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ファーム教育リーグ、オリックスに連勝!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

2日は思いのほか天気の回復が早く、時おり暖かな日差しも降り注ぐ阪神鳴尾浜球場で、前日に続いてファーム教育リーグのオリックス戦が行われました。1番セカンドで7試合ぶりに先発出場した阪口選手、そして全8試合すべてフル出場中のルーキー・陽川選手がともにマルチヒット。また歳内投手と島本投手も打者に向かっていく力投で中盤以降を抑えて、オリックスに連勝しています。

《春季教育リーグ》3月2日

阪神-オリックス(鳴尾浜)

オリ 010 000 000 = 1

阪神 200 000 000 = 2

※特別ルール 9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】藤原-歳内-高宮-島本 / 小宮山-原口(7回)-小豆畑(8回~)

【オリ】山崎正(4回)-柴田(2回)-甲藤(1回)-戸田(1回)-平井(1回) / 若月-原大(6回~)

◆二塁打

【阪神】陽川(7回)

【オリ】東(6回) 

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]二遊一:阪口 ( 2-2-0 / 0-2 / 0 / 0 )

2]一:関本   ( 1-1-0 / 0-1 / 0 / 0 )

〃走二:荒木  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

3]左:狩野   ( 1-1-1 / 0-1 / 0 / 0 )

〃走左:田上  ( 1-0-0 / 0-1 / 1 / 0 )

4]右:中谷   ( 4-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

5]指:高山   ( 1-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

〃打捕指:原口 ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6]遊一三:黒瀬 ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]捕指:小宮山 ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃捕:小豆畑  ( 1-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

8]中:横田   ( 4-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]三遊:陽川  ( 4-2-0 / 1-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)最速

藤原  4回 77球 ( 4-2-3 / 1-0 ) 138キロ

歳内  3回 55球 ( 2-4-1 / 0-0 ) 143キロ

高宮  1回 21球 ( 0-1-1 / 0-0 ) 141キロ

島本  1回 9球 ( 0-1-0 / 0-0 )  ―

鮮やかに先制、1点差で逃げ切り

前日同様、1回に阪神が先取点を挙げます。阪口が中前打、関本の右前打で無死一、二塁として狩野が中前タイムリーと3連打で1点。なおも無死一、三塁で中谷は二ゴロ併殺打でしたが、その間に2点目。2回は2死から陽川が鋭い打球をセンターへ弾き返すも、盗塁失敗で無得点。3回は阪口が右前打を放ち、連続四球で無死満塁の大チャンス!しかし中谷が二飛、高山は一邪飛、黒瀬も遊飛…見事に内野フライ3連発で一歩も動けず三者残塁。

以降は7回に2死から陽川の左中間二塁打、9回は黒瀬と小豆畑の連打などがあったものの追加点なし。その間に投手陣は何度かピンチを招きます。先発の藤原は三者凡退で立ち上がりながら、2回は先頭の高橋に左前打(レフト狩野のエラーで二塁へ)などで2死三塁となり、7番・東の左前タイムリーで1点返されました。3回は2死から連続四球、4回は2安打と死球など2死満塁とするも0点に抑え、4イニング1失点(自責0)。

次の歳内は5回が三者凡退。6回は2安打されながら小宮山の盗塁阻止もあって無失点。7回は1四球のみで、3つの見逃し三振を全部ストレートで奪う力投を見せています。8回の高宮は宮崎に四球と盗塁を許しただけで無失点。最後は島本が9球で三者凡退締め!1点差を守りきりました。

平田監督、久保コーチの談話

試合後の平田監督。「歳内よかったねえ。力強さが出てきた。やっぱり宜野座で1軍選手たちとやって、いい経験になっている。陽川はきのうのこと(連続で見逃し三振)があったので1打席目から打った。フェンス直撃、いいパンチしてる。横田は器用さがあるから流したりもできるし、今は結果が出ていないけど試合後の練習でいい当たりを打っていた。小さくなる必要はない。経験していけばいい。阪口は全部出塁した。2ケタ目指してやっているからね。きょうはGMの前でもあったし、いいアピールできただろう。伊藤和も島本も、競争しなきゃ」

ついで久保投手コーチは、まず「歳内いいね。沖縄キャンプはどうしたんだろうねえ。自信持っていいよ。遜色ない。ことしの自主トレを見たら、しっかりとタテ振りができていた。ヨコ振りになると体が開いて力が加えられないけど。カーブもよくなっているし、真っすぐはボールに力が伝わっているし」と歳内投手を高く評価しました。「あとは変化球、フォークの精度かな。ホームプレートに対してのレーンが、ちょっと外れるところかな」と課題も少し追加。

