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安芸キャンプ打ち上げ 成長をアピールした2年目の北條選手が手締め 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

2月26日、近づく雨が湿った空気を漂わせる曇り空のもと、安芸キャンプ最終日の練習が行われました。ベースランニング、キャッチボール、シートノック、バッティングやピッチングとメニューをこなし、全員で軽く走って終了。北條選手の挨拶と一本締めは12時40分過ぎでした。まず平田監督の話、前日に聞いたものも合わせてご紹介します。

平田監督のキャンプ総括とこれから

「選手たちのやる気というか、うまくなりたいという気持ちがヒシヒシと感じられた安芸キャンプ」。目立った選手について「投手は岩崎、伊藤和雄。結果も残して、これからチャンスつかんでくれれば」と期待を込めました。野手では?「狩野、岡崎、荒木かな。狩野の仕上がりがいい。一二三や北條も。一二三は今まで本能だけでやっていたが、掛布DCやいろんな人にアドバイスしてもらって、やっと自分で考えだしたところ。北條も体が大きくなって、野球に対する自分のスタイルがわかってきたかな。関本や日高が若い子を引っ張ってくれて活気のある、いいキャンプだった」

1日、2日のプレシーズンマッチに召集される選手は、既に名前が出ていますね。一二三選手、北條選手とルーキーの岩崎投手、そしてキャンプの手締めが終わったあと、監督から「ありがと!」と送り出された坂選手もでしょう。「選ばれた選手は、やってきたことを出してアピールすること。大いに力んでいいねん。こじんまりする必要ない。ミスしていいねん。関本や日高とは違う。元気出して自分のスイングを見せればいい。それから沖縄に行っていた中谷や歳内にしても、中谷は練習はいいが試合で結果が出ない。どうすればいいか、何が足りないか宿題を持って帰ってくる。それを感じられただけでもいい。これからやもん」と平田監督。

そして今キャンプで行われた“アーリートレーニング”は、今後も継続することを球団と相談中。朝6時半から宿舎での素振り、朝食のあと安芸ドームへ移動して8時半からウエートと、早朝からでバテているかと思いきや、選手たちには「体がよく動く」と好評でした。キャンプではなかった投手陣の朝トレも含め、平田監督は「シーズン開幕まで、試合(教育リーグ)のある日もやるよ。練習開始の1時間前くらいから。試合後はピックアップして打ち込みとか。せっかく、このキャンプでうまく体作りできたからね。誰も体重が減ってないだろ?」と話しています。

掛布DCは「あしたを感じる選手」に期待

掛布DCにも総括をお願いしています。「1人1人が目的意識を持って、ちょっと出遅れはあったけどケガ人も出ず、監督もいいキャンプと言っている。元気がありましたしね。新人の陽川も横田もまだ時間はかかりますが、光るものを見せてくれて、僕としては嬉しい部分。陽川は打球の速さが一番じゃない?北條は一番、形ができたんじゃないかな。彼はしぶといですもん。ほんと打ち損じも少なくなったね。1軍の練習レベルに近づいた。ゲームになると存在をアピールできる。勝負強いからおもしろいよ」

「沖縄と安芸、いい勝負できるでしょう。(オープン戦は)まず若手中心の試合をしていくと思う。その中に選ばれたら、いい結果を出してほしいし、結果が出なくても素晴らしい経験をして次へのいい財産になる。僕が11月に見た人たちは沖縄に行っているわけで、今ここにいる人たちも“あしたを感じる選手”ですよね」

「秋季キャンプで経験済みだけど、同じゲームをやったとしても自分の気持ちの中で違いますね。2月は戦いの準備期間。現役時代を思い出しました。これから勝負に入っていく、という緊張感がある。だから寝坊しなかったと思うよ。朝5時半…(笑)。僕自身も充実した1か月だったと思う。楽しみました!北條も(阪口)哲っちゃんも楽しい。練習で結果出してくれているし、大きな期待を感じています」

“練習”の成果あり?北條の手締め

ことしのキャンプ打ち上げの手締めは、北條選手の担当で「何日か前に言われて、僕ですか?僕がやるんですか?って聞きましたよ」と言いながらブツブツと練習していました。去年は橋本選手が素晴らしい挨拶をしたからねえ。「そうなんですか?」って北條くん、その場にいたよね?「覚えてないです」。あらまあ。(その橋本選手の挨拶の後半部分がこちら。「ここにいる選手たちは悔しさ、ハングリー精神、強い意志、“Go For The Top 熱くなれ”の気持ちを胸に刻んで、今シーズン戦っていきたいと思います。高知出身の偉人・坂本竜馬が日本の歴史に新しい風を吹かせたように、僕ら安芸タイガースも阪神に新しい風を吹かせたいと思います。タイガース維新で戦うぜよ!」)

