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阪神ファームは安芸の秋季キャンプと鳴尾浜の秋季練習

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
13日の秋季練習から参加の濱中新コーチです。一気に寒くなった鳴尾浜にて。

高知県安芸市で行われている阪神タイガースの秋季キャンプは、きのう13日から第3クールに入りました。鳴尾浜や甲子園で秋季練習をしていた和田監督と1軍のコーチ、日米野球記念試合(甲子園)出場組を含む13選手が合流。今成選手も行ったようですね。来年から1軍の守備走塁コーチとなる風岡コーチは、引き続き安芸で指導中です。

その前に安芸から戻ってきた古屋監督はじめファームのコーチ陣と選手7人(田面投手、鶴投手、伊藤和投手、玉置投手、岡崎選手、原口選手、黒瀬選手)は、きのうから秋季練習開始。鳴尾浜では他に渡辺投手、高宮投手、加藤投手、二神投手、坂選手、狩野選手、それに白仁田投手との交換トレードでオリックスから移籍してきた桑原投手の姿もありました。「チームが変わって初日なので緊張感したけど、みんなが話しかけてくれてやりやすかった」と桑原投手。

いろいろ一気に発表もの

このところ球団からの“発表もの”が相次いでいますが、その桑原謙太朗投手の入団会見も12日で、背番号は64番。オリックスへ行った白仁田投手の入団発表会見は高知市の秋季キャンプで10日にあり、11日にはブルペンで投げる様子を写真で見ました。オリックスのユニホームも似合いますねえ。いっそう足が長く見えますねえ。2人にとって、このトレードが大きなチャンスとなりますように。

なお交換トレードが成立した7日、白仁田投手が球団広報を通じて出したコメントはこちらです。「7年間のタイガース在籍中、多くの方々にお世話になりました。タイガースの監督、コーチ、選手、スタッフの方々すべてに感謝したいと思います。わずかに1勝しかできず、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、オリックスではチームの勝利に貢献できるように頑張ります。オリックスはピッチングスタッフが充実している印象ですが、何としてもその一角に割って入りたいと思います。最後になりましたが、タイガースファンの皆さん、7年間本当にありがとうございました」

同じく12日に、もとDeNAの佐村トラヴィス幹久投手と育成契約交渉を行い、合意に達しています。余談ですが、トラヴィスと書こうとしたら『虎ヴィス』と変換されちゃいました。ふむ、なかなかええやん!そして西岡選手が11日に大阪市内の病院で右ひじのクリーニング術を行い、無事に終了して12日に退院ということも発表されています。

原口、田面が育成契約

11日の安芸、シート打撃で三本間に田上選手を挟むサード原口選手。
11日の安芸、シート打撃で三本間に田上選手を挟むサード原口選手。
同じく11日のシート打撃、原口選手のバッティングです。
同じく11日のシート打撃、原口選手のバッティングです。
これも11日のシート打撃。登板した田面投手はフォークが○でした。
これも11日のシート打撃。登板した田面投手はフォークが○でした。

きのう13日も、夕方に2つの広報発表がありました。田面投手との育成契約、原口選手との育成再契約です。鳴尾浜での練習後に行われたため話は聞けませんでしたが、2人とも既に通達は受けていたようで、早々に気持ちを切り替えて日々の練習に励んでいます。とはいえ秋季キャンプに残留できなかった原口選手の無念さは推して知るべしでしょう。ここで1軍首脳陣に見てもらってこそ来年の沖縄キャンプがあるのですから。

それでも変わらず鳴尾浜で大きな声を出し、泥だらけになってボールを追いかけています。きのう13日は全体練習が終わったあと休む間もなく室内練習場でバッティング練習。グラウンドから戻ってきた監督、コーチ陣も室内へ入り…え、もしかしてピッチングコーチ以外全員で原口選手1人が打つのを見ている?そうでした。その前にグラウンドでの守備練習もサードとファーストで1人ノック。もともと人数が少ないのもありますが、全員でかかりっきりという状態に本人は「そうですよねえ。いや~もう何だか申し訳なくて」と恐縮至極。でも原口選手が練習であれ、ウエートトレーニングであれ、常に全力であることを鳴尾浜で知らない人はいません。

13日の鳴尾浜。サードで捕球してセカンドへ送る原口選手。受けるのは藤本コーチ。
13日の鳴尾浜。サードで捕球してセカンドへ送る原口選手。受けるのは藤本コーチ。

ちょうど3年前、育成選手になる時もそうでしたが、ことしのフェニックスリーグで右肩を痛めて帰阪する時も、支配下登録が見送られると分かった時も、今回の秋季キャンプが1軍合流前までと決まった時も、原口選手は必ずこう言いました。「また頑張ります」と。自分には落ち込んでいる時間などないとばかりに。一体どれだけ頑張ればいいんだろう。他の誰よりも頑張っていて…。そう思ってしまいますが、1軍の戦力となるための支配下登録です。だったら文句を言わせない結果を出して、絶対に勝ち取ってください!

