ベネッセ~「プロ経営者」による改革は成功するか?

<現状>

●プロ経営者と自他ともに認める原田氏に経営を委ねて企業改革を進める

今回は、グローバル化とは少し違うかもしれませんが、企業改革という意味で非常に面白い、株式会社ベネッセホールディングスの事例を取り上げてみたいと思います。

ベネッセというのは、もともとは福武書店です。しまじろうで有名な進研ゼミで地位を確立した、優良な儲かる企業です。現在は介護施設(有料老人ホーム運営棟数)でも日本で第1位になっています。

この会社には、福武總一郎さんというオーナーがいます。最初は二代目として自ら経営をやり、中興の祖として会社を大きく成長させました。2003年にソニーの執行役員専務をやられていた森本昌義さんを社長に任命し、成長のためによりコーポレートとしての経営に移行しました。2007年にスキャンダルで森本さんが退いた後は、プロパーの福島保さんが社長として経営を担ってきたのですが、今回、アップルコンピュータージャパンや日本マクドナルドホールディングスの社長を務めた、原田泳幸さんというプロの経営者を迎え企業改革を進めようとしています。

その矢先に大規模な情報漏えい事件が起こりました。ただ、原田さんはすごい人で、転んでもただでは起きないというか、その情報漏えいの責任を取らせる形で、副会長に就いた前社長の福島さんを始め、従来の経営をやっていた方々や影響力を持っていた方々の多くを退かせ、自らのより強いリーダーシップを確立しました。

<原田ベネッセのこれから>

●日本マクドナルドはかつて増益をもたらした財務的手法が影響し問題噴出か?

原田さんという方は、マクドナルドでは商品戦略やマーケティングなどで成功したというイメージがありますが、長期にわたり日本マクドナルドの利益を下支えしたのは、財務的手法です。具体的には、自ら持っている直営店を、フランチャイズビジネスを行うフランチャイジーに売却していく、或いは、フランチャイジーより店舗の営業権を本部が買い取り、それを幾つかまとめてフランチャイジーに売っていきました。フランチャイジーが増えれば、本社の運営に関わる直接経費を大きく削減することも可能になります。そのような財務的手法とリストラによる利益は、実は原田社長が上げたマクドナルドの利益の中で、相当な割合を占めています。

今のマクドナルドでいろいろな問題が噴出しています。そのことについて、新しく来た女性のCEOが問題だと見られている節もありますけれど、私は、やはり根幹部分で、そういった直営店をフランチャイズに移していき、自らの責任と能力を減少させていったことが影響しているのは、否めないのではないかと思います。

●欧米流の経営でベネッセがどうなるか、今後を占う意味で要注目

ベネッセは、優良な商品を持ちこれまで非常にもうかってきた、日本的な含みが大きな会社です。間接部門のコストなどは相当に高い上に、機能が重複しているところがあります。ですから、原田CEOは、まずはそういうところに目を付けるでしょう。先日、最初のリストラを発表していましたが、それは多分序の口、これからどんどん厳しいKPI(重要業績評価指標)を部門別に課した欧米流の経営を、スピード感を持ってベネッセの中に入れていくと思います。

そのときに、果たして今までとは全く違う文化にいきなり直面して、ベネッセの今の方々がどの程度耐えられるでしょうか? 日本人は我慢強いですから、結構耐えて頑張っていくとは思いますが、そこで文化が変わって、どういった会社になっていくのか。私は、原田ベネッセの将来を長期的にはやや懐疑的に見ています。この結果についても、日本企業のこれからの経営のあり方を占う意味で、注目をしていきたいと思います。