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秋季キャンプでの紅白戦《11/10》 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
高知県安芸市営球場。手前のマスコットは“球場ボール君”(やなせたかしさん作)

阪神の秋季キャンプが行われている高知県安芸市はポカポカ陽気で、取材陣の中には半袖の人もいるくらいでした。春のキャンプ同様に、日陰部分と夕方以降は冷えますが、1ヶ月前のみやざきフェニックスリーグを思い出すくらい。さすが安芸ですね。

阪神はここ数年、ファームの監督やコーチ陣が鳴尾浜で残留組の指導をしていました。「これも秋季キャンプ!安芸へ行けなかった悔しさをぶつけろ」という感じです。でも今年は日本シリーズや日米野球があり、故障者以外のファーム全員が安芸へ乗り込んでのキャンプ。もちろん春に経験しているとはいえ、ルーキーに限らず初参戦の選手が張り切るのも無理ありません。できれば最後までいたいでしょう。しかし…

きのう10日は伊藤隼選手、梅野選手、柴田選手、秋山投手、歳内投手、松田投手がひとまず帰阪。また第3クールからは1軍の監督、コーチと選手何人かが参加するので、きょう11日の練習後に岡崎選手、黒瀬選手、原口選手と投手が4人、そしてファームの監督やコーチ陣も帰りました。13日からは鳴尾浜での練習となります。

なお一緒に帰る予定だった横田選手は、1軍からの要望があり急きょ残ることになりました。今キャンプではフリー打撃とシートノック限定の練習しかしていない横田選手ですが、それでも魅力はアピールできるでしょうね。ただし残るのは13日だけ。これはもう集中あるのみです。

“ファーム組”締めの紅白戦

では、10日に行われた紅白戦の結果を書いておきます。今回の球審は打撃投手の渡辺さんで、最後の方で少しコールが怪しくなった時に「審判!はっきりしろ~。ボールかぁ?」と掛布DCから突っ込まれる一幕もありましたが、渡辺さん「ボールです」、掛布さん「オッケー」とあっさり収拾。

《紅白戦》11月10日 (安芸)

紅組 020 002 2 =6

白組 001 010 0 =2 ※7回まで

◆バッテリー

【紅組】山本-玉置-藤原-伊藤和 / 小豆畑

【白組】鶴-小嶋-岩本-島本 / 梅野-清水(6回~)

◆本塁打 紅:陽川ソロ(鶴)、白:黒瀬(藤原)

◆三塁打 紅:陽川 白:中谷

◆二塁打 白:黒瀬

◆打撃(打-安-点/三振-四死球/盗塁/失策)

【先攻・紅組】打者8人

1]左:一二三 ( 5-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

2]右:俊介  ( 4-1-2 / 0-1 / 0 / 0 )

3]中:柴田  ( 5-0-0 / 2-0 / 0 / 1 )

4]遊二:陽川 ( 4-2-2 / 2-1 / 0 / 1 )

5]三:原口  ( 4-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

6]二遊:西田 ( 4-4-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]一:小宮山 ( 4-3-0 / 1-0 / 0 / 0 )

8]捕:小豆畑 ( 2-2-2 / 0-1 / 0 / 0 )

【後攻・白組】打者8人 

1]中:中谷  ( 4-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

2]遊二:荒木 ( 2-0-1 / 2-1 / 0 / 0 )

3]二遊:黒瀬 ( 4-2-1 / 0-0 / 0 / 0 )

4]右:伊藤隼 ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

5]捕一:梅野 ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6]一捕:清水 ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]三:岡崎  ( 3-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

8]左:田上  ( 3-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失-自)

【紅組】

山本  2回 27球 ( 1-2-0 / 0-0 )

玉置  2回 37球 ( 3-2-0 / 1-1 )

藤原  2回 21球 ( 1-1-0 / 1-1 )

井藤和 1回 13球 ( 0-0-1 / 0-0 )

【白組】

鶴   2回 30球 ( 4-1-0 / 2-2 )

小嶋  2回 41球 ( 2-3-1 / 0-0 )

岩本  2回 34球 ( 2-2-3 / 2-1 )

島本  1回 26球 ( 4-2-0 / 2-2 )

紅組が終盤の連打で加点して勝利

まず先攻・紅組の攻撃。1回は鶴の前に三者凡退でしたが、2回は先頭の陽川が左中間へソロホームラン!1死後に西田がセカンド内野安打、小宮山の左前打で一、二塁として小豆畑が中前タイムリー。ホームランと3連打で2点を先取します。3回は2死から陽川が右中間へ三塁打、4回は先頭の西田が中前打して小豆畑の死球で1死一、二塁とするも小嶋からは得点を奪えず。5回は岩本に3人で片づけられ、その裏に2対2の同点とされました。

しかし6回は西田と小宮山が連打し、小豆畑のバントを岩本が捕り損ねて(犠打失策)無死満塁。一二三は三振に倒れますが俊介は押し出しの四球。柴田の三ゴロで小宮山が本塁でアウト、2死満塁となって陽川は四球でまたもや押し出し。原口の右飛で終わった、この回は2安打と2四球で2点追加。7回は島本に対し、西田、小宮山、小豆畑の3連打で1点!一二三は投ゴロで二塁封殺、1死一、三塁となって俊介が左前タイムリー。柴田と陽川は連続三振です。

次に後攻・白組。1回は山本に連続三振を奪われ2死となったあと黒瀬が左越え二塁打を放ちますが得点なし。2回は三者凡退でした。3回は玉置から中谷が中越え三塁打を放ち、荒木の左犠飛で1点。4回は伊藤隼が中前打と柴田のエラーで二塁へ、続く梅野も中前打で無死一、三塁としたものの後続を断たれて0点です。5回は2死を取られた後、黒瀬が藤原からレフトへソロホームラン!

