和歌山箕島球友会はクラブ選手権連覇ならず… 自身の不調を悔やむ、もと小虎・穴田真規選手

準決勝に残れず、悔しさを噛みしめながら西武ドームの階段を登る穴田選手。

きょうは、この『新・小虎日記』でおなじみの社会人野球について、今回は企業チームでなくクラブチームの日本一を決める大会の話題をお送りします。第39回全日本クラブチーム野球選手権大会が、5日から8日まで西武ドームで開催されました。もと阪神の穴田真規選手が今年1月から所属する和歌山箕島球友会は、昨年が通算2度目の優勝。連覇を狙う今年が3年連続5回目の全国大会出場となったわけです。

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大会プログラムの出場チーム紹介、箕島のページでは“注目プレーヤー”に名前が…。
大会プログラムの出場チーム紹介、箕島のページでは“注目プレーヤー”に名前が…。

全日本クラブ野球選手権は、7月の都市対抗(東京ドーム)や11月の日本選手権(京セラドーム)と並び、社会人野球の三大大会とされています。都市対抗は黒獅子旗、日本選手権はダイヤモンド旗という優勝旗の別称がクラブ選手権にはないんですけど、来年は40回の記念大会になるので名前を募集すると、テレビで解説の方がおっしゃっていました。それは楽しみ。って、すみません。少し話が逸れています。

三大大会に戻して、ただしクラブ選手権に出場できない企業チームにとっては、代わりに春のJABAスポニチ大会を加えて三大大会というみたいですね。なお日本選手権は企業チームしか予選に参加できませんが、クラブ選手権で優勝すると自動的に日本選手権本大会の出場権を得られます。和歌山箕島球友会も、昨年に続いて日本選手権に出場して、そこで企業チームと戦って勝つことが目標でした。

1回戦は7回コールド勝ち

5日に行われた1回戦、東北地区代表のオール江刺との対戦です。故障から復帰のエース・三宅悠投手が先発して、3回2安打無失点。打線は相手の5失策も重なって9安打で13点を奪い、リリーフ陣もソロ1本のみに抑えて7回コールド勝ちと好発進でした。ただし長らく不振が続いている穴田選手は、同じショートの西口選手が打撃好調ということもあってベンチスタート。5回に代打出場するも中飛に倒れ、そのままショートの守備についています。

第39回全日本クラブ野球選手権大会《西武ドーム》

5日 ◆1回戦 第1試合◆

和歌山箕島球友会(西近畿)-オール江刺(東北)

箕島 300 460 0 = 13

江刺 000 001 0 = 0 ※7回コールド

準々決勝は再逆転されて負け

6日は1回戦の残り4試合が行われるため、箕島球友会はゲームなし。近くの高校のグラウンドを借りて練習をしたようです。そして7日は準々決勝の第1試合でYBC柏と対戦しました。中日ドラゴンズOB・谷沢健一さんが、地元の千葉県柏市に設立したチームで全国大会は初出場。先発の田山投手は、横浜高校時代に高濱卓也選手(阪神~ロッテ)の1学年下で甲子園にも3度出場、日大を経て入団したルーキーです。

7日 ◆準々決勝 第1試合◆

和歌山箕島球友会(西近畿)-YBC柏(南関東)

箕島 000 100 040 = 5

YBC 002 000 23X = 7 

箕島の先発・宮迫は3回、内野安打や犠打にミスも絡んで3番・横山にタイムリー二塁打を浴び2失点。でも直後の4回に箕島は、浦川と荊木のヒットなどで1死一、三塁となり5番・藤田の中犠飛で1点差としました。5回は3四球など苦労しながらも追加点は与えなかった宮迫。ただ打線もなかなか田山を攻略できません。

ようやく7回に先頭の4番・荊木が左翼線に二塁打を放ってチャンス到来。しかし藤田が空振り三振、山口の遊ゴロで走者は三塁へ進みますが2死となりました。ここで7番・西口に代わって穴田がコールされたものの…結果は空振り三振。そのままショートを守っています。

逆転に沸く箕島ベンチ。両手でガッツポーズの人に打ってもらいたかったなあ。
逆転に沸く箕島ベンチ。両手でガッツポーズの人に打ってもらいたかったなあ。
8回に代打で逆転2ランを放った林選手。「感触も何も覚えていません…」
8回に代打で逆転2ランを放った林選手。「感触も何も覚えていません…」

その裏、先頭をバントヒットで出し宮迫は降板。代わった矢崎が横山に中前打されて一、三塁。さらに盗塁で無死二、三塁のピンチを迎え、1死後に5番・小笠原の中前タイムリーで2人を還して4対1とリードを広げられます。田山の出来を思うと3点差は大きいかなあという状況。ところが8回、思わぬことが起きました。

