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若トラたちの契約更改交渉 in 安芸 その1-投手編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

きのう16日から再び安芸に来ました。ただしタイガースの秋季キャンプは休日。和田監督と1軍、ファームのコーチ陣は『東日本大震災復興支援 巨人vs阪神OB戦』で仙台へ行っていて留守です。そのOB戦、夜に録画放送されていたのを見ましたが、いや~もう両チームとも知っている人ばかりで懐かしいやら嬉しいやら!そのうえ1打席、いや1球ごとに投手や打者が代わるなど、いろんなことが起こるので目が離せませんでした。

対決前にマウンドへ行って“球種の打ち合わせ”をする掛布さんと江川さんとか、藪さんは仕込んでおいたスポンジボールを元木さんにぶつけたり、江夏さんと王さんの顔合わせでは両軍ベンチでスマホを構えてた人がいっぱいで、それはもう目をキラキラさせた野球少年にしか見えなかったり(笑)。現在は秋季キャンプ中の監督やコーチが必死のプレー、それに阪神のユニホームで投げる久保田投手の姿も見納めできたのも嬉しかったですね。

初代王者を逃した“若侍たち”

また台湾で開催されていた『第1回 IBAF 21U ワールドカップ』は16日夜に決勝戦が行われ、日本は地元の台湾に9対0の大敗…。準優勝となりました。阪神から唯一参加し、予選リーグで大活躍だった北條選手はこの日ノーヒット。でも上沢投手(日)、牧原選手(ソ)、鈴木誠選手(広)とともに、今大会のベストナインに選ばれています。鈴木誠選手は首位打者、牧原選手は最優秀守備選手に選出されたそうです。

北條選手はきっと大きな大きな収穫を持って帰ってくるでしょうね。それは阪神タイガースとしても、我々ファンにとっても誇らしいことです。来年の飛躍は間違いない!と思わせてくれました。それにしても最後の最後で一番になれないのは、平田監督の運命ですかねえ。2010年のファーム日本選手権で日本一を逃したことを思い出してしまいます。あ、もう平田監督ではなく、1軍のヘッドコーチですね。お疲れ様でした。

若手の契約更改交渉第1弾

さて、きのう16日は秋季キャンプの宿舎で契約更改交渉が行われました。主にファームにいた若手選手は毎年、このキャンプ中にドドッと交渉を、というか保留する選手はいませんので契約を更改します。それから鳴尾浜残留組、1軍に多くいた選手の順。よって安芸での更改は一日に大人数というのが常ではあるんです。あるんですけど、一気に17人ってのは…初めてかもしれません。13人までは覚えていますが。

朝10時から15分刻みで交渉が行われ、終わった選手から順に囲み取材。全員終了したのは15時近かったでしょうか。そんなわけで一度に17人分のコメントを書ききれないので、2回に分けます。できるだけ語った通りにご紹介したいので。交渉が行われた順に、きょうは投手編(藤原、山本、岩貞、松田、歳内、岩本、秋山の7人)を、そして後半の野手編(清水、小宮山、柴田、田上、荒木、中谷、一二三、小豆畑、西田、陽川の10人)は、また時間を置いてご紹介します。ご了承ください。

なお年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、金額(万円)は推定です。それから、今季の年俸が違っていた選手も何人かいて…そのため「ちょっとアップ」や「少しダウン」という言葉に合わないのではないか?と思われるかもしれません。なんといってもハッキリ数字を言ってくれる選手は少ないもので、この取材でも金額の“交渉”が行われるわけです。「そんなに上がってはいないかな」とか「お任せします」とか。しつこいようですが、あくまで推定ですのでご理解ください。

投手陣は↑2人、↓3人、→2人

【藤原】 5年目 1000→750

サインは?「しました」。金額の増減は?「もちろん減です。それはもうわかっていたことです」。どんな話を?「去年の契約の時も『期待しているからって言葉は、ことし最後に』と言われていたので『わかっているだろう?』という話でした」。それに対して「何も言えなかったですし、正直いって一度死んだ身なので…ことしで終わったと思っていました。こうやって契約してもらって来季チャンスをいただいた。もらったチャンスを捨てるのか、頑張って次につなげていくのか、ここからやるしかないという思いです」と話しています。

【山本】 1年目 540→540

「サインしました。現状維持です」。球団からは何と?「即戦力として来てもらったので、来年は上での成績をよくしてくれと言われました」。ことしを振り返って「1年間、1軍で活躍することを目標にしていた。そういう意味では思った通りの1年ではなかったですね。来年、活躍できなければ最後という気持ちで臨みます」とのこと。今キャンプでは?「自分に何が足りないのか、何が必要か、しっかりテーマを持ってやっているので来年につながるようにしたい」。目指すは開幕1軍?「それはもちろん、1年間通してチームの役に立てるように」。先発も?「機会があればいいですけど、それよりも1軍で必要とされるなら先発でも中継ぎでも。上で活躍できるのであれば、どこでもやります」

【岩貞】 1年目 1500→1650

「サインしました。少し上がりました」とニッコリ。「前半にケガをしたから期待通りとはいかないが、投げた分に関しては来年につながる投球が見られた、ということで評価してもらったようです」。ルーキーイヤーを振り返り「1年間投げられなかったのは悔しいことだけど、実際に試合で投げて通用するところ通用しないところがわかった。ことし得られたことはたくさんあると思います」と言っていました、

