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Amazon“ゆっくりでいいよ便”に反響 「お急ぎ便」不要ならポイント付与、ユーザーは歓迎

岡田有花フリーランス記者
Amazon.co.jpの特設サイトより

 ネット通販の普及により宅配量が激増し、宅配スタッフの過剰労働が問題になる中、Amazon.co.jpが期間限定で行っているキャンペーンが話題になっている。プライム会員向けの「通常配送選択でポイントプレゼントキャンペーン」だ。配送を「お急ぎ便」にせず、「通常配送」を指定すれば30ポイントもらえる、というものだ。

 Amazon.co.jpの有料会員「プライム会員」は、当日や翌日に配送される「お急ぎ便」を無料で使える。このため、急いでいない商品の注文時も「お急ぎ便」を選ぶプライム会員は少なくない。

 だが、このキャンペーンは、プライム会員があえて「通常配送」を選べばポイントが付与される。特設サイトをログイン状態で閲覧した上で、商品を通常配送で注文すればOKだ。10月半ばに初回を行って注目を集め、第2回は10月31日午後6時~11月4日午前1時59分の期間限定で実施されている。

 背景には、物流業界の人手不足や過剰労働の問題がありそうだ。ヤマト運輸など大手が送料の引き上げなどを行う中、アマゾンジャパンは昨年から、「デリバリープロバイダ」と呼ぶ中小の運送業者にも荷物の宅配を委託し、即日配送網を維持してきた。だが、即日配送しないユーザーにメリットを提供する今回のキャンペーンを見るに、物流状況は限界に近づいているのかもしれない。

 また、「プライム」を契約しているユーザーも、必ずしも「すべての注文の即日配送」を望んでいたわけではないのだろう。プライムは2007年当初は、お急ぎ便が使い放題になるサービスとしてスタートしたが、現在では、動画見放題「Prime Video」や音楽聴き放題「Prime Music」など特典が増え、お急ぎ便だけのサービスではなくなっている。

 今回のキャンペーンは、「お急ぎ便」というプライム会員のメリットをあえて帳消しにするようにも見えるため、「不思議なキャンペーンだ」と不審がるユーザーもいる一方で、「もともと、急がない商品は通常配送にしていた」という人もおり、「不要な時にお急ぎ便を使うことを抑制する意味で、いいキャンペーンだ」と評価したり、「期間限定ではなく通常サービスにしてほしい」と歓迎するユーザーも多い。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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