なんせバントや、それに伴う野選などが多く、しかも写真を撮っていたため怪しいんですけど、この回は先頭の8番・水田が出塁して四球やゴロで1死二、三塁となり、浦川の遊ゴロで1点返しました。続く山下の中前タイムリーで1点差として代打・林が逆転の2ラン!穴田選手もベンチを飛び出して大喜び。でも歓喜の時は一瞬で終わります。

その裏に先頭の二塁打と、犠打野選やエラー(おそらく)などで満塁となり、2番・山口徹の2ランスクイズで逆転されます。なおも満塁で2死後、4番・白石の放った遊ゴロを穴田がガッチリとつかんで一塁へ送球!これは惜しくもセーフの判定で、三塁走者が生還しました。大きな大きな3点を“献上”してしまった箕島。9回は三者凡退(穴田は二ゴロ)で、5対4のまま試合終了。

「オレがあかん!」と穴田選手

試合後はベンチから客席を通って引き揚げる構造の西武ドーム。負けて登る階段は辛いんですよね。荷物を持ち、重い足取りで1段ずつ上がってくる選手に笑顔は当然ありません。穴田選手もしかり。いつものように多くは語らず、ただ「悔しい。すごく悔しい。メッチャ悔しい」と繰り返しました。「打てんかったら守っていこうと話していたのに5点取って負けたらダメですよね。点を取られすぎたかなあ」と言ったあと

「っていうか…オレがあかん!オレやん。打てん」

8回表、最後の打席で穴田選手はセカンドゴロに倒れました。悩みは深そうです。
8回表、最後の打席で穴田選手はセカンドゴロに倒れました。悩みは深そうです。
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珍しく大きな溜め息を漏らして自分を責める穴田選手でした。本当に調子が悪い状態が続き、ずいぶん悩んでいるとか。結局3打席だけだったわけですが、初めて味わう全国大会は「楽しかった」と少しだけ笑顔。「ずっと試合に出たかった」とも言っています。プロのシーズン中とは違って、大会にピークを持ってこなければならない社会人というものを改めて実感しているかもしれませんね。

選手たちはいったんバスに戻るため、荷物を持って駐車場へ向かっていた時に「きょう帰るらしい」「え、マジで?」という会話が聞こえてきました。本来は翌日が準決勝と決勝なので、もう1泊する予定。もし負けても泊まって翌朝10時に出発という段取りだったようですが…。

駐車場から再度、球場の入り口まで戻って集合し、ミーティングが行われました。西川監督は「連覇も京セラドームもなくなったわけですが、来年に向けて一から練習」と、いつもの穏やかな表情と口調。また大北キャプテンが「ベンチで見ていて、全然強くなかった。というより弱かった」と昨年と比べての印象を語っています。「1回戦負けのチームが全国に出て、去年は優勝して、たまたまやったと思われるのがメチャクチャ悔しい。調子には乗っていないけど、そう言われる。この負けをどう生かすか、これからやと思う。強いチームになるのは難しいけど、弱くなるのはすぐ。あしたからまた頑張っていこう!」と檄を飛ばしました。

負けたら帰って仕事するのは当然

試合後のミーティングで話す西川監督。その手前の背中、青い帽子が穴田選手です。
試合後のミーティングで話す西川監督。その手前の背中、青い帽子が穴田選手です。

そのあとマネージャーから連絡事項の伝達。勝っていれば準決勝で対戦するチームの試合を見ながら、スタンドで食べたであろう昼食のお弁当はバスの中で。宿舎のホテルに戻っても「部屋のタオルや灰皿は使わないで、荷物だけを取ってくるように」と。やはり泊まらずにそのまま帰り、翌朝5時から仕事になりました。でもチーム予算が決して潤沢ではない社会人のクラブチームにとって、キャンセル料も負担になるはず。ホテルが、備品等を使わない条件で免除してくださったそうです。

「負けたんだから帰るのは当たり前のこと。それが嫌なら勝つしかない」と西川監督。確かに、おっしゃる通りです。試合を振り返り「攻撃が短くて守備が長いという流れでしたね。これを変えるのにピッチャーを交代させてリズムを作りにいったんですが…。ありえないミスがいっぱい出ました。考えられない。神様がソッポ向いてた。でも、あの逆転2ランで勝ちきれないのが今の力」とおっしゃいます。