通用すると感じたところは?「たとえばカウントを作りたいと思ったボールで、空振りとかファウルとかが取れたこと。今までと同じようにできたので。ただ来年も同じようにできるとは思っていません。進化していきたい。目の前の1試合を、勝つためにやっていきたいと思っています」。開幕ローテ入りが目標?「もちろん1年間戦おうとしているので、出だしからつまずくわけにはいかない。この冬、体を作って技術を上げたい」。新人王のチャンスが残っていますね。「そういうことは考えずに1試合1試合です」。大瀬良投手と投げ合って勝つ?「それより、投げる試合は全部勝ちたいです」

【松田】 3年目 1040→1040

サインは?「しました。同じです」。どんな話を?「ケガをしてしまったので、来年は頑張ってほしいといわれました」

。自身では「今年の初めに“ケガせず1軍で1年間”と言っていたのにケガして出遅れてしまったので、そのへんは悔しいですね。最後にクライマックスとか日本シリーズで投げられて、後半に関してはいい経験ができたので、来年に生かして1年間活躍したい」という今季だったようです。

キャンプでは?「きのうの紅白戦でもチェンジアップを投げたり、いろいろ試したりできる時期なので失敗を怖がらず、来年また新しい自分を出せるようにしたいですね。チェンジアップだけじゃなくフォークも、いろんな球種を試すこと。真っすぐのレベルアップも。球速?スピードを出すスポーツじゃないので…出たら出たでいいですけど。バッターが打ちにくい真っすぐなど、抑えるピッチングができればいいです」。来年は?「まだ1年間しっかりやったことがないので、まずケガをしないこと。1軍で何試合というより、チームに貢献するピッチングができたらいいなと思います」

【歳内】 3年目 750→1100

サインはした?「はい。上げてもらいました」。ことしを振り返って「シーズン終盤はずっと1軍にいさせてもらって、ことしは中継ぎの登板が多かったですけど、やりがいがあり難しいことでもある中で、いろいろと良い経験ができました」と言います。レベルアップするところは?「だいたいカウントを悪くして打たれることが多かったので、シーズン後半からできていたように初球からもっと大胆にストライク優先でいければ、もっと余裕のある投球ができるんじゃないかと思います。ボール自体も上げていかないと研究もされるので」

ヤクルト山田選手との対戦は楽しみ?「楽しみではないですけど、どのバッターも1軍でずっと出ている良いバッターだから、向かっていく気持ちだけは負けないように。技術的にはまだ劣っているところがあるから、気持ちでカバーしながらやります」。中継ぎか先発か?「それはまだ考えていないです。今年は中盤が終わってから(1軍)だったので、先発でも中継ぎでも1年間通してやりたい。難しさはあると思いますが、いいお手本がたくさんあるから」。最後に、家族が増えて変わったかとの問いに「気持ち的にはそんなに変わらないけど、いろんな面で支えてもらっている。そのために、ではないですが、勝てたらいいなという気持ちはあります」と答えました。

【岩本】 4年目 700→650

「サインしました。ダウンです」。どういう話を?「今どういうことをしているのかと、来年に向けていろいろ変えているという話は聞いている、来年期待しているっていう風に言われました」。ダウンについては仕方ないと思う?「そうですね。去年もことしも何もしていないし…。来年はしっかり先発で、という思いは強いですね」。今キャンプで臨時投手コーチを務めた大野豊氏から教わったカーブ(ドロップ)について「まだわからないけど、ゲームでどこでも投げられるように仕上げれば、来年おもしろいんじゃないかなと思います」とのこと。来年は沖縄キャンプから1軍へ、という目標?「自分で決めることじゃないので、やれることやって準備して、沖縄であれ安芸であれシーズンでしっかり結果を出せるようにしたい」

【秋山】 5年目 1200→1000

サインは?「しました。ダウンです。まあ去年に戻った感じです」。球団との話は?「今やっている方向性について話しました。その話がほとんどだったので、自分の意見は言えたと思います」。ダウンという結果に「まあ上で投げてないんで」とひとこと。悔しい?「う~ん…もったいなかったというか」。ファームでは最多勝など、いい結果が出ていましたが「そのへんの話は出なかったですねえ。もうファームのことを言っていてもダメなんで。1軍でのチャンスもいっぱいあったのに、それをつかめなかったってことですかね」と、やはり悔しそうな表情。

来年は開幕1軍で?「そこを目標にこれから過ごしていきたいです。数字の目標は、もうちょっと近くなったら」。これからオフにかけては?「まずはこのキャンプをしっかり、今やっている目的を持ってオフも過ごしていこうと思っています。自主トレは、いろいろお願いしたりはしていますけど、まだ決まっていません。練習だけじゃなくてメンタルトレーナーの方にお会いしたりとか。シーズン中から思っていたんです。このオフは、外で動くこと以外にもやってみようかなと」。スラムダンク勝利学』を書いたスポーツドクターの辻秀一さんという方で、知人に紹介してもらったそうです。「やっぱり逃げ腰になっちゃうんで、そこですかね。年内にお会いする方向で進んでいます」

次回は野手10人のコメントをご紹介します。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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