濱中コーチ、始動

きのうの鳴尾浜秋季練習から参加となった濱中打撃コーチはユニホーム姿の初披露だったんですが、一気に訪れた寒さに上着を脱げないままでした。でもグラウンドコートの背番号79はバッチリ。「きょうに関しては人数が少ないのでねえ。原口とは少ししゃべって、どういうバッターになりたいか聞いてみたんです。目指すところを知っておいた方がいいと思って。そしたら(巨人の)坂本のようにアベレージを残して20本打てるバッターと言っていました。パンチ力あるし、伸ばしていってほしい」

13日の鳴尾浜でグラウンド整備のトンバを持って守備練習を見守る濱中コーチ。
13日の鳴尾浜でグラウンド整備のトンバを持って守備練習を見守る濱中コーチ。

まずは情報収集からですね。「情報を知りたい。わかった方が指導法もある。いいところを引き出して、選手も負担なく伸びてくるという考えなので。中谷、一二三、陽川、そのへんもコミュニケーションを取って話してみたいですね。選手の性格については他のコーチからも聞けています。原口は、どのコーチも『真面目、取り組む姿勢がいい』と」。オフになってからも様子を見に「ちょくちょく来るつもり」とのことでした。

本文とは関係なく、11日の安芸でノックを打つ藤本コーチ。ボールを渡す風岡コーチ。
本文とは関係なく、11日の安芸でノックを打つ藤本コーチ。ボールを渡す風岡コーチ。
藤本コーチは締めのフライを打ち上げる…のに2度失敗し、風岡コーチに交代しました。
藤本コーチは締めのフライを打ち上げる…のに2度失敗し、風岡コーチに交代しました。

少し遡って、8日から安芸キャンプに参加していた藤本守備走塁コーチ。同じ内野守備走塁担当の先輩・風岡コーチや筒井コーチと組んで、いろいろと話をしながらのノックや送球です。11日のシートバッティングではコーチ陣も守備につき、ファースト風岡、セカンド筒井、ショート藤本という布陣が見られました。球拾い感覚ではない、ガチの動きもあったんですよ。前へ走ってきてゴロを捕った藤本コーチが「ファースト!」の声に持ち直して送球…ってとこで落としてしまい苦笑。

惜しかったですねえ!アウトにしたかったでしょう?と聞いたら「あれは無理、無理」と笑っていました。でも動きはさすがに素早くて無駄がないですね。それから内野の守備練習でノックをしていた時のこと。ノッカーが藤本コーチで、ボール渡しは風岡コーチでした。ゴロの球を打ち終わって、締めのフライを打ち上げようとした藤本コーチですが、2球続けて失敗。会話は聞こえなかったものの、ここで風岡コーチが代わって無事に終了。フライって難しいんですよね~。筒井コーチもよく室内にこもって練習していました。

11日の安芸、シート打撃でショートの守備につく藤本コーチ。選手にしか見えない?
11日の安芸、シート打撃でショートの守備につく藤本コーチ。選手にしか見えない?

安芸キャンプの小虎たちは

安芸での秋季キャンプでは、1日限定で和田監督はじめ1軍首脳陣の前でバッティングと守備を見てもらった横田選手。サク越えも何本かあったそうですが、とにかく陽川選手がポンポン放り込んだみたいで、話題を持っていかれた感はありますね。それでも「いつも通りできた」とのこと。また鹿児島の先輩・大和選手と守備練習の時に話はできたかと聞かれ「いえ、話せませんでした。内野をやられていたので」。なるほど(笑)、大和選手はショートを守っていたから物理的に無理だったんですね。

ポンポン柵越えを連発していたという陽川選手。掛布DCが第2クール終了時に「すごくいい形で打っている。あのホームランと、センタ―の横を抜いた三塁打(10日の紅白戦)は1軍レベルだよ!あれだけ速い打球をセンターに打てる人、あんまりいないよ。守備もだいぶこなれてきたし、楽しみですね」と絶賛していた通り、レベルスイングの意識が奏功してきたのでしょう。

また島本投手のピッチングを見た和田監督は「去年のオープン戦とは球が全然違っていた」と話していたとか。去年のオープン戦といえば、2四球とホームランで1死も取れずに降板してしまった甲子園のヤクルト戦。まさに、あれ以来の機会が巡ってきました。そう思うとまた原口選手が残念でなりませんけど、島本投手はその分もチャンスをつかんで離さないでほしい。なお中西投手コーチや大野臨時コーチに言われて「シュートを覚える!」と意気込んでいたそうです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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