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ルーキー岩崎が好投!ファーム教育リーグを連勝で締めくくった阪神

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

16日の日曜日、気温も上がり春めいたナゴヤ球場で中日戦が行われました。岩崎投手の好投で始まった試合は、7回に4連打で4点を取り阪神が逃げ切っています。開幕のオリックス戦で連勝したあと6連敗を喫した阪神ですが、最後は連勝で締めくくり。これが最終戦だった阪神と中日は、仲良く4勝6敗の成績で教育リーグを終えました。

《春季教育リーグ》3月16日

中日-阪神(ナゴヤ)

阪神 000 000 400 = 4

中日 000 000 110 = 2

◆バッテリー

【阪神】岩崎-白仁田-島本 / 日高-岡崎(7回~)

【中日】雄太(5回)-濱田(2回)-鈴木義(1回)-高橋聡(1回) / 杉山-小田(7回~)

◆二塁打

【中日】中田(8回)

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]右一右:中谷 ( 4-1-0 / 1-1 / 1 / 0 )

2]遊:北條   ( 5-3-1 / 0-0 / 0 / 0 )

3]一:ゴメス  ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃中:柴田   ( 2-1-2 / 0-0 / 0 / 0 )

4]左:一二三  ( 3-1-0 / 2-1 / 0 / 0 )

5]指:森田   ( 3-0-0 / 2-1 / 0 / 0 )

6]中右:伊藤隼 ( 2-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

〃走二:荒木  ( 1-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]捕:日高   ( 2-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

〃捕:岡崎   ( 1-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

8]三:陽川   ( 3-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

9]二一:黒瀬  ( 4-2-1 / 0-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)

岩崎  5回 68球 ( 1-7-1 / 0-0 )

白仁田 3回 61球 ( 4-2-3 / 2-2 )

島本  1回 10球 ( 0-1-0 / 0-0 )

7 回に4連打で4点先取!

中日先発・雄太の前に1回と3回は北條が中前打、2回は日高の四球があったもののチャンスを広げられず、3回まで二塁も踏めなかった打線。4回は先頭の一二三が左前打して森田の四球、伊藤隼の右飛で1死一、三塁と攻めますが日高は二ゴロ併殺打。6回は濱田に対して2死から一二三の死球と、5回以外は毎回ランナーを出しながら無得点でした。しかし7回、相手キャッチャーが小田になった影響もあるのか、少し風向きが変わります。

まず伊藤隼が右手に死球(代走は荒木)、日高の遊ゴロと陽川の四球で1死一、二塁。続く黒瀬は2ストライクと追い込まれて3球目、止めようとしたバットに当たった打球は緩いゴロで三遊間を転がり…あららら、抜けた!これが左前タイムリーとなって荒木が生還。なおも1死一、二塁で中谷は中前打を放ち満塁。続く北條が左前タイムリー!なおも満塁で途中出場の柴田はピッチャー返し、濱田が捕れずに中前2点タイムリーとなります。次の一二三は空振り、森田は見逃しで連続三振に倒れるも、4連打を含む打者9人攻撃で4得点。

岩崎は5回で7奪三振

一方、阪神の先発・ルーキーの岩崎は久しぶりのファーム登板で、素晴らしいピッチングを披露しました。1回から3回までパーフェクト!4回に1死から野本にサード内野安打を許し、初めて走者を出します。続く高橋周の時に野本が飛び出し、岩崎からゴメス、さらに北條へボールは送られたものの、ゴメスの送球が逸れてセーフ。記録は盗塁です。高橋周には四球を与え、福田の右飛で1死一、三塁とした岩崎。

しかし飄々としたルーキーは、このピンチを難無く切り抜けます。1打席目がスライダーで空振り三振だった5番の中田から、今度は真っすぐで見逃し三振!5回はまた三者凡退で予定イニングを終了しました。

ついで白仁田が登板。6回は2死から野本に左前打されただけで無失点。ところが7回は先頭の福田に四球を与え、1死後に谷と古本の連打で満塁として藤澤に死球。1点を失います。なおも満塁のピンチは藤井の三ゴロを陽川がバックホーム、さらに転送するも一塁はセーフ。続く小田を見逃し三振に仕留めましたが、8回にも1死から四球で出した高橋周を、2死後に中田の右越え二塁打で還しています。中日と同じく白仁田も、キャッチャーが代わった7回からの失点ですね。

