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フェニックスリーグ最後に西田選手がHR!しかし小虎は4連敗で閉幕 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
フェニックスリーグ優勝を決めたロッテの記念撮影。賞品は宮崎牛20キロです。

秋季教育リーグ『2014年みやざきフェニックスリーグ』が27日に閉幕しました。最終日はKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で首位のロッテと対戦した阪神。試合前にロッテ側のベンチへ行って高濱卓也選手を探したんですが、打撃練習の中にも守備にも姿が見えません。どうしたのかなあ?まさか…の予感的中です。左手親指を冷やしながらベンチに現れた高濱選手は「25日の試合で捕球した時にやって。きのう骨折とわかりました」とガックリ。こっちもガックリですよ~。

見えますかね?試合に出られなくて寂しそうなロッテの高濱選手。
見えますかね?試合に出られなくて寂しそうなロッテの高濱選手。

この日は別メニューで試合もベンチ待機でした。せっかくイースタンの首位打者も獲って、1軍の試合も最多の36試合出たのにケガで終わるとは…。来年は2月からガンガンいってくださいよ。日本ハムに指名された弟の祐仁(ゆうと)選手と、浦和や鎌ヶ谷でなくQVCか札幌で戦わないと!弟がプロに入ってくることに特別な思いはないそうですが「ファームで会わんようにしないと」と言っていました。

森田選手が戦力外に…

また「森田が来ていないんですよね」と、阪神に同期入団した同い年の森田選手を気にしていたんです。それも含め、高濱選手の話は次の機会にでも書こうと思っていた矢先の午後1時に、球団広報から『阪神タイガースは、森田一成選手(25)に対して来季の契約を結ばないことを伝えましたので、お知らせします』と、合わせて湯舟ファーム投手コーチも今季限りとの発表がありました。この時期ですか。宮崎に行かず残留していたので少なからず覚悟はしていたけれど、日本シリーズの最中、10月末ですよ。

まだ森田選手本人に連絡する勇気がないもので、話す機会があれば今後のことについても聞いて、お伝えします。きっと野球を続けてくれるでしょう。このままでは終われませんからね。

では、宮崎らしい夏日となった27日のフェニックスリーグ最終戦の結果です。終盤に追い上げたものの僅差で敗れた阪神。一方のロッテは、1勝差で追っていた西武の動向を聞くまでもなく、自力で優勝を決めました。

《フェニックスリーグ》10月27日

阪神-ロッテ (サンマリン)

ロッテ 000 000 005 = 5

阪 神 000 000 300 = 3 ※特別ルール 

◆バッテリー

【阪 神】田面-藤原-白仁田-小嶋 / 小豆畑

【ロッテ】阿部(6回)-中後(1回)-吉原(1回)-南(1回) / 田村

◆本塁打 西田ソロ(吉原)

◆三塁打 肘井

◆二塁打 早坂2、加藤、一二三 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]右中:中谷  ( 4-1-0 / 0-0 / 1 / 0 )

2]左:柴田   ( 3-1-2 / 1-0 / 0 / 0 )

3]遊三:陽川  ( 3-0-0 / 2-1 / 0 / 0 )

4]二:北條   ( 3-1-0 / 0-1 / 0 / 0 )

5]一:清水   ( 4-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6]指:小宮山  ( 4-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

7]三遊:西田  ( 3-1-1 / 1-0 / 0 / 0 )

8]中右:一二三 ( 3-2-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]捕:小豆畑  ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ

田面  4回 75球 ( 4-3-4 / 1-1 ) 141

藤原  2回 55球 ( 5-0-2 / 3-3 ) 138

白仁田 2回 24球 ( 0-1-0 / 0-0 ) 142

小嶋  1回 18球 ( 0-2-1 / 0-0 ) 142

今季初先発の田面は4回1失点

田面は1回、20球を要しながらも3番・大嶺翔を空振り三振に仕留めるなど三者凡退で立ち上がりました。2回は4番の清田に右前打されますが、1死後に小豆畑が盗塁阻止、細谷を空振り三振と3人で終了。ところが3回、1死から8番・肘井に中越え三塁打を浴び、続く早坂の中越えタイムリー二塁打で1点を先取されます。さらに連続四球で満塁としましたが、大嶺翔は遊ゴロ併殺打で何とか1点止まり。4回は清田の左前打と青松への死球で無死一、二塁。田村は中飛に打ち取り2死とするも清田を三塁へ進め、肘井の四球でまた満塁。次の青松が右飛で、ここもピンチをしのぎ3者残塁です。

ついで藤原が登板。5回は加藤の左翼線二塁打と四球などで1死一、二塁として清田の右前打。中谷から清水を経てバックホームされたボールで加藤は本塁憤死!ここは無失点です。しかし6回、1死から四球と肘井の左前打で一、二塁となり、またしても9番・早坂のタイムリー二塁打。続く加藤の中前タイムリーで2人を還します。伊志嶺の代打・吉田は遊ゴロ併殺に切って取るも、この回は3点を追加されました。

西田が5ヶ月ぶりの一発!