これで追いついた白組でしたが、6回は2死から岡崎が陽川のエラー(二ゴロをトンネル…)で出ただけ。7回は伊藤和に対し、1死から荒木が四球を選んだだけで、しかも最後は併殺に切って取られ3人で終了。2対2から6回、7回と2点ずつ追加した紅組の勝ちで紅白戦が終わりました。

西田「チャンスを絶対つかみたい!」

一番最後まで、人より多くやると決めた守備練習。泥だらけの西田選手。
一番最後まで、人より多くやると決めた守備練習。泥だらけの西田選手。

4打数4安打と気を吐いた西田選手は、結果がでた要因に原口選手の打撃練習を挙げています。「今までは練習でのバッティングで良い当たりを打ちたい、いい打球を見せるのが大事と思っていたんですけど、そうじゃないなと。原口さんは試合に生きる練習をしてる。変化球を待って真っすぐを打ったりとか工夫してやってるんです。そういうのを見たから、練習の時から考えて打つようにしました」

自身の課題でもある、速いストレートの対処は「外の真っすぐが全然前に飛ばないでファウルばっかりなので、どうやったら試合でレフトから左中間へ強い打球を打てるか?と考えながら練習するようになった。いろいろ打ち方を変えたりしてきて、どうしても打ち方ばっかり気にしていたのを、タイミングを考えてシンプルに振るとか。速い真っすぐを仕留める練習。自分のテーマとして、しっかり取り組んでいきたい」と話しています。

鳥谷選手の動向によっては、1軍の内野に“空き”ができるかもしれない状況に「今すごいチャンスやと思ってます。絶対つかみたい!これを逃したら獲れないってくらいの気持ちで。まず守備を安定させていかないと。どれだけ打ってもミスしたら終わりやから。ホームランをいっぱい打てるバッターならいいけど、しかもショートなんで、とにかくしっかり守る。特守も、人より多く一番最後まで受けると決めて第1クールからやっています」と気合い十分。

「守備がよくなったら、バッティングもよくなる。ついてくると思う。エラーしてバッティングに響くのが、ことしはあったので。バッティング、バッティングにならないよう、今は守備がめっちゃ大事と思っています」と熱い思いを語る西田選手でした。

「力強い打球が増えた」陽川

内野のポジション争いという点では陽川選手も同じ。「サードだけじゃなく、どこでも守れたら出場機会も増える。ショート、セカンドはやり始めより楽に守れているとは思います」。ライバルは多いですね。「どのポジションでも。1軍にはもっともっとレベルの高い人がいる。焦らないとは言えませんけど、冷静にやっていければ」。バッティングでは、紅白戦でホームランと三塁打でした。ホームランは「内よりの真っすぐ。力まずにうまく体が反応した」そうです。

1軍首脳陣の前で長打力をアピールしたい、陽川選手。
1軍首脳陣の前で長打力をアピールしたい、陽川選手。

公式戦の終盤からフェニックスリーグにかけて、ヒットが出ても調子はよくないと言っていたんですが、キャンプで掛布DCが合流してから「腰と肩を平行に、レベルに振ることを言われて意識してやっています。それが結果につながっているのかなと。バットを振った時、右腰が下がってヘッドも下がっていたんです。今は平行になっていると思います」と感触はよさそうでした。

スポンジのボールを使って練習しているとか?「はい。うまく振れた時は音が違うんですよ。だいたい15分から20分、2日に1回くらいの割合で」。その成果も少しずつ感じているみたいで「意識してやっていたら、打球の伸びが出てきたかなと思いますね。フリーバッティングでも、前に比べると力強い打球が飛ぶようになったかな」と手応えを口にしています。第3クール、1軍首脳陣の前では「自分の今持っている力をアピールしていきたい。打つことでは長打力、遠くへ飛ばすところを」と決意表明。

安芸第3クールは左腕の戦い?

フェニックスリーグに続いて先発の山本投手。紅白戦では2イニングだけでしたが、黒瀬選手の二塁打1本で2三振の無失点。「最初はフォームを変えて“はまらなかった”んですが、このクールからうまくはまった感じがありました。きょうはいつも通り投げられたかな。変えたのは、ちょっと腕を上げたことと足をしっかり使うことです。フォークも使えています」と納得のピッチング。「フェニックスの時、来年は先発もやるぞと言われて、両方に対応できるようにと思っています。社会人時代はほとんど先発だったので、自分は好きな場所ですね。やりがいがあります」

久しぶりに連打されるところを見た島本投手でしたが、最後はいいフォークで空振り三振。「はい。抑えたのも打たれたのもフォークです。ちょっと力みが出て、速い球を投げようとしすぎたかな。去年も打たれたあと連打を浴びたり、フォアボール出したりすることが結構あった。いい時はスイスイいけるのに、打たれてからの気持ちの切り替えが…。きょうもそうですけど、テンポが同じになってしまう。投げたい、投げたいと焦って。そういうとこ直さなければ去年と一緒。こういう紅白やシートバッティングでしっかり、同じ失敗を繰り返さないようにしたいです」

なお大野豊臨時コーチからは「投げっぷりがいいので、マウンドでそれを出して勝負できるように」と言われたとのこと。既に新聞等では近いうちに支配下登録されるらしいとの情報が出ていますが、本人はとにかく秋季キャンプでアピールあるのみと言っています。そこから2月へと続くわけで、一番の目標は1軍キャンプ参加だとキッパリ。早々に沖縄行きの切符を予約できるかどうか、13日からが勝負です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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