では「真面目にやりますよ」と宣言していた北條選手の挨拶全文をご紹介します。

「監督、コーチ、スタッフ、関係者の皆さん。そして安芸関係者の皆さん。ほんと約1か月間の長い期間、ありがとうございました。この安芸組の中から、ことしのタイガースの優勝、日本一に貢献できる選手が出るように、これからも頑張っていきます。本当に1ね…1か月、ありがとうございました!それでは一本締めをします」

マウンドをぐるっと取り巻いた円陣の真ん中に立ち、大きな声でベンチ前までしっかり聞こえましたよ。名前を呼ばれて中央へ進み出る時に、もう顔がにやけていたので緊張はしていなかったと思われますが、最初は少々つっかえ気味。最後の「1ね…」はおそらく「1年」と言いかけたのでしょう。細かいところも書いちゃて、すみません。

一二三「猛アピール」、北條「強い気持ちで」

一二三選手は「いろいろ見えてきたものがある。掛布さんに教えてもらって、こういうことをやったらアカンとか、理にかなった打ち方とか。守備も送球はよくなっていると思うので、もっと精度を上げて取れるアウトは取らないと」と言っています。1日、2日のプレシーズンマッチに帯同することは、最終日の朝に聞いたそうで「練習から猛アピールですね!失敗を恐れずにやりたい。どんどん振っていきます。結果を出そう、出そうと思ったら力んでしまうので…。全力でやりますけど」と気合十分でした。

北條選手のキャンプ振り返りは「去年と違って自主トレから準備できていたし、去年の経験が生かせたと思います。ことしはケガなく、最初から最後まで目一杯できました。だいぶバッティングの形が整ってきたし、それを自分のものとしてやっていきたい。あとは守備ですね」。1軍に合流するに当たり「キャンプでできた形を継続して、掛布さんに教えてもらったことも意識しながら、いつも通りのプレーができたら。失うものはないので、いいとこ見せようとせず思い切り声を出して。(チーム内の競争を)勝ち抜かないと上では通用しない。強い気持ちを持ってやりたいです」とのこと。

ルーキー3人の初キャンプ

岩崎投手は「順調に仕上がっていると思います。ケガとかもなく、できました。入寮から体重がプラス6キロ。大学の時と変わったことはしていないんですが、プロとして練習することを考えたら体重が減るかなと思って、食べました」と笑います。なるほど、思いのほか落ちなかったんですね。プレシーズンマッチ合流には「欲を出さずに普段通りのピッチングをしたいと思います。特に何を見せたいというのではなく、自分のピッチングができたら」。大学時代、この時期は寒かったのでピッチングはあまりしていなかったため「こんなに投げたことはなかった」そうです。それでも2試合6イニングを無安打を「たまたま」という岩崎投手の、ふんわり柔らかスマイル。おすすめです。

ついで陽川選手。「第1クールは出遅れたので、最初は自分が思った通りできなかった。チームやキャンプに徐々に慣れてきて、自分らしいバッティングはできてきたかなと思います。大学と比べて球速はあまり変わらないけど、キレが違うかなと。だんだんピッチャーの球にも慣れてきました。バッティングはもちろん、スローイングや守備でも、最初に比べたら少しはいい形になってきた。満足せずに上を目指していきます」。打球の速さは一番と掛布DCが話していましたよ。「そういって頂いて嬉しいです。タイミングの取り方を教わりました。これから練習に励んでレベルアップしたい」

最後は横田選手です。「ひとつひとつが初めてで、キャンプ中盤から色んなことに慣れてきたので、おもしろかったです。(初日に)熱を出してしまったことはしようがないので、ちゃんと治してからと思っていました」。掛布DCから教わったことは?「最初は力でやってやろうと思ってバッティングしていたんです。でも色んなことを聞いて、形を意識することが大切なんだなとわかった。鳴尾浜に帰っても継続していきたい。一番印象に残っているのは、腕の使い方を教えてもらったことです」。先輩たちとも、よく話ができるようになった最年少の横田選手。中でも「北條さんが一番優しい」とか。何でも聞いて勉強してくださいね。来年、手締めの挨拶をすることになるかもしれないので…。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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