打線は1回に2死から陽川が四球で出ただけ。2回、3回、4回、5回とすべて三者凡退です。みんながファーストストライクを振っていって(特にそれを心がけろと徹底されていたわけではなさそうでしたが)ロッテの先発・阿部投手の球数は5回までで44球!4対0とリードされた直後の6回裏、先頭の一二三が左前打して小豆畑の左飛で二塁へ、中谷はショート内野安打と盗塁で1死二、三塁として柴田が右犠飛。なおも2死三塁で陽川は空振り三振に倒れたものの、ようやく1点返します。

9回裏1死一塁で小宮山選手の打席。フルカウントからバットが出て…
9回裏1死一塁で小宮山選手の打席。フルカウントからバットが出て…
三振してしまいました。ロッテの田村捕手が捕って立ち上がったところ。
三振してしまいました。ロッテの田村捕手が捕って立ち上がったところ。
頭を下げて見送った送球でタッチアウト!三振ゲッツー、試合終了です。
頭を下げて見送った送球でタッチアウト!三振ゲッツー、試合終了です。

阪神3人目の白仁田は7回にクリーンアップを、8回はそのあとをビシッと三者凡退。安定した投げっぷりでした。すると8回裏、先頭の西田が吉原の変化球(125キロ)をライトへホームラン!一二三も右越え二塁打で続き、小豆畑の中飛で三塁へ。2死後に柴田が左前タイムリー!これで1点差、暴投で柴田は二塁へ進みましたが、また陽川の空振り三振で追いつけず。

9回は小嶋。先頭の早坂に四球を与え、加藤は見逃し三振。そのあと盗塁を許したものの、吉田も見逃し三振で2死。大嶺翔は三ゴロでファースト清水がガッチリつかんでチェンジ!白仁田、小嶋と危なげないピッチングで、最終回に期待をかけます。それに応えて先頭の北條が中前打、しかし…清水は遊飛、小宮山は7球粘りながら空振り三振、二塁に送られて北條もアウト。ここは写真でご覧ください。併殺で幕切れ、1点差のまま宮崎でのラストゲームが終わりました。

「自分の中に答えがある」

田面投手の先発は、ルーキーイヤーの昨年5月14日の育成試合・関西メディカル戦(鳴尾浜)でプロ初先発して以来です。そして4イニングを投げたのも、それ以来のこと。「先発については、そんなに意識していませんでした。1イニングずつ、しっかり投げていこうと思って。ただ四死球とかが絡んできたら、あのような状況にしまうので、そこが反省点です」

昨年5月以来、プロ2度目の先発だった田面投手。
昨年5月以来、プロ2度目の先発だった田面投手。

久保投手コーチは、きのうの投手陣について「白仁田がよかったねえ。腕が振り遅れなくなってきた。だいぶ前でリリースしていますね。そうなれば力が出せる、そう簡単に捉えられなくなる。小嶋もいい。ところが藤原、田面は“ストライクと勝負”って感じやからねえ。いつもとは逆に先発、2人目と先にいかせて、自分の力がどんなものか知ることができただろう。キャンプでしっかりとやってほしい」と話しました。

このフェニックスリーグで先発に挑戦した山本投手を例に挙げ「山本みたいにチャンスをあげるには、何か根拠がいる。1軍を目指していく内容がほしい。それが見えてこないと」と久保コーチは言います。「ただし山本でも、岩貞や岩崎が宮崎に来て投げて『俺の居場所はここじゃないよ』っていうような雰囲気で帰っていくわけでしょ?」。なるほど、まだもっと上を目指さないといけないわけですね。久保コーチは「自分の中に答えがある。答えは自分が持っている」と締めくくりました。

西田、北條のフェニックスは?

ホームランは間が悪く撮影失敗…。次の打席前にバットを構える西田選手です。
ホームランは間が悪く撮影失敗…。次の打席前にバットを構える西田選手です。

次に、ソロホームランの西田選手。「打ったのは内寄りのスライダーです。前の打席まではバットが出てこなかった。130キロくらいの真っ直すぐに差し込まれていたので、バットを指2、3本分くらい短く持ちました。フェニックスに来て初めてですね、短く持ったのは」。思うような結果が出なかったフェニックスリーグに「もう練習するしかないです。秋季キャンプでとにかく量をこなしていきます。頑張ります!」とリベンジを誓いました。

北條選手は、高校のチームメートで同級生の田村龍弘捕手と対戦して「初めてです!少ししゃべりましたよ。うーん、別に意識はしなかったです」という感想。今季は1軍で50試合に出て20安打と、ファームより試合数もヒットも多かった田村選手。北條選手も1軍に登録されましたが出場はなかったので、来年は最初から狙っていきたいですね。3年目を迎える来シーズン、揃って1軍で戦う2人に期待しましょう。

なおフェニックスリーグを振り返って「最後の失速がなかったら、打率はそこそこだったと思いますけど…こだわっていた長打率が全然。長打があまり打てなかった」と北條選手。なんせ1試合4三振を含む、3試合で6連続三振ってのがあった終盤ですからねえ。きのう最後の打席で中前打し「打った~」とホッとした様子でした。10月30日から平田監督とともに『第1回 IBAF 21U ワールドカップ』の合宿と大会があるため秋季キャンプは行けませんが、同年代の選手ばかりなので吸収してくることも多いはず。台湾での戦いも楽しみですね。

量をこなしてこそ質に変わる!

守備中の阪神ベンチ。前日から野手は9人なので、監督とコーチ、トレーナーの姿だけ。
守備中の阪神ベンチ。前日から野手は9人なので、監督とコーチ、トレーナーの姿だけ。

最後に平田監督のフェニックスリーグ総括です。「ちょっとでも上手くなろうとする姿勢は見えた。秋季キャンプに向けての課題を認識させるため、細かいサインとかなしにフリーで打たせていた。キャンプでもっとしっかり練習して2月に勝負せなあかん。まだまだレベルは低い。そのためには質より量!量をやらんと質に変わってこない。MVP?(野手は)おらんやろ。ピッチャーは島本が一番よかったんじゃないか。体が大きくなって力も出てきたし、何より危機感から(生活面でも)変わってきている」

あす29日から、鳴尾浜で練習が再開されます。秋季キャンプは1日から安芸で始まるようですが、休日などの詳細はまだ出ていません。なんたって日本シリーズの真っ最中ですからね。キャンプのメンバーはフェニックスリーグに参加していた顔ぶれになると思われます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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