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また3点しか取れなかった打線…でも強力な救援陣が勝ちを呼ぶ阪神ファーム!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
22日のお出迎えは(左から)秋山、島本、小豆畑、森田の4選手。照れまくりです。

22日は甲子園球場でウエスタン中日戦が行われました。この日、開門時にお客様を出迎えたのは写真のように秋山投手、島本投手、小豆畑選手、森田選手の4人。おととしまでは投手2人~3人が出迎えることが多く、野手は試合出場のなかった野原将志選手や高濱卓也選手などが参加したくらいでした。でも去年からは最初の5分程度ながら野手も顔を出してくれるので、ファンの方は喜んでおられるでしょうね。

森田選手は「6年ぶりかなあ」という言葉。確かルーキーイヤーにありましたよね?もちろん改修前の甲子園球場ですよ。懐かしい!22日は森田選手が途中から“こぶし”を差し出し、お客様もそれに応えてグータッチ!楽しそうでした。お出迎えは甲子園開催試合のウエスタン全ゲームで行われます。ただし参加選手は門を入ってみてのお楽しみ。野手にも会いたい方はお早めにご入場ください。

さてファームは先週末の広島戦で1勝2敗。土日の結果は“もと小虎”情報を掲載したため、お伝えできずじまいでした。すみません。19日が3対2、20日は3対1とどちらも惜敗ですが、久しぶりの連敗。そして22日は序盤に狩野選手と清水選手の二塁打などで3点を取り、投手陣が3安打1失点のリレーで逃げ切っています。

《ウエスタン公式戦》4月22日

阪神-中日 3回戦 (甲子園)

中日 000 001 000 = 1

阪神 201 000 00X = 3

◆バッテリー

【阪神】○岩本(2勝)-小嶋-高宮-渡辺-S玉置(6S) / 清水-小宮山

【中日】●雄太(1敗)(6回)-伊藤(1回)-小林正(1回) / 桂

◆二塁打 高橋周、狩野2、清水

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]一:中谷  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .169

〃打三:荒木 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .367

2]中:緒方  (3-1-0 / 0-1 / 2 / 0) .294

3]指:狩野  (3-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .200

〃打指:森田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .228

4]右:伊藤隼 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .286

5]捕:清水  (4-2-2 / 1-0 / 0 / 0) .273

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .154

6]遊:北條  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .137

7]左:一二三 (3-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .152

8]三一:陽川 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .148

9]二:西田  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .155

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩本  6回 106球 (2-4-4 / 1-1 / 1.93) 139

小嶋  1回   12球 (0-1-1 / 0-0 / 8.22) 142

高宮 0.2回 15球 (1-2-0 / 0-0 / 0.00) 142

渡辺 0.1回   7球 (0-0-1 / 0-0 / 0.00) 137

玉置  1回   9球 (0-2-0 / 0-0 / 4.00) 142

鮮やかな先制攻撃と盤石の継投

まず1回、1死から緒方が中前打して盗塁成功、続く狩野の右翼線二塁打で生還!さらに2死後、清水が右前タイムリーを放ち2点を先取しました。2人とも雄太から鮮やかな右打ちを見せています。2回には陽川が“甲子園ヒット”となる左前打、西田は彼らしい逆方向へのヒットと連打が出たものの無得点。しかし3回、先頭の狩野がまたまた右越えでラインぎりぎりの二塁打で出塁。1死後にこれまた清水が、今度は左越えのタイムリー二塁打!3対0とリードを広げました。

岩本は1回2死から高橋周の左越え二塁打、2回は中田の右前打などで1死三塁、3回は高橋周への四球と毎回走者は出しますが無失点。4回と5回は三者凡退です。しかし6回は先頭から連続四球や盗塁、福田の右飛で一、三塁として中田の二ゴロ併殺崩れの間に1点を返されました。7回は小嶋が2死から四球を与えるも自身のけん制で刺し、3人で終了。8回は高宮が先頭の溝脇に内野安打と盗塁を許しますが岩崎、高橋周を連続三振!ついで渡辺が登板。四球を与えながらも中田を打ち取って無失点です。

打線は4回以降、6回に2死から一二三が復帰初安打となる左前打で出て今季初盗塁。7回も2死から緒方がストレートの四球を選んで、5つ目の盗塁(リーグ2位タイ)を決めたんですが追加点はなし。8回は三者凡退でした。そして9回のマウンドには玉置が向かいます。広島の2試合は出番がなかったため中3日。松井佑と堂上剛を連続で空振り三振!最後は代打の赤田を初球で二直と完ぺきな内容で抑えて試合を締めました。

「最近、真っすぐで押している」玉置

これでまたチームは5割に戻り、玉置投手は5試合連続の6セーブ目。その玉置投手に連続奪三振のことを聞くと「どっちも真っすぐ」という返事。2つ目の堂上剛選手はカウント1-1から142キロの真っ直ぐで追い込み、140キロの真っすぐで空振り三振でした。でも1つ目の松井佑選手の時は129キロという球速表示。「スピードガンが違っていたんじゃないですね。真っすぐですよ」。最後の二直も141キロの直球と、代名詞のチェンジアップではありません。「最近、真っすぐで押していってます!」

