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阪神タイガース・山本翔也投手「ことしはずっと1軍で!」

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年12月、強化練習を終えて帰途に。このオフから1人暮らしを始めています。

きょう5日から仕事が始まった方も多いと思います。きょうは年始の挨拶だけで、本格的な“日常”は6日からでしょうか。阪神タイガースも、きょう仕事始めで年賀式が行われました。今週は新人選手も入寮し、鳴尾浜に活気が戻ってきます。

さて、1年目を終えた選手たちの話をご紹介している『○○選手に聞いてみました』シリーズ、きょうは山本翔也投手(26)です。そういえば入寮した際、自身が所属していた王子製紙の高級ティッシュを持って写真撮影に応じたのが、もう1年前なんですねえ。ではルーキーイヤーだった昨シーズンの回顧からご紹介しましょう。

「可能性と後悔を感じた1年」

昨年を振り返って何点かを聞くと「いやー陽川じゃないけど0点に近いですね、僕も。1軍で活躍すると言いながら何もできなかったので」と反省しきり。あえてファームでの内容だけをみると、どうですか?「うーん。防御率だけなら1点台で、よかったかもしれませんが…登板試合数も多かったけど中継ぎで失敗してしまったり。あとは細かいケガもあったので、中継ぎで1年間投げられなかった。ファームでも50点くらいですかねえ」

印象に残っているのは「左バッターにインコースを使い始めた頃。6月か7月くらいです」と、ある時期を挙げました。「当ててしまってもいいからと思いきって使い出したら、はまる時期がありました。1軍に上がる前ですね。自分の中では、幅の広がる可能性が見えた。でも1軍に行ったら結果を出せなくて。その後悔もあります」。手応えと同時に、持てる力を出し切れなかった悔いも、強く感じたようです。

フェニックスでは社会人以来の先発に挑戦。さすがのコントロールを披露しました。
フェニックスでは社会人以来の先発に挑戦。さすがのコントロールを披露しました。

【1軍 公式戦】

2試合 1回 勝ち負けなし

安打 3 三振 1 四死球 0

失点 1 (自責1) 防御率 9.00

【1軍 春季練習試合】

2試合 2回 安打 0

失点 0 (自責0) 防御率 0.00

【1軍 オープン戦】

4試合 3回1/3 

安打 9 三振 2 四球 2

失点 5 (自責5) 防御率 13.50

【ファーム 公式戦】

34試合 27回2/3 勝ち負けなし

安打 25 (本塁打 3) 三振 19

四球 5 死球 2

失点 7 (自責6) 防御率 1.95 

【春季教育リーグ】

1試合 1回

安打 0 三振 0 四死球 0

失点 0 (自責0) 防御率 0.00

【育成試合】

1試合 2回

安打 0 三振 1 四球 1

失点 0 (自責0) 防御率 0.00

【フェニックスリーグ(練習G含む)】

3試合 (すべて先発) 14回

安打 16 (本塁打 1) 三振 16

四球 8 死球 0

失点 13 (自責7) 防御率 4.50

ゲーム機につられて…

野球との出会いは?「小学校3年の時、友だちがサッカー部だったこともあって、いずれは野球にいくという条件つき(お父さんとの約束)で最初はサッカー部に入ったんです。で、父が『ロクヨン買ってやるから野球チームに入れ』と。まあ兄も野球をやっていましたし、ロクヨンが欲しかったので、それなら…とすぐサッカーをやめて野球にいきました。ロクヨン、高かったんですよね~(笑)。それと父が監督をしていたってのもありますね」

おわかりだと思いますが、再三出てきた「ロクヨン」は、家庭用ゲーム機“NINTENDO64”のこと。翔也少年は本当に欲しかったんでしょうね。これをしっかり見抜いたお父さんに、息子もしっかり乗せられてしまったわけで。お父さんの見事な作戦勝ちでした。

ポジションは「小3がファースト、小4からピッチャー、小6はエース。中学校はボーイズが1日2試合あって、1試合しか投げられない規定だったので1試合はピッチャー、もう1試合はレフトやライトをしていた」とのこと。

