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「国民訴訟通達センター」は詐欺 法務省かたる架空請求ハガキに注意

岡田有花フリーランス記者
詐欺ハガキの例(法務省Webサイトの注意喚起より)

 「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」など、法務省の関連組織を名乗る架空請求ハガキが全国の家庭に届いている。法務省広報室は「法務省とは一切関係ない」とし、書かれている電話番号に絶対に連絡しないよう、注意を呼び掛けている。

法務省Webサイトの注意喚起より
法務省Webサイトの注意喚起より

 ハガキには、「訴訟最終告知のお知らせ」などと書かれており、「連絡しなければ訴訟で原告の主張が全面的に受理され、給与や財産の差し押さえを強制的に執行する」などと不安をあおって連絡するよう迫る内容だ。

 ハガキに書かれた電話番号に連絡すると、弁護士を名乗る人を紹介され、最終的にコンビニでプリペイドカードを購入し、お金を支払うよう迫られるという。また、弁護士の紹介料を請求されるケースもあり、数百万円を詐取された被害者もいるという。

 差出人のパターンはいくつかあり、「法務省管轄支局」の後が「国民訴訟通達センター」だったり、「民事訴訟管理センター」「訴訟管理事務局センター」「国民訴訟通達管理センター」「民事再生管理センター」「消費生活情報センター」だったりするという。

 「民事訴訟管理センター」を名乗る(「法務省管轄支局」とは書かれていない)同様な架空請求ハガキは3月ごろから届いており、国民生活センターが5月1日、被害のパターンを詳細に紹介し、注意を呼び掛けた。その後5月末ごろから、差出人が「法務省管轄支局」をかたりはじめたようで、5月末ごろから法務省にも問い合わせが届き始めたという。

国民生活センターが5月に公表した架空請求ハガキの例。「法務省管轄」とは書かれていない
国民生活センターが5月に公表した架空請求ハガキの例。「法務省管轄」とは書かれていない
国民生活センターが5月に公表した相談事例
国民生活センターが5月に公表した相談事例

 法務省には10月現在も、このハガキに関する問い合わせが毎日40~50件程度あり、減る兆しはないという。「ハガキが届いたが、どうすればいいか」「書いてある電話番号につながらない」といった相談が多いそうだ(記者もハガキにかかれていた番号に電話してみたが、つながらなった)。また、実際にお金を支払って詐欺にあってしまったという被害の報告も、警察から届いているそうだ。

 法務省は、こういったハガキを受け取った場合、絶対に連絡しない、相手にしないよう呼び掛けている。不安な場合は、近くの消費生活センターや警察などに相談してほしいとしている。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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