9回の攻撃は、先頭の黒瀬が初球を打ち二飛かと思われましたが、セカンドの後ろで藤澤は届かず。でも黒瀬は二塁へ向かっていて、セカンドからショートへ渡ったボールでタッチアウト。これはいったい何だろう?ヒットもエラーもランプが点かないままで、どう書けばいいのかと悩んでいる間も試合は続きます。しばらくして「記録はセカンド内野安打」と判明。アウトは走塁ミスってことでしょうか。次の中谷が四球を選び、2死後に盗塁を決めるも追加点はなし。

その裏は島本がマウンドへ。下位打線ながら、わずか10球で三者凡退に切って取りました。最後は藤井を空振り三振!いい投げっぷりを見せつけて、試合終了です。

ルーキーを生かした日高のリード

岩崎投手は5回を投げて1安打1四球で無失点。4回以外はパーフエクトで、打者6人から計7三振(空振り3、見逃し4)を奪う快投です。試合後のコメントは、やはりオープン戦初登板初先発だった巨人戦(9日、甲子園)を踏まえてのもの。「前回は2巡目につかまったので、きょうは気をつけようと日高さんと話していて、そういったところを注意しながら投げました」。三振7つはすごいですね。「三振を取れることに関して、あまり意識はしなかったけど、しっかり低めに投げられたのはよかった」

2巡目で変えたことはありますか?「日高さんが1巡目は、たとえば1人の打者に対して全部まっすぐとか、全球スライダーとかで、2巡目はその逆とか。そういうリードをしてくれて勉強になりました」。なるほど、中田選手は1打席目がスライダー攻めで空振り三振、2打席目は真っすぐで追い込んだあとスライダーを見せて最後は真っすぐで見逃し三振でした。

「前回、巨人戦でダメなところが出た。ああいうピッチングをしていたら失点につながる。そして2点3点となってしまう。きょうもランナーを出してから四球というのは良くない形です。そこで踏ん張れはしたけど、反省していきたいところでもある」。投げるごとに勉強して、さらに課題も出てくるのでしょうね。「スライダーはよかった。他の変化球の精度も上げていきたい。1つの球種じゃ長いイニングは無理なので」とのことです。

「普通じゃなかった…」巨人戦

11日に鳴尾浜で会った岩崎投手は「帰ってきました…」と苦笑い。初めての1軍オープン戦、おまけに甲子園の巨人戦。全力で緊張しなさいと言われているようなもんですよ。試合開始直前のベンチで藤井捕手と話をしていた顔が、いつもの岩崎投手と違ってたねえ。「はい。自分でもわかりました。全然違う顔をしてるって。もう普通じゃありませんでした」。やっぱり。でも3回までは0点に抑えたから。「たまたまです」。次はオープン戦でも大丈夫でしょう。「だといいんですけど」。ふんわりと、いつもの岩崎スマイルでした。

久保投手コーチは開口一番で「キャッチャーがいい。相手の出方とか、日高がよく見えてる。安芸キャンプで何度も組んでいたし、いいところを引き出してくれていたね。もちろん岩崎も(コントロールを)乱さず、要求通りに投げている」とバッテリーを絶賛。オープン戦での結果には「まだ経験が足りないというのもあったでしょう」と言い「ああいう環境で場数を踏んでいけば、そこそこできるピッチャーだから。こちらでイニングをもう少し伸ばしていきたい。先発をやらせていく予定です」と話しています。

なお日高選手はバスに乗るので大急ぎだったため「僕じゃないよ~」とひと言だけ。

同級生からのタイムリーなど3安打

今季初の3安打を記録した北條選手は、7回のタイムリーを「真っすぐをライナーで打ち返せたのがよかったです。真っすぐに打ち負けなかったので」と振り返りました。しかも同い年の濱田投手からで「絶対に打ってやろうと思っていた!」そうです。最後に八木打撃コーチの北條評。「真っすぐは、そこそこ打てている。あとは厳しい変化球にファウルしながら甘いボールを打てれば。もともと変化球は打てる選手だからね。いま調子はいい方だよ」

復帰2戦目で3イニングを投げた白仁田投手は4安打3四死球で2失点。「ちょっと甘い球とかがありました。感覚は悪くなかったけど、フォームのばらつきがあったので、安定させていきたい」と話しています。これから先発もあるでしょうね。

島本投手は、やはりバスの出発時間が迫っていて球種の説明のみ。まず古本選手は初球の真っすぐを打たせて二ゴロ。藤澤選手はカウント1-2からの5球目、125キロのフォークで遊ゴロ。藤井選手に対しては「スラーブでストライクを取り、2球続けたチェンジアップでカウント1-2と追い込んで、最後はフォーク(123キロ)」で空振り三振!思い通りの内容?と聞いたら「はい」という答えでした。

中日2連戦の話は、次回に続きます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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