島本投手について「いいねえ!去年もこの時期に良くて、オープン戦に行った。去年から故障もすることなく、しっかり練習できて順調。本当はもっと長いイニングを投げさせてあげたいけど、優先しなきゃいけない投手もいて…。きょうはキャンプから取り組んでいる緩いスライダーでストライクも取れていた。ぜひ長いイニングで試したい、見てみたいと思うよね。大学に行っていたら4年生で主戦投手。ドラフト候補だよ」と久保コーチは話しています。

アピール投球!歳内と島本

では歳内投手の話です。「ストライクを先行できて、ちょっとホッとした感じ。キャンプでも調子はよかったけど力んでボールになってしまったので、なるべく力まないようにと思って投げました。ブルペンでも悪くなかった。それが、きょうはゲームでも出せたと思います。真っすぐもそうですが、カーブがよかった」。5回の1三振はフォーク、7回の3三振はすべて真っすぐの見逃しで「手応えありました」とのこと。

「きょうみたいにストライク先行で、真っすぐでカウントとか三振を取れたらいいですね」と歳内投手。なお7回2死の場面でフルカウントからの四球は「今まではカウントを取る、緩急をつけるために使っていたけど、きょうは試したい部分もあって、ランナーがいなかったし追い込んでいたので」あえて投げたカーブ。とにかく、力んでいない状態ながら威力を感じるピッチングでした。

島本投手は「今ちょうどいい感じですね。追い込んで体の疲れた方がいいのかな。毎年、春野キャンプは調子いいので」と言います。先頭の西川選手は外低めの真っすぐで見逃し三振。島本投手特有のシュート気味にズバッとくる球でした。次の原大選手は縦に変化するスライダー。これが「このキャンプから練習している緩いスライダーです。右打者も左打者も見送ってくれるのでカウントを稼げる。けっこう有効ですね」

この日は真っすぐと2種類のスライダーのみで、チェンジアップは投げませんでした。それにしても球速が測れていなくて残念。スピードが出た感触はあったでしょう?「そうですね」。9球ではねえ。三振も3球だったし、もっと投げないと。「いやいやいや(笑)」。ことしも投げっぷりの良さは健在で「三振はいつも狙っている」という左腕・島本投手。そろそろオープン戦に行きましょうか。準備は万端?と聞いたら言葉はなく、ただうなずきました。負けん気を秘めた目で。

マルチ安打の阪口と陽川

今季初実戦だった2月11日の練習試合(西武戦、春野)以来、2度目のスタメンに気を吐いた阪口選手は、連続安打と連続四球で全打席出塁。「よかったです!ずっとなかったスタメンで使ってもらったので、思いきりいこうと。ヒットは久しぶりにいい感触でした。キャンプで打てなくて…。試合になったら全力で振るけど、練習では形を気にしたりしてしまった。それではアカンと、練習から思いきり振っていくことにしたんです」。ホッとしたような面持ちで、雁の巣遠征の荷物を出しました。

陽川選手は「きのうの1打席目がああいう形だったので反省して、思いきり打ちにいきました。何も考えず来た球を振っていこうと。いい形で打てたし、左中間方向に打球が飛んでいるので、いい感じだと思います。でも変化球のボール、ストライク判断がまだまだ。ショートの守備は、捕球は練習通りにやればいいけど、“ショートらしい動き”がまだできていないので磨いていきたい」と話しています。

横田「試合にもっともっと出たい」

最後に、鹿児島実業高校の卒業式を終えて戻ってきた横田選手。鳴尾浜での試合に「お客さんの声はそんなに聞こえなかった。ボール(打球)がちょっと見づらいですね。飛んでこなくてよかったぁ。見えにくくないですか?」と逆質問。いやー我々はセンターのポジションに立ったことがないから…(笑)。でもレフトやライトのバックアップにはしっかり入っていましたね。「はい。それはいつも言われているので。バックアップで試合に負けることもある、とか」。バッティングに関しては「積極的にいきました。2ストライクになったら変化球が増えるので早く打ちたかった」というように1打席目は初球、あとは3打席とも2球目を打っています。「積極的にいきすぎて空回り…」と苦笑い。

3日は東京で新人研修会があるため、雁の巣遠征に不参加の横田選手は「行きたかったですねえ」と残念がっていました。とにかく試合に出たいから、とのこと。年は上でも、同期入団の陽川選手が目前でヒットを打ち、さらにやる気を刺激されているのでしょう。

4日と5日はオープン戦がヤフオクドームのナイター、ファーム教育リーグが雁の巣のデーゲームで、ともにソフトバンクとの対戦です。この時期ならではという選手の振り分けがあるかもしれませんね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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