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1軍に続き、中日に16三振を奪われ延長戦で負けた阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

22日、久しぶりに訪れた名古屋は雲ひとつない快晴で日差しが強烈!ナゴヤ球場で行われたウエスタン・中日‐阪神戦の試合後、選手の顔も真っ赤になっていました。特に陽川選手の頬は痛々しいくらいです。そういえば子どもの頃、この時期は運動会の練習で真夏並みに日焼けしていたような。まだまだUV対策は必要ですね。油断しちゃいけません。

試合は、先発の岩本投手が粘りの投球で5回無失点。こちらは2回に阪口選手が先制タイムリーを放って1点先取、8回に北條選手のタイムリー内野安打で2対0としたものの、中日投手陣から計16三振(先発・カブレラ投手には5回までで10三振!)を奪われました。結局8回に追いつかれ、延長の末にサヨナラ負け。連勝は5でストップ、50勝到達はお預けです。

なお体調を崩していた一二三選手が、この試合で実戦復帰。7回に代打で出場し、結果は遊ゴロでした。「復帰っていっても、まだ守備に就いていないんで。まだ今は“借金を返してる”感じですね」。借金はどれくらいあるの?「1ヶ月分です」。頑張ってください!

約50日ぶりに実戦復帰して、試合後の素振りでも笑顔がこぼれる一二三選手。
約50日ぶりに実戦復帰して、試合後の素振りでも笑顔がこぼれる一二三選手。

《ウエスタン公式戦》9月22日

中日-阪神 25回戦 (ナゴヤ)

阪神 010 001 100 0 = 2

中日 000 000 020 1x = 3  ※延長10回

◆バッテリー

【阪神】岩本-榎田-金田‐筒井‐玉置-小嶋-●久保田(1勝1敗) / 岡崎‐清水(6回~)-小豆畑(10回裏)

【中日】カブレラ(5回)-田島(1回)-阿知羅(1回)-小熊(1回)-○岸本(2勝1敗6S)(2回) / 武山-桂(9回~)

◆三塁打 横田

◆二塁打 森田、中谷、武山、松井佑、福田 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:横田  (5-2-0 / 3-0 / 0 / 0) .226

2]左:田上  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .222

3]二:北條  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .249

4]一:森田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .278

〃投:筒井  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:玉置  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:小嶋  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:久保田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

5]三:陽川  (3-0-0 / 3-1 / 0 / 1) .243

6]右:中谷  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .189

7]遊:阪口  (4-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .256

8]捕:岡崎  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

〃捕:清水  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .211

〃打:原口  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .287

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .279

9]投:岩本  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

〃投:榎田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:金田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:一二三 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .178

〃一:黒瀬  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .240

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

岩本   5回 102球 (5-6-3 / 0-0 / 3.26)

榎田   1回 12球 (1-0-0 / 0-0 / 1.59)

金田   1回 16球 (1-1-0 / 0-0 / 7.50)

筒井  0.1回   9球 (1-0-2 / 2-2 / 3.28)

玉置  0.2回 10球 (1-1-0 / 0-0 / 2.56)

小嶋   1回 16球 (1-1-0 / 0-0 / 3.73)

久保田 0.2回 11球 (2-0-0 / 1-1 / 6.23)

今季3度目のサヨナラ負け

カブレラに対し、1回は3連続空振り三振だった打線ですが、2回に先頭の森田が右翼線二塁打を放ち、連続三振で2死となったあと阪口が左前タイムリー!3回は2死から横田が右中間三塁打で出て田上のセーフティーバント!クロスプレーとなって、倒れながら球審の顔をじっと見上げる横田ですが判定はアウト。4回も陽川の四球と中谷の左越え二塁打で2死二、三塁と攻めたものの、この回は3三振で無得点。5回は三者凡退と、カブレラには毎回の10三振を奪われています。そういやヒットが3本とも長打で、三振かヒットかという感じの前半でしたね。

岩本は1回に2安打1四球と走者を出しながら、岡崎の盗塁阻止などで無失点。2回は武山に二塁打を許すも3三振で0点に抑え、3回は三者凡退でした。4回は2死から松井佑の二塁打と藤沢の投ゴロ内野安打(一塁が無人で投げられず)で一、三塁のピンチも武山から三振を奪って終了。5安打6三振の無失点で5回を投げ終えています。そのあと、打線は6回に森田がサード藤沢の三飛落球というエラーで出塁しただけ。こちらも6回の榎田、7回の金田とも先頭をヒットで出しながら無失点。金田はサード陽川のエラーなどで1死一、三塁として3番・古本を三振で併殺!(清水が三塁へ送球して、牽制死)

6回に登板した榎田投手。1安打無失点でした。
6回に登板した榎田投手。1安打無失点でした。
8回、1死満塁で登板した玉置投手。
8回、1死満塁で登板した玉置投手。

阪神4安打1点、中日7安打0点で迎えた8回。阪神は1死から横田が二ゴロ内野安打、田上は中前打で一、三塁とチャンスを作って北條のショート内野安打で1点を追加します。ところがその裏の筒井が乱調。4番・福田に中越え二塁打、堂上剛はストレートの四球で無死一、三塁。松井佑のバントが高いフライとなり、ホーム後方へ清水が飛び込んでナイスキャッチ!これで救われた筒井なのに、続く藤澤へ死球…。低く構えた顔に当たったか?と心配しましたが、左手のよう。大きなけケガでないことを祈ります。

