / 0)

2]遊:植田  (5-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

3]一:中谷  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

4]右:伊藤隼 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]三:岡崎  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

6]左:一二三 (2-2-0 / 0-2 / 0 / 0)

7]捕:鶴岡  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

8]二:西田  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

9]指:田上  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/暴投-失策/失)最速キロ

横山  2回 38球 (3-0-1 / 2-0 / 2) 148

玉置  1回 11球 (1-1-0 / 0-0 / 0) 140

高宮  2回 28球 (4-1-0 / 0-0 / 0) 140

藤原  1回 12球 (1-0-0 / 0-0 / 0) 138

伊藤和 1回 11球 (0-0-0 / 0-0 / 0) 137

田面  1回 16球 (0-0-0 / 0-0 / 0) 134

守屋  1回 13球 (0-0-1 / 0-0 / 0) 138

横山の失点を打線が取り返す

“プロ初登板”した横山投手。145キロ前後のストレートは魅力たっぷりです。
“プロ初登板”した横山投手。145キロ前後のストレートは魅力たっぷりです。

初登板初先発の横山は1回、先頭の武田を内野安打で出しますが無失点の立ち上がり。2回は1死から中前打された谷を暴投で進め、縞田に与えた四球のボールがまた暴投で1死一、三塁。続く田中の一ゴロで1点。1死二塁で山本の右翼線二塁打を浴びて、2回3安打2失点。最速は一度表示された148キロがどうやら打球速度らしく、146キロでした。

3回は玉置が岩崎に左前打と盗塁を許すも、中村から空振り三振を奪い鶴岡が岩崎の三盗を阻止。3人で終わらせます。すると2回までノーヒットだった打線が反撃開始。3回2死から横田が前田の変化球をレフトへ。ファウルになるか?という打球は切れずにポール際のネットを揺らしました!ことしは左方向からスタートですね。

4回には高宮が2死から縞田にショート内野安打(三遊間の深いところによく追いついた植田。素早く体を正面に持ってきて捕り、見事なストライク送球。惜しくもセーフ)で出すも、牽制で刺し3人で片づけます。その裏の攻撃は2死から岡崎が中前打、一二三も中前でに続いて、鶴岡はショート内野安打。3連打で2死満塁としました。次の西田が押し出し四球を選んで追いつき、なおも満塁のチャンスは田上が二ゴロに打ち取られて同点止まり。

リリーフ陣が好投、サヨナラ勝ちへ!

高宮は5回、3安打で2死満塁とされながらも中村を見逃し三振に仕留めて無死点!以降は1イニングずつの継投です。6回の藤原は代打・宮崎に左越え二塁打(試合後に「目の覚めるような一打を食らいました」と苦笑い)を浴びたものの後続を断ち、7回の伊藤和と8回の田面は三者凡退。9回は守屋が1死から四球を与えますが併殺もあり3人で片づけました。

打線は6回2死から、一二三が右中間へ余裕の二塁打!と思ったら足を緩めず二塁を回ります。返球はサードへ“先着”したように見えましたけど、うまく足が入っていたのでしょう。ジャッジはセーフ、三塁打です。小豆畑は四球で2死一、三塁とするも、西田は空振り三振。勝ち越しならず。7回は連続三振で2死後に植田が右前打。しかし牽制死…。

2対2のまま迎えた最終回、先頭の一二三が四球を選び小豆畑の犠打で二塁へ。西田はピッチャーをかすめる中前打を放ち1死一、三塁。田上は三ゴロで2死となりますが、横田の四球で満塁として植田がカウント2-2からの5球目を左前打!一二三が生還し、今季2度目のサヨナラ勝ちです。

監督、コーチ、捕手の横山評

最初に古屋監督の談話をご紹介します。まず「10連勝」という言葉が記者から出ると「違うよ。きのう負けてる」と。ノーゲームでしたけど。「きのうは負けたの!あれは負け」。確かに劣勢でしたね。でも、私は7日の降雨ノーゲームはなかったことにさせていただきます。すみません。

横山投手については「緊張もあったとは思うけど、ストレートは146キロ出ていた。いいストレートを放るよね。まあ点を取られて、簡単にはいかないということもわかっただろう。初めてだからねえ。シート打撃にも投げていないので。出遅れたのはあるけど、順調にきていますよ。」と話しています。次回登板の予定は、いろいろと相談をしながら決めることになるようですね。

続いて久保投手コーチは「初登板だから色んなプラスマイナスがあるとして、意外とすんなり投げられたなと思います。でも本人にしたら全然物足りないはず。自慢の真っすぐで打ち取りたいという思いがあったでしょう。これからゲーム勘、マウンド勘も戻してきてほしい。次?ゲームで投げると肩も腰も足も相当張るんですよ。なので(投げたあとの)様子をみてから。シートやフリーに投げて少しずつ上げていくかな」という振り返りでした。

そして、リードした鶴岡選手の話も書いておきましょう。「僕も初めて(受ける)くらいなものなので」と前置きしたあと「変化球を見て、良かったんで色々試しながら真っすぐを多めにと思っていた。真っすぐは力のあるボールと、ちょっと指にかかっていないボールがあったかな。でも初実戦だから」と分析。指にかかった真っすぐはどうでしたか?「別格やね。すごくいいボール。そのボールがどんどん増えていけば、わかっていてもファールになると思う。あとは変化球をどれだけ腕を振って投げられるか、だけになってくる」

ドラ1・横山 「自分も早く1軍へ」

2回を投げ終えてベンチへ戻る横山投手。ホッとした笑み?それとも苦笑?
2回を投げ終えてベンチへ戻る横山投手。ホッとした笑み?それとも苦笑?

初登板は緊張したかと聞かれて、思わず「しました。緊張」と本音が出る横山投手。「いつも試合は緊張するんです。それに初めてだったし。初球を投げてから楽に周りを見られましたけど、でも点を取られたので…ちょっと。投げられたことはよかった。結果にこだわってやってきたけど点を取られたんで。この試合があったから次は抑えられたとなるようにしたい」。何度も繰り返すように、失点したのは相当悔しかったと思われます。

鶴岡選手のコメントとは違って、この日は手応えを感じるボールがなかったと言います。「腕で力いっぱい投げたボールが多く、感覚としてはもうひとつ。真っすぐの質もよくない。真っすぐで空振りを取れたら一番いいんですが、取れなかった。腕は強く振れているのでスピードガンも多少出たと思いますけど、手首の角度がちょっと。こうやって寝ながらボールを前へ押し出す感じになってしまったのがよくない」

久保コーチが「本人は物足りないはず」と心境を読んでいましたけど、やはり横山投手も“もっと良くなる、もっといいものがある”という思いを強くしたでしょう。それと、1軍クラスの打者との対戦は特に意識していなかったとか。ただ「左バッターが少なかったので、もっと左と対戦したいという思いはある」と話しています。

1軍でオープン戦に出場している同期を見て「焦りはあったけど、でも(表に)出ないようにやっていたつもりです。石崎さんや江越さんが活躍していてうらやましかった。自分も早く行きたいなってのはありました」と告白した横山投手。「きょう打たれはしたけど、ゲームに投げられたのが一番の収穫。次はしっかり抑えて、次のステップを踏んでいけるようにしたい」と意気込みを語りました。

最初にも書いたように、この試合のコメントは《3/8 教育リーグ 後編》に続いています。横田選手、植田選手、守屋投手、短めですが伊藤和投手、西田選手、小豆畑選手などの話をご紹介していますので、合わせてご覧くださいませ。『横田は阪神ファームの今季1号!植田がサヨナラ打!《3/8 教育リーグ 後編》』

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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