穴田選手については「ずっと調子が悪いんですよ。バッティングも守備も悪くて。ただ、きのうの練習で少し良くなったので、期待して代打に使いました。残念です。やっぱり気持ちでしょうかねえ」とおっしゃいます。打たなきゃ、という思いばかりが空回りしているのかも。「プロでやっていたことは大きいけど、ここへ来た時点で、うちに来た時点で変わらないと難しい。穴田はできる子やと思いますよ。このまま終わる子じゃない。這い上がっていかんとあかんね」

パナソニック4番の梶原選手は…

その背中に圧し掛かるものを脱いでしまえたら、穴田真規の魅力が全開になるかも。
その背中に圧し掛かるものを脱いでしまえたら、穴田真規の魅力が全開になるかも。

そういえば先日、タイガースを4年で退団して2005年から社会人のパナソニック(当時は松下電器)に入り、今も主力で活躍する梶原康司内野手に話を聞きました。1年目から4番を打ち、2005年の日本選手権優勝に貢献。そしてベストナインにも選ばれています。「社会人に行って戸惑いはなかったですよ。ただ、プロにいたことで格好つけるわけじゃないけど、なんか変なプライドというか…意識みたいなものがあったうちは全然打てなかった。それがなくなった瞬間に打ちまくりました(笑)」

何かきっかけがあった?「(1年目の夏)都市対抗野球で、NTT西日本の補強選手に呼ばれて行ってからですかね。ノックで飛びついたり、バットをバンバン振らされたり。アマチュア野球に戻りましたね~あの時に」。なるほど。それからの梶原選手は10年連続で都市対抗に出場!2010年に再び補強選手として出た以外、パナソニック自体も都市対抗の本大会にずっと出場しているわけですよ。社会人10年目も4番でチームを引っ張る36歳。すごい!

プライドとか、そういう“驕り”みたいなものではなく、何というか周りの見る目や、それに伴う責任感でしょうかねえ。責任感に関しては穴田選手のお父さんが「それはないでしょう」と即否定でしたけど(笑)。梶原選手によれば、きっと解き放たれる時が来るとのこと。西川監督は再度「穴田はきっとやってくれます。チームも立て直して頑張ります!」と力強い言葉で、西武ドームを後にされました。

今年のチャンピオンは茨城GG

最後に、8日の準決勝は、第1試合でYBC柏が南関東代表の茨城ゴールデンゴールズ(2年連続7回目の出場)に負けています。第2試合は北関東代表の全足利クラブ(3年連続34回目)と、中四国代表の松山フェニックス(4年ぶり4回目)という、ことし7月の都市対抗に出場し、対戦もした2チームの顔合わせ。クラブ選手権で10度の優勝と6度の準優勝を誇る強豪の全足利を、6対5で破って松山が決勝進出!

引き続き、準優勝1度だけの松山フェニックスと、優勝2度の茨城ゴールデンゴールズで行われた決勝。6対4と松山がリードしていた9回裏に、茨城が相手エラーで2点を取って追いつきました。大会規定により10回からはタイブレーク方式で、1死満塁でスタート。打順は好きなところから始められ、走者もそこから遡って塁を埋めます。10回表に松山は“先頭”のタイムリーで1点リード。その裏の茨城は1人が三振して2死となったあと、2人目の打者がタイムリーで2人を還してサヨナラ勝ち!6年ぶり3度目の日本一です。

茨城ゴールデンゴールズといえば、萩本欽一さん。その欽ちゃんから監督を引き継いで4年目、兼任選手の片岡安祐美さんが大泣きでしたね。予定が大幅に早まり、まだ決勝戦の途中に帰宅してしまった私は、テレビで胴上げや表彰式の様子を見ながら「来年は絶対に西武ドームでこれを見届ける」と決意を新たにしました。穴田選手、お願いします!「来年は穴田さんと僕が頑張らないと」と誓ってくれた甲斐選手も、よろしくお願いしますよ!

落ち込んでいたけど撮影には応じてくれた穴田選手。さすがに笑顔も変顔もなしです。
落ち込んでいたけど撮影には応じてくれた穴田選手。さすがに笑顔も変顔もなしです。

11月に行われる第40回記念社会人野球日本選手権には茨城GGが出場。また藤井宏政選手のカナフレックスは近畿地区最終予選の敗者復活戦で敗れ、野原将志選手の三菱重工長崎も九州地区予選で敗退。ちょうど1年ぶりに揃う3人を、京セラドームに迎える野望はかないませんでした。これで主要大会は終了ですが、和歌山箕島球友会は10月にJABA高砂大会など、まだ公式戦があります。その前にしばらくは全体練習が休みで仕事優先期間だとか。穴田選手もマツゲン箕島店で、腕を上げたお惣菜作りに励んでいることでしょう。