ここで筒井は降板。1死満塁で登板した玉置が代打・赤坂に左前タイムリーを浴びて2人を還し、同点となってしまいました。9回は岸本に陽川、中谷、阪口が3者連続三振。その裏の小嶋は2死から福田に右前打され暴投で二塁へ進めるも無失点。延長10回も岸本に3人で片づけられて勝ちはなくなります。そして10回裏は久保田と小豆畑のバッテリー。松井佑に左前打、犠打と遊ゴロで2死三塁として、代打・杉山にカウント2-2からの5球目、真っすぐをセンターへ…。7月30日の広島戦(由宇)以来、今季3度目のサヨナラ負けを喫しました。

平田監督は岩本の粘投を評価

まず平田監督の投手陣についてのコメントからご紹介します。「岩本は岡崎と粘り強くやっていた。規定投球回もクリアして(防御率リーグ5位に登場)このところ、いいピッチングを見せている。ただ球数をもうちょっと減らさないとな。1軍で歳内とかが投げるのを見て刺激になっただろうし。ピンチの場面で3番、4番への粘りは成長している証拠。点をやらずに粘り強く。これが大事なことや。最後の久保田は2-2から真っすぐを投げてコン…。その差やな。10回も清水でよかったところ、あえて小豆畑を使ったら久保田に首を振られて、振られて真っすぐ。そこは(自分の意見を)推す勇気を持たないと。筒井も安定せんなあ。はまった時はいいが、はまらんとアカンのではなあ。金田はまだ彼本来のピッチングじゃないが、真っすぐを井藤に打たれて、これはいかんとフォークやスライダーに切り替えた。こういうのは去年なかったところ」

また打線には「16三振なんて…。カブレラに10三振?あの身長と145キロを超える真っすぐなんやから、克服するには対応力をつけないと。これからのフェニックスや秋季キャンプに向けて、いい課題ができた。打たれて勉強、三振して勉強や」と平田監督。

勝ちにいくことを考えた、と岩本

岩本投手は「力を入れただけのものがボールにちゃんと伝わっているかなと思います。決め球にもなったり、カウントを取れるところは取れたり。いい感じだったかな」と振り返っています。3回以外は毎回走者を出しましたが「ランナーを出すのは仕方がないとしても、そこで点をやると(相手のカブレラ投手が)なかなか点を取れないピッチャーだと思ったんで、勝ちに行くということを考えました。ランナーを出してもしっかりいこうと思った」と、まさに粘投です。

3回、先頭の溝脇選手の打球が左足を直撃(陽川が捕って送球して三ゴロ)しました。「めっちゃ痛かったけど、代わってる場合やないと思って」と岩本投手。意地と忍耐で、この回を三者凡退に抑えています。

金田投手は7回、ヒットを許しながら最後は三振ダブルプレーで無失点!
金田投手は7回、ヒットを許しながら最後は三振ダブルプレーで無失点!

次に金田投手。「フォークで三振を取ったけど。シュート気味に落ちた。体が横振りになっているのかと。全体的には悪かったですね。先頭(左前打)のところが…。納得できる内容ではなかった」とのこと。玉置投手は「スライダー、スライダーときてチェンジアップを打たれた」と赤坂選手に許した2点タイムリーについて。でもあとの2人を打ち取ったのもチェンジアップ。勝ち越し点は与えなかったものの「そのあとを抑えても意味がないんですよね」と悔しさを滲ませました。

ナイスファイトの守備を見せた清水選手は「高く上がったから間に合ったと思いますが、紅白戦でも一、三塁の場面があって、それがここで生きたかも」と話しています。また10回にマスクをかぶった小豆畑選手は、サヨナラ打の場面での配球について「(自身の)要求した球に変えてもらえなかったのは信頼感のなさです。結果は確率の問題だとしても、もっと信用されるようにならないと」と反省の弁。

阪口「あとがない。頑張るだけ」

久々のスタメンで緊張しながらも先制タイムリーを放った阪口選手。
久々のスタメンで緊張しながらも先制タイムリーを放った阪口選手。

久しぶりのスタメンで「緊張しました」という阪口選手ですが、カブレラ投手から先制タイムリー。「球が速いので、そこはもう割り切って振り負けないようにと思って」打ったそうです。ただし「そのあと日本人のピッチャーが全然打てんかった~」とガックリ。タイムリーのあと3三振ですもんね。残り4試合となった公式戦に「頑張ります!もうとにかく、あとがないので」とギアを入れ直しています。

横田選手は、初めて対戦したカブレラ投手から三塁打。「1打席目は真っすぐだけで打ち取られて(三振)、これは絶対打てないと思いました。2打席目はチェンジアップがうまく真ん中に入ってきてくれたので打てました」。8回にも追加点のきっかけとなる内野安打を放ち、3試合連続のマルチヒット。「1試合1本は打ちたいなと思っているのでよかった。でも3三振が…」。そこに悔しさがいっぱいのようですね。

1打席目の三振での1球を悔やむ北條選手。きょうは“いい日”にしましょう!
1打席目の三振での1球を悔やむ北條選手。きょうは“いい日”にしましょう!

最後は8回にタイムリー内野安打の北條選手に聞きました。が、話はカブレラ投手に奪われた2三振のこと。「1打席目(フルカウントまで粘って147キロの直球に空振り三振)の最後のボールですね。あれを見送っていたら全然違ったと思います。2打席目は厳しかった」。なるほど、あの1球が鍵だったわけですか。「あれを見逃していれば、きょうはいい日になったはず」。それは大きいかも。きょうはしっかり見極めてください。

きょうもナゴヤ球場で、先発は岩貞投手と西川投手です。阪神は北條選手、森田選手、原口選手のクリーンアップ。まもなく始まる中日との今季最終戦、50勝に乗せておきたいですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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