なるほど。そういうことでしたか。このところ4試合連続で小宮山選手とのバッテリーで、うち3試合は9回1イニングのみ小宮山選手がマスクをかぶっています。小宮山選手は「出番がないだけ(笑)。抑えてるのは玉置がいいからですよ。僕は何も」と。いやいや、8日のオリックス戦で玉置投手が勝ち越しソロを打たれた時も「玉置に負けをつけたくない!」と直後に同点タイムリーを打ちましたからねえ。その気持ちがリードにも出ているのでしょう。

玉置投手は「嬉しいですね」と感謝。そして、余裕の抑えっぷりに見えると言ったら「そんなことないです。毎回、相手も状況も自分のコンディションも違うので、気を抜けることは一度もありません」という答えです。昨年同様にウエスタンの最多セーブは十分狙えるところではありますが、それよりも…ですね。

岩本は“シュート”で奪三振

岩本投手は、6回2安打1失点の内容に「そうですねえ。四球が多かった。結果は1点だったけど、その回ノーヒット。そこは痛かったかなと思います。真っすぐはずっといい感じできている。ただ変化球ですね」とコメント。球数が多く、スタミナを心配する声もありましたが「大丈夫です。自分で招いたピンチや、制球が原因の四球なので。それがもったいないとこですね」と反省していました。

桂選手から奪った三振はインコースのシュートで「先発になって使っています。ことしは。去年それで悪くなったので、あんまり使わないようにはしている」とのこと。それがシュートなのかツーシームなのか?と聞かれ「自分の考えですけど、ツーシームは落ちるので緩む。だから握りはツーシームだけど、シュートと言って腕を振っています。球種は自分で決めるものなので(笑)。シュートです」と岩本投手。そうですね。玉置投手のチェンジアップも本人いわく「握りはフォーク」ですから。

平田監督は「ピッチャーがいいねえ。続いてるね。岩本はきょうコントロールが悪かったくらい。ストライク先行できたなかったのもあったが、ヒットは一二三の落球やし(1回の高橋周選手の二塁打)。四球がちょっとね。でも低めの制球が安定している。リリーフ陣は盤石。小嶋も高宮もいい。玉置に至っては完ぺきや!」と投手陣を絶賛。しかし打線には「6番からが…」と、打率1割台の若手に渋い表情です。

「3点ばっかりや。3点しか取れん。それでよく勝つな」と苦笑いしたあと「狩野は左から右方向へしっかり打っていた。交流戦もあるし、結果を出していくとチャンスが来る。緒方もいいところで走ってくれる。一二三もね。盗塁に対する興味、勇気を持ってくれる。清水はゲームでの対応力をつけるために、バットを短く持ったり工夫している。本人は盗塁を刺したかっただろうけど」と1軍で働くための仕事、努力をした1軍経験者を評価する平田監督でした。

狩野、緒方の仕事にハナマル

狩野選手について、掛布DCは「僕が、もっと上からボールを叩いたら?と言ったせいで、それを意識しすぎてしまったのかも。だから“レベルで振ろうよ”というアドバイスをしました。右方向は本人も狙って打ったんでしょう。最近、結果が出なくて悔しかったと思うよ。ゲーム前に“絶対打つ”と言っていたから。1軍でも左ピッチャーが来た時に大きな戦力になっていると思う。本人もそれはわかってやっていますね。狩野、荒木、伊藤隼、緒方あたりは1軍への準備ができている」と話しています。

そして、左投手から放った右方向への二塁打2本は「意識しました」と狩野選手。「まだしっかりとは打てていないけど結果が出たのはよかった。間違っていないという気持ちになりますね。監督や掛布さんと話して同じ意見だったので、ちょっとなおしただけ。ちょっとしたことですね。自分の意識。終わってからのバッティング練習もよかったし、それが明日、あさっても出れば自信になる。まずは左を打たないと」。23日、24日も中日は左投手が先発予定です。

緒方選手は1回のヒットと盗塁について「試合に入る打席なので、打てば後が気になる。最初に出て盗塁もして得点になったのは大きい」と笑顔。単打と盗塁で二塁打を打ったような効果がありますね。「そこが持ち味でセールスポイントなので、続けられたら自分の選手としての幅も広がると思う。継続していきたいです」。チーム最多の5個となった盗塁は「スタートが悪い時はスライディングでカバーしたり、ここまでいい形で走れている」と言っていました。

この日は打席で、追い込まれたらノーステップで打っていた緒方選手。「三振をしちゃいけない選手なのに最近、三振が多くて。転がせば内野安打とかエラーもあるのでノーステップで食らいつこうと工夫したり、いろいろやっています。三振だとチャンスがない」。食らいつく。がむしゃらな思いが詰まった、いい言葉ですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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