モチベーションと戦い続ける「バーチャ勢」最大の宴「第14回VFRビートライブCUP」開催。

  2013年10月13日に、全国からアーケードゲーム『バーチャファイター』のプレイヤーたちが集結する日本最大級(世界最大級でもあります)の5on5大会「第14回VFRビートライブCUP」が「東京レジャーランド パレットタウン店」特設会場にて開催されました。

 そもそも東京・町田にあったゲームセンター「ゲームスポットアテナ 町田店」による自主開催の店舗大会「アテナ杯」を起源とするこの大会。狭い店内に参加者とギャラリーがぎゅうぎゅう詰めになるほどの支持を集めながら第1回開催から12回まで開催され、2000年からは「ビートライブCUP(通称『BT杯』)」として本大会までに13回、合計25回開催されています。

 昨年から取材してきた『バーチャファイター』のプレイヤーたちがつねに意識し続けているのが、一年に一度開かれるこの「BT杯」でした。

 今回の参加数は129チーム/645名。前回の144チーム/720名からは幾分減ったものの『バーチャファイター5』稼働から7年、マイナーチェンジ版である『~5R』から5年、そして『~5ファイナルショーダウン』となって3年。決して新しいタイトルではなく、事実、筐体の稼働している店舗が激減している状況でのこの参加数は、プレイヤーたちがいかにこの大会を渇望しているかが見て取れます。

「BT杯」の詳細についてはこちらの解説(外部サイト)に詳しく記載されているので、興味のある方は是非ご覧いただきたいのですが、この「BT杯」は開発/発売元のメーカーによって開催されているのではなく、店舗と有志たちが企画・運営を行う、インディペンデントな大会なのが大きな特徴です。いまでこそメーカー主導ではない大会が支持を集めていますが「BT杯」はその先駆けなのだそうです。

 そんな「プレイヤーたちによって作られるプレイヤーたちの宴」を運営しているのが「VFR」という存在です。

 VFR (VIRTUA FIGHTER RELATIONSHIP)とは、 バーチャファイターが盛り上がっている店舗同士が連携し合い、 イベントを更なる高み(?)に昇華させるべく発足した 店舗主導型のイベント団体です。

出典:VFRオフィシャルサイト

 

 手作りでありながらも、長い年数をかけて作り上げてきた大会ルールや演出のひとつひとつにプロ意識を感じると同時に、自主運営ならではのアットホームな雰囲気もあるこの空間は、この「VFR」あってのものでしょう。

 なかでも象徴的なのが会場入り口からメイン筐体へと続くカーペット、通称「赤絨毯」。「ゲームの大会では『BT杯』が初」というこの粋な演出。そこは決勝トーナメント出場の権利を手に入れることのできた者たちのみが通ることのできる「BT杯」の花道です。

 決勝トーナメント出場者たちは各チームごとにその花道を歩きます。両脇にはそれまでライバルとして戦い、惜しくも散っていった者たちが並び、出場者たちにハイタッチとエールを送ります。

 誰もが口々に「『BT杯』の赤絨毯は特別なんですよ」と言うその道を偶然やまぐれで歩くことはできません。

 そこは、この一年間、ただひたすらに努力をし、仲間に認められ、あらゆるプレッシャーに打ち勝ち、運を乗り越る力を手にしてその強さを発揮することができた者たちだけが通ることを許される道なのです。

 続編のリリースが熱望されるなか、長期化する同タイトルによるプレイ、マンネリ化やゲームセンターの閉店、プレイヤー人口の低下による筐体撤去といったプレイ環境の激減、さらにプレイヤーの高齢化にともなう私生活の重圧など、様々な現実的問題を前に「なによりもモチベーションの維持が大変」だと言う昨今。

 今回の大会が、取材させていただいた前回や、映像や取材で見聞きするそれ以前の大会にあった鬼気迫る空間ではなく、まるで同窓会のような穏やかな雰囲気のように感じられたのは、参加者全員に「今回の大会がひとつの節目になるかもしれない」という思いがあったからなのかもしれません。

 そんななかで第14回「BT杯」の頂点に立ったのは中部/北陸エリア(東海地区)のチームでした。

 全国的に見ればまだ恵まれている関東エリアのプレイヤーでさえ、そうした問題と対峙せざるを得ない状況のなかでの優勝は「高いモチベーションがプレイ環境をも凌駕する」というひとつの答えのように感じました。

 それは現在のアーケードゲームの現状にも、そしてどんなことにでも言えるのかもしれません。

 当然、限界はあります。

 ゲームセンターでいえば従量課金への移行に加え、消費税増税が可決された場合のダメージからは逃れられません。また『スペースインベーダー』や『バーチャファイター』のブームのように「向こうからお客さんが勝手にやってきてなにもしなくても儲かる」ことももうないでしょう。

 かといって過去の繁栄を思い浮かべながらすべてを状況のせいにしていてもなにも始まりません。

 プレイヤー人口の少ないエリアでの限られた対戦試合のなかで強くなればなるほど、同レベルのプレイヤーが減っていく悪循環。勝つことが日常的になり、真新しさを見つけられなくなればプレイは単調となって気持ちは萎えていく。身近に自分より上の存在が少なくなるなかで、それでもまだ上を目指そうとすることの難しさ。そうした幾度となく押し寄せる困難に対して試行錯誤を繰り返し、ようやく手にすることのできた優勝の称号。

 市場規模縮小の続く出版業界の末席に座る自分としても、優勝した彼らの姿には身につまされるものがありました。

 2D対戦格闘ゲーム全盛期。多くの人はその奇抜なルックスに好奇心以上のなにかを感じることはなかったのか、『バーチャファイター』は人気とはほど遠いタイトルでした。けれど、その魅力に取り憑かれた人たちがいて、彼らは夜ごとプレイできる場所を、対戦相手を求めて、街中を歩き回り、強いヤツがいると聞けば遠征を繰り返し、そしてそれはいつしか大きな輪になっていきました。

 その遺伝子をそのままにいまもなお続く「BT杯」。そしてそれを無意識のうちに継承している現在のプレイヤーたち。

 今年以上に厳しくなることは間違いない、来年の『バーチャファイター5FS』を取り巻く状況。そして「BT杯」の開催。この一年、取材を通して、多くのプレイヤーたちが限りある時間とお金を費やすために必死になっている様を見てきたにも関わらず、身勝手にもまた赤絨毯を見たいと期待してしまうのは、「オフィシャル以上にオフィシャル」な「BT杯」という場を作り上げてきた彼ら「バーチャ勢」本来のモチベーションがあればなんとかできるんじゃないか? と思うからに他なりません。

 状況をただ悲観するばかりではなく、それを乗り越えるためにどうするべきか。

 そんなことを考えさせられた「第14回VFRビートライブCUP」でした。

 参加したすべてのプレイヤーに感謝を。そして優勝おめでとう、「ファミリー餃子五人前」!(なんとまあ平和なチーム名…)。

※一部加筆修正させていただきました。(2013.10.19)