「そよ風の扇風機」は“実在”する
朝の連続テレビ小説「半分、青い。」で、ヒロインの鈴愛(すずめ)と幼なじみの律(りつ)が開発した「そよ風の扇風機」(そよ風ファン)。そよ風のように優しい送り出す高級扇風機だが、この扇風機にはモデルとなった実在の扇風機がある。日本の家電ベンチャー・バルミューダが2010年に発売した「グリーンファン」(GreenFan)だ。
劇中の「そよ風の扇風機」と同様、二重構造の羽根とDCブラシレスモーターを使ったグリーンファン。価格は3万円以上と、扇風機としては極めて高価だが、その心地よい風が好評で大ヒット商品になった。ヒットを見た大手家電メーカーも次々に追随し、高級扇風機という新ジャンルを築き上げた。
バルミューダの公式Twitterは、「『半分、青い。』の劇中で描かれるそよ風の扇風機の原案は、バルミューダを代表する製品のひとつ『グリーンファン』」と紹介。寺尾社長自身もTwitterで、「二年前に北川さん(「半分、青い。」脚本家の北川悦吏子さん)が会社にいらして、扇風機を作る話を書きたいと言われたのが発端」と明かしている。
「半分、青い。」には、「扇風機開発部分 原案」として、バルミューダ社長の寺尾玄さんの名前がクレジットされているほか、公式サイトには、寺尾さんのインタビューも掲載されており、グリーンファン開発の経緯と、「半分、青い。」を見た感想などがつづられている。これを読むと、劇中では、スケートから着想を得た二重羽根構造のアイデアは、実際には、寺尾さんがテレビで偶然見た、子供達の「30人31脚」競争から生まれた、といったことが分かる。
寺尾さんのTwitterによると、北川さんが扇風機開発のストーリーを発案したのは、糸井重里さんのWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載された、糸井さんと寺尾さんの対談記事を読んだことがきっかけだったとのこと。また、「半分、青い。」では初期に、人気Webサイト「デイリーポータルZ」の「糸電話で市外通話」を元ネタにしたエピソードも登場するなど、Webの記事をヒントにした「アイデア」が、いろいろ盛り込まれているようだ。