東芝、シャープ、オリンピック招致委、再発を防ぐのは空気読めない多様性人材

東芝、シャープ、オリンピック招致委員会、暴走が止められないのは「空気」のせい

東芝は、チャレンジという名目の下に行われた不正会計、或いはその原因となったゾンビ事業を温存しつつ行われた原子力への過剰投資で、今も自己資本比率10%を割る危機的な状況にある。

シャープは、大型液晶パネルを生産する堺工場への、身の丈を超えた投資の結果2016年3月末には債務超過の状況に陥り、台湾の鴻海に買収されてしまった。

そして今回発覚した、東京オリンピック招致を巡る深い闇。ペーパーカンパニーとも思われるような会社への、賄賂としか思えない成果物が判然としない多額のコンサルタント料の支払い。FIFAのスキャンダルに次いでまた、世界最大のスポーツイベントに水を差す様な疑惑が発生した。

これらの問題の原因となった責任者の判断の誤りに、本当に周囲の人間は皆、気付かなかったのだろうか?そして、止めることが出来なかったのだろうか?

いや、決してそうではない。この様な自明のリスクに関して、必ず気付いた人物は多く存在していた筈である。

それが結果として、何故この様な大きな問題に至っているのか?

その原因は、組織の意思決定に関わる人物の間に流れる「空気」なのである。

3組織の空気を推理する

では、例示した各組織における「空気」とは、果たしてどのようなものであったのか推測してみよう。

東芝:子会社はともかく、本体事業のリストラに関しては、今も元気なOBに遠慮して踏み込めない空気。

原子力と半導体への過度な傾注リスクに、口を差し挟むことを拒む空気。

厳密に言えば不正会計だと判っていても、「程度の差こそあれどこでもやっている」との理屈を拒めない空気。

シャープ:液晶一筋で選ばれた社長が打ち出した、液晶テレビ世界制覇の野望に口を挟めない空気。

招致委員会:オリンピック招致の悲願達成のため、と言われれば、灰色のコンサルティング契約に反論できない空気。

空気の研究?

組織リーダーを中心に、何となく形成されてしまう空気。これは、設定された目的を達成するためには多少のコンプライアンス違反は止むを得ない、という法律やガバナンスを必ずしも至上とはしない考え方がベースになっている。ここは、一神教文化の下で世俗の権力を王から奪い自らのものとするため法律やガバナンスの思想を生み出し実践した西欧文明と、わが日本の文明では根本的に異なっている様に思える。恐らくそれは、明治維新からこのかた近代社会制度を文化的検証無きまま丸呑みして来た日本の、本質的に抱えてしまった欠陥なのだろう。

日本の近代化
日本の近代化

ルールが至上ではなく組織そのものが至上なので、組織の指導者の中で多数派の合意形成がされると、それは最早誰もが覆すことが出来ない空気となり、全員の思考や行動を縛ってしまう。勿論、あるきっかけで空気が変わることもままあるのだが、それは大きな犠牲を払った上でほぼ全員が一度にハッと気づかされる、或いは本当に天祐のような事象が起きて(そこまで空気を醸し出し引っ張ってきたリーダーが突然死ぬ、とか)大きな転換が実現される、といった事態である。

空気が形成されると、良いことも沢山ある。例えば、大きな地震が起きた際の混乱が少ない、或いは、国民が連帯する空気が生まれ支援の輪が広まるといった日本的美徳は、世界に誇るべきことかもしれない。

しかし一方で多くの問題が生まれる。その最たるものは議論が許されない、という問題である。冷静にリスクを語ることで、「不吉な事を言う」、或いは「お前は俺のやることに反対なのか?」と言われてしまっても、困ってしまうだろう。特にその方向性の提唱者が組織のトップであったとすれば、人事権という絶対権力を有するトップに対して、誰がリスクを冒して直言するであろうか?かつてのあさま山荘事件を引き起こした連合赤軍の「総括事件」を、私たちは他人事とすることは、決してできないのである。

もう一つ、組織内で誰もが認める問題の存在がある。例えば残業禁止の状況で、自宅への持ち帰り仕事を許容して残業をつけさせない、或いはその様な実態を知りつつ状況を改善させない行為は、明らかに労働基準法という法律違反である。しかし実態上多くの組織では、上司はその状況を知りつつ実態を許容している。それで問題が発覚したらどうなるのか?恐らくは、多くの組織において問題が発覚した組織における個別の問題として、その当事者が処罰されることで一件落着とすることになる。

空気とは
空気とは

空気を読まない好感度人材になろう

その様な問題を防ぐため、どのような手段が考えられるだろうか?ガバナンスの強化?ルールの徹底?状況の透明化?色々な手段が考えられる。

その中で、私が最も有効と考えるのは、若者や女性といった多様性を持った存在が、「空気を読まない好感度人材」として振る舞うことである。これは現実的な折衷案、空気を読まないが好感度な人材として振る舞うことにより、以下の効果が考えられる。

・直接的に、「悪い空気を変える」きっかけを作る。

・彼や彼女が、他者との差別化に成功し、出世のきっかけを作る。

好感度を得るためには、須らく人間力が必要である。そういった意味で、若者より多く経験を積んだ女性こそ、もっとも大きな可能性を有していると言えるだろう。ぜひとも頑張ってほしい。