Zoom、COVID-19による利用者急増でオラクルクラウドを採用。毎日7PBのデータ転送を実現

オラクルは急成長を遂げるZoomがオラクルクラウドを採用したと発表した

 米オラクルはZoomが同社のシステムを支える仕組みとして、オラクルクラウドを採用したと発表した。オラクルの発表によれば、Zoomはすでに、「Oracle Cloud Infrastructure」のサーバーを通じて7ペタバイト(HDビデオ換算で約93年分)を毎日転送し、数百万人の同時参加者を会議に参加させることが可能になっているという。

■僅か4ヶ月で30倍の利用者急増

 2019年末には有料会員数が1000万人だったZoom。ZoomはCOVID-19の感染者数拡大と共に利用者が急増し、2020年3月には1日の利用者が2億人に到達。そして4月には1億人増加し、現在では1日3億人が利用する、もはや社会インフラと言っていい程に急成長を遂げたサービスである。

 僅か4ヶ月で30倍の規模という誰も予測することの出来なかった規模での急成長を遂げているにも関わらず、Zoomのサービス停止やオンライン会議品質の劣化を伝える報道を目にすることはない。システム構築を経験したことのあるエンジニアであれば、Zoomの急成長は一体どのような技術によって支えられているのか関心があった人も少なくないだろう。筆者もその一人であった。

 今回のオラクルの発表によって、Zoomが大きなトラブルを発生させることなく利用者急増を成し遂げたのは、オラクルクラウドが支えていたことが明らかになった。

■幼稚園から高校を対象に無料枠の40分制限を撤廃

 Zoomの利用者急増の背景には「ソーシャルディスタンス」の浸透による「対面での会議禁止」や、「Zoom飲み」といった造語が産まれる程の無料枠を利用した個人利用の伸びがあるが、教育を提供出来なくなった教育者や生徒に対して無料枠の40分間という時間制限を撤廃したことも利用者急増の原因の1つだった。

 この教育機関向けの無料サービス提供に伴うシステム負荷増加に対応するために、Zoomがオラクルに相談。そこから数週間でオラクルクラウド上でのZoomサービス継続が実現したという。

■AWSからの乗り換えかどうかは不明

 Zoomの利用者急増を支えているのはAWSとする記事もあったが、オラクルのプレスにはAWSからの移行とは表現されていないため、AWSからの移行か、併用になっているのかはわからない。

世界的なテレワークへの移行に伴い、AWSの需要が急増しているのは間違いない。例えばビデオ会議。AWS自身が提供するビデオ会議サービスであるAmazon Chimeは全く話題になっていないが、2019年12月時点の1000万ユーザーが2020年3月には2億ユーザーにまで急増したZoomのバックエンドをAWSが支えている。都市に出られなくなった市民の娯楽を支えているNetflixもインフラはAWSだ。

出典:新型コロナによる需要爆増にびくともしないAWS、強さの秘密はあれ

■セキュリテイへの批判もあるがZoomに救われた人々も

 Zoomの優れたUIはITリテラシーにばらつきのある教育機関等には最適だろう。日本の大学関係者から時折「Zoomを遠隔授業で使いたいがセキュリティ上の問題ないか?」と相談を受けることがあるが、筆者はZoom提供の「仮想教室を保護するベストプラクティス」を紹介している。いつ解除されるかわからない、自粛要請に対してオンライン化を検討している教育機関があれば是非参考にして欲しい。

 Zoomに関するセキュリティ批判の声もあるが、一方でZoomの利用者急増が示すように、「Zoom飲み」で孤独感から救われた人や、Zoomのお陰で教育を継続出来た人々も数千万人規模で存在していると推測される。今では単なる「企業向けオンラインビデオ会議サービス」という枠組みを超えて、社会インフラへと成長したZoom。オラクルクラウドの力を得て、今後どのように成長し、どのような使われ方をしていくのか。Zoomとオラクルクラウドの今後が楽しみだ。