ソニー復活の秘策

Abby Road London

ソニー復活の秘策

今春、子会社の設立による不動産業への進出を発表したソニーは、今また大幅な業績下方修正を発表しました。かつて、世界が憧れる製品を日本からガンガン生み出し、スティーブ・ジョブスやビル・ゲイツが羨望したソニーという企業に、メディアは日立やパナソニックのように、コンジューマーエレキからの撤退を迫っています。

私は全く逆のことを考えています。現在のソニーが苦しんでいる理由は簡単です。本業のコンジューマーエレキで儲かっていないからです。4Kテレビやプレステが当たろうが、かつてソニーが得意としていたイノベーティブな製品、例えばiPod、iPhone、iPadなどのように世界中を席巻する製品を作ることが出来ていないからなのです。

ソニーからものづくりの力が失われてしまった

出井時代にソニーは、ビジネスモデルやマーケティングが重要だと考え、これらの分野に傾注していきました。当時の幹部はインターネット時代に向けて、ソニーをものづくりの会社からサービスの会社にしようと試みました。

ところが、ソニーの原点はものづくりですから、サービスの会社に変えるということは、ものづくりを追求してきた人たちに、「今まで信じてきたものを捨てて180度方向を変えなさい」と言うことに等しかったのです。いかに環境が変わろうが、そんなことは簡単にできるはずがありません。

良い例がアップルです。アップルは伝統的にものづくりの会社です。iPodやiPhoneのビジネスモデルのことがずいぶんと語られて有名になっていますが、実は儲けの大半は良質なハードウェアが上げています。アップルは、製造業としてのイノベーションを、ビジネスモデルやコンテンツを利用することで上手に行っているわけです。

ソニーが目指すべきデジタル時代に向けた転換は、まさに今のアップルのように進めていくべきでした。しかし、強い製造業をある意味で否定して、むしろビジネスモデルやマーケティングといった方向に進んでしまったのです。

その結果、優れたものづくりの力が形骸化し、失われてしまいました。代わりに、サムスン電子やLGエレクトロニクスなどが皆、テレビのみならずiPhoneやiPadの対抗機を作り大きな利益を上げています。ソニーは、ハードウェアでもビジネスモデルでも利益を上げることができず、金融ビジネスや買収したコンテンツビジネスの儲けで全体を維持する、企業グループになってしまったのです。

ソニーはどこまで堕ちるのか

金融事業の子会社であるソニーファイナンシャルホールディングスは、ドメスティックなリテール金融業です。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ソニー・ミュージックエンタテインメントは米国ベースのコンテンツ企業です。日本からグローバルにエレクトロニクス製品を製造販売するソニー本体と、果たしてどのようなシナジーが有るのでしょうか?アップルやグーグルが、コンテンツビジネス企業や金融業をグループに持っているでしょうか。ソニーは今、シナジーがないビジネスを本体維持のために無理やり抱えつつ、更にそのようなビジネスを、不動産業!?を皮切りに増やしていこうとしています。

企業にとって、利益確保は目的ではなく手段であり結果です。ソニーの設立趣意書の、どこをどう読めば不動産業が出てくるのでしょうか?このように無理やり利益を作りに行くことは、単なる経営陣の保身ではないかと問われたとき、果たしてソニーの過去の経営陣、そして今の経営陣は一体どのように答えるか、私は、改めて問いかけてみたいと思います。

私のソニー改革試案

ではソニーはどうすれば立ち直るのか。答えは明快です。ソニーは、金融事業を営むソニーファイナンシャルホールディングスと、コンテンツ事業を営むソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ソニー・ミュージックエンタテインメントを分離して、ソニーの原点であるものつくり企業に回帰すべきです。途上国向けのスマホでは無く、先進国に向けたハイエンドの次世代スマホを作り、世に問う会社になって欲しいと思います。

その際、全てのソニー社員は国籍を問わず、自らの帰属を選択する。それを機会に、ソニーから離れ新たなキャリアを歩む者も多いでしょう。ストリンガー路線の延長線上で、金融事業とコンテンツ事業の強化を謳い、不動産業進出を発表する平井社長は、ソニーのものつくり事業には不要です。バック・トゥ・ザ・ベーシック、原点に戻ったソニーは、設立趣意書に書かれているような理想工場を建設し、サムソンやLG,そしてアップルを追撃して欲しい。日本の夢をもう一度、ソニーには叶えて欲しい。その能力は今でも有ると信じたいと思います。