プロを意識したのはいつ?「小さい頃から夢見ていたプロ野球選手でしたが、大学では無理かなあと思っていたんです。ベンチにも入っていなかったので。気持ちはあったけど、プロにいきたいと言える立場でもなかった。でも社会人1年目にエースとしてやらせてもらい『夢を追いかけていいんだな。まだ間に合うんだな』と考えるようになった。そして自分にプレッシャーをかけるためにも、口に出して言うようになりました。『プロに行きたい』と」。そんな心情曲線を描いてきた山本投手の言葉です。

「一度は捨てようと思った夢を、また追いかけることができるんだ。そう感じた瞬間でした」

やわらかクェスチョン編

他になりたかったものや、やってみたかったことは?「野球選手ってのは、もちろん一番でしたが…」。ここで山本投手の顔が急に柔らかくなります。なんだろう。「実はパン屋さん、ケーキ屋さんにも憧れていました!」。へええ~それは想像できなかった。「雰囲気が好きなんです。今でも、いいなって思います。朝のパン屋さんとか、いいですよね~」と、まるでジャムおじさんみたいに優しい笑顔で話してくれました。ずっとずっと先、素敵なおじいちゃんになって“ベーカリーやまもと”のご主人、なんていかがでしょう?

好きな色は黒、グレー、紺。普段着もまさにその通り。
好きな色は黒、グレー、紺。普段着もまさにその通り。

好きな食べ物は「オムライス」と即答。あらまた。結構多いですよと言ったら「男はオムライスでしょ!」って返されました。そうなんだ。「あとは天丼」だそうです。嫌いなのは?「セロリくらいですね」。好きな色は「黒、グレー、紺。無難な色ですねえ。蛍光色とかダメです」とのこと。もらって嬉しいプレゼントを教えてください。「え、くれるんですか?」。違いますよ~。「自分の名前や背番号とか入ったものとかいいな。でもほんと何でも嬉しい!」

好きな女性のタイプは?「笑顔がクシャってした感じの人。満面の笑みなんですけど、ゲラゲラじゃなくてニタニタでもない。ほんとに、クシャって笑う人。よく笑う子が好きですね」。うーん、何となくわかります。と言いながら“クシャおじさん”の顔が頭に浮かんできて…これはもうメチャクチャ古いので、山本投手に伝えてもわかるはずがないと必死で振り払いました。

タレントさんでいうと「能年玲奈、本田翼、山本彩」だそうです。ほほー、3人とも共通しているのは髪が短いところ?「そう!そうなんですよ。髪の毛はショートがいい。ロングヘアーの人を好きになったことはないですね」。ま、好きになったら長くても短くてもいいんですよ、きっと。

おみくじは『大吉』

初めてのオフは、実家に帰って福井で自主トレ中。「年末年始、とにかく休まずトレーニングするつもりです」。12月も大雪で、帰ったら雪かきしなくちゃと話していたんですが、年明け早々にもまた積もり「雪かきしましたよ!」と2日に言っていました。なかなかのトレーニングになったかもしれませんね。

また毎年、福井の劔(つるぎ)神社へ出かける初詣は、ことしも行ってきたそうです。劔神社は織田信長が氏神として崇敬し、武運を誓ったところ。「勝ち運がもらえるとかで、高校の時は両親が試合前に行ってくれた」と話していました。ちなみに、ことしの初詣で山本投手がひいたおみくじは大吉!縁起がいいですねえ。たっぷりと御利益があるでしょう。

今季の目標は?「絶対に1軍で1年間、チームに貢献すること」。昨年10月のフェニックスリーグではプロに入って初めての先発を3度こなし、平田前ファーム監督に「社会人では先発していたし、コントロールはもともといい。長く投げられるところを見せておけば可能性が広がる」と、最初の2試合で合格点も貰いました。

でも「まず自分を認めてもらうため確実に仕事をしていればいいと思うので、任されたことを必死に集中してやる」と言います。ポジションに関係なく、今季もマウンドで雄叫びを上げる山本投手を見たいですね。それが1軍なら最高!昨年は少し控えめに応援されていた(?)熱烈なタイガースファンであるお父さんも、ことしは遠慮なく甲子園でメガホンが振れますように。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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