外出自粛でスマホをみすぎていると肩こりや頭痛に?~専門医が教えるその原因と予防法~

(写真:アフロ)

新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛が続いているため、子供も大人もスマホやタブレットをみている時間が長くなっていますよね。そのせいで肩がこったり、首が痛くなったり、ひどい場合は頭痛に悩まされたりという人も増えています。

なぜスマホやタブレットを長時間みていると、こういう症状が起きてしまうのでしょうか?それを理解するためには、背骨と肩甲骨について少し理解する必要があります。

そもそも背骨は、首~背中~腰~骨盤と連続したS字カーブの形をしております(図1)。

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図1

首では前弯(前方に弯曲した形)、背中で後弯(後方に弯曲した形)、腰で前弯、骨盤で後弯となります。このような連続したS字のカーブを描くことで、背骨全体がばねのような形になり、背骨のまわりにある姿勢を保つ筋肉にかかる負荷が軽減されるようになります。

立っているときも座っているときも、背骨は本来このようなきれいなカーブを描いているのが理想ですが、我々はどうしても手に持ったスマホやタブレットを見ようと、首を前に曲げ、腰を丸めてしまいます(図2)。

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図2

この姿勢が長く続くと、当然首の後ろの筋には無理な負荷がかかってしまいます。そのせいで後頭下筋群や板状筋(図3)といった首の後ろの筋肉の痛み、ひどいときは頭痛が生じてしまいます。

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図3

一方、腰が丸まってしまうことは、肩まわりにも悪影響を及ぼします。人間は腰が丸まっていると肩甲骨をお互いに引き寄せて「胸を張る」ことがしづらくなります。ためしに背筋を伸ばしておへそを突き出した状態で胸を張ってみましょう(図4)。これは背中の筋肉を意識しやすいと思います。

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図4

今度はわざと腰をまるめて同じように胸を張ろうとしてみましょう(図5)。この状態では背中の筋肉に力を入れにくい変な感じがすると思います。

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図5

このように腰が丸まっていると、肩甲骨についている筋肉のうち菱形筋、前鋸筋といった肩甲骨の下の方に付着した筋肉の収縮がしづらくなり、僧帽筋や肩甲挙筋といった肩甲骨を上に引き上げる筋肉のみが働きます(図6)。その結果、腕の重みがこれらの筋肉のみによってささえられるようになるため、肩がこってしまうのです。

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図6

以上が、スマホやタブレットのみすぎにより肩こりや頭痛が起きる原因の説明です。

この機序からもわかる通り、予防のために最も大切となるのが、腰椎の前弯を保つこと、そして肩甲骨をお互いに引き寄せて胸を張ることです。

以下、そのトレーニング方法について説明します。

まず、椅子に座った状態で腰をまるめてみましょう(図7)。この時ゆっくり息を吐いておなかをへこませながら行うと、インナーマッスルとよばれる体幹深部の筋の収縮が得られやすくなります。

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図7

この状態で2秒保持したら、今度はおへそを前に突き出した状態で2秒保持しましょう(図8)。これら一連の動作を10回程度繰り返すことで、体幹筋の強化、股関節の柔軟性獲得、胸椎の柔軟性獲得につながります。

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図8

次に、おへそを突き出した状態で肩甲骨をお互いに引き寄せて胸を張ってみましょう。(図9)のように腕を後ろに引いて無理やり胸を張るのでなく、腕は体の横に置いたままで背中の筋肉をつかって左右の肩甲骨を引き寄せます。

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図9

もし背中の筋肉が意識しづらくて胸が張れない場合は次のように工夫するといいでしょう。

まず肩をすぼめて肩甲骨を上にあげ(図10a)→あげたまま後ろに引き(図10b)→最後に後ろに引いたまま下げる(図10c)→休む、といった具合です。それぞれのポジションで10秒ずつキープするといいでしょう。

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図10(上からa,b,c)

いうまでもなく一番大切なのは、最後の「肩甲骨を後ろに引いたまま下げる」という動作ですので、この時はちゃんと背筋を意識して行ってください。

なお、この運動をやると気づくと思いますが、やはり肩甲骨を後ろに引くときに背筋はすっと伸びます。図4,5のところでお示ししたように、人間の体は背筋が伸びないと肩甲骨を引いて胸が張れないのです。

以上のようにスマホやタブレットをみている時間が長くなってしまった時は、特に背筋を伸ばして、肩甲骨をお互いに引き寄せて、胸を張る。これを時々意識して繰り返すことで、肩こり、頭痛の予防に努めていきましょう。

(記事中の画像作成:著者)