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鳴尾浜の守護神から甲子園の守護神へ― 10年目の勝負 玉置隆投手

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
連投もなんのその!現在、6連続で7セーブとリーグダントツの玉置隆投手です。

25日はファームの試合がなく、1軍は横浜スタジアムのDeNA戦でした。20安打で14得点ですって。うらやましい…。タイガースの1軍チーム打率は3割ちょうど、すごいですねえ!ファームは勝率5割なのに、チーム打率.208でリーグ最下位。でもチーム防御率は2.47でリーグ1位ですよ。1軍は4.52なので、防御率は小虎が勝っていますね。

週末もファームは公式戦がありませんが、26日は紅白戦、27日はHonda鈴鹿との交流(育成)試合を行う予定です。お天気もよさそうなので、そろそろ日焼け対策をしっかりして鳴尾浜にお越しください。

きょうは24日に甲子園で行われた中日戦の話を続けます。この日は3連戦の最後ということもあってか、終盤は代打攻勢。9回も先頭の伊藤隼選手がヒットで出たあと岡崎、原口、清水の捕手3人が代打で出場しましたが3人とも倒れ、控えていた小豆畑選手に回らずじまい…。岐阜から1泊2日で来られたご両親は、ネクストでバットを振る小豆畑選手を見ただけで残念でしたね。

完ぺきな盗塁に笑顔の横田

8回に一二三選手の代走で出て盗塁を決めた横田選手。スタートもスライディングも文句なしだったんではないでしょうか。緒方選手の打席で1球目のあと2度けん制があり、そこで一二三選手と交代。横田選手は「次の狩野選手のとこかなと思っていたんですけど、用意はしていました」と言います。なんせ試合に出るのも8日ぶりとあって、体中から気合があふれ出る感じです。

「いけそうな感じはあったし、警戒もされてなかった。だからサインが出たらすぐ走ろうって決めていたんです」。その言葉通り、カウント3-1になったところでスタート。完ぺきだった?「はいっ!よかったです。走ることが一番好きなので!」。これ以上ない笑顔で答えました。風岡守備走塁コーチは「完ぺき!」と頷いてから「それは言いすぎかな(笑)。でも、いいスタートだったよ」と丸印の評価でした。

13年ぶりの一塁守備は「怖かった」

その横田選手が9回はセンターの守備につき、センターの緒方選手がレフトに。7回に代打で出場してレフトを守っていた柴田選手がなんとファーストに回ったのです。さすがにこれは記憶にないなあと思いながら試合後、聞いてみました。「初めてに決まってるじゃないですか~。中学3年以来ですよ」。ピッチャーとファースト兼任だった当時から、13年ぶりくらいってことですか。

「ファーストできるか?と聞かれたんで、できまーす!と言いました。9回裏のために右の代打を置いとかなあかんとこ、できませんとは言えないでしょ。でもね、できまーす!と言ったらコミさんが“おい”って(笑)」。この様子を想像するに…小宮山選手だけでなく、既に交代してベンチにいた内野陣みんな同じ心境だったかも。

ミットは借りたの?「いえ自分のグラブです。だって怖いでしょう?一二三も自分のを使ってると言っていましたよ」。約13年ぶりの感想を聞くと「めっちゃ打球が速いし、めっちゃバッター近いし。マジで怖かった!」と、何だか初々しいコメント。そりゃ外野と比べたらもう至近距離ですもんね。

最初は堂上剛選手の遊ゴロ。阪口選手が追いつき体勢を崩しながら送球しますが内野安打。柴田選手の心の声は「うわー丁寧に投げてくれー」だったとか。次は送りバントで、藤原投手が捕って一塁カバーの西田選手へ。「バントはダッシュ、ダッシュ」とつぶやきながら(?)前進。送球の邪魔にならないよう、しゃがんでいました。

次に中田選手の左前打と盗塁で1死二、三塁となって桂選手は一ゴロ!これは昨日も書いたように柴田選手も「ゴロゴーやと思って、捕って投げようとしたらランナー三塁のままだったので一塁ベースを踏んだ」そうです。最後は三ゴロ。荒木選手からの送球をしっかりキャッチして終了。

桂選手の一ゴロは「西田が“来ますよ”って声をかけてくれた。そしたら来た!」とジェスチャー付きで説明する柴田選手。「練習で投内連系を見ているから、そんな感じで声をかけたり、あと藤原にカバー頼むって言ったり」。1イニングでいろんなこと経験できましたし、次は大丈夫ですね。「いや、もうないって」。非常に素早い返事でした。

“親愛なる”お母さんのために

24日は出番のなかった玉置投手ですが、4月15日から登板した6試合連続でセーブを挙げ、早くも7セーブ。もちろんウエスタン・リーグのトップで、2位が広島の梅津投手ら3人の3セーブです。早くも、と書きましたけど、リーグ最多の17セーブでタイトルを獲得した昨年も4月23日に6セーブ目だったので、あまり変わりません。

ちなみに昨年の7セーブ目は5月9日です。4月14日に5年ぶりの1軍昇格を果たしながら登板なく翌日に抹消となり、それでもファームで『ゼロ』とセーブを積み重ねて4月28日に再び昇格。ここは短期間ですが、5月には1か月くらい1軍にいました。そして8月からはファームで8セーブを挙げる安定ぶりで、9月にもう一度昇格しています。

ことしは今月初旬に「ファームでは2008年以来」というホームランを打たれたりして、防御率はまだ3点台。でもここにきて素晴らしい、攻めの抑えを見せています。2週続けて甲子園開催だったゲームは僅差で終盤を迎える展開ばかりで、もう4度も玉置投手のテーマソング『親愛なるあなたへ』(ロードオブメジャー)が流れました。小虎ファンにとっては藤川球児投手の曲と同じくらいの信頼を持って聞けますね。

「それは夏の終わりの事でした」という歌詞で始まるスローナンバーなので、もの悲しい雰囲気に聴こえてしまいますが「悲しくはないんですよ。これは母親への思いを歌った曲なので」と玉置投手。女手ひとつで育ててくれたお母さんが、彼にとっては誰よりも“親愛なるあなた”なのでしょう。だから何年も変わらずこの曲をテーマソングに?「もちろん、そのつもりです」

今回の甲子園での試合を、お母さんは観戦されたか尋ねると「1軍に行くまで来ないはずです」という答え。じゃあ今年もそろそろ夜の甲子園でお母さんに聴かせてあげなくちゃ。毎年、玉置投手が自分で選んだプレゼントを欠かさない母の日も、もうすぐです。「今年は何にしましょうかねえ」という孝行息子の顔は、優しさに満ち溢れていました。1軍の、優勝を争う大事な試合で最後に“夏の終わりの…”というフレーズが流れたら、それはもう最高の贈り物だろうなあ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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