Zoom for X。Zoomを活用してビジネス継続を模索する人々。

対面形式、集合形式で行っていたサービスをZoomで代替する動きが登場している(写真:アフロ)

 緊急事態宣言が発出され、人々の生活は変化を余儀なくされている。休業要請に従い嵐が通り過ぎるのを待つ人も居る一方で、ITを活用し苦境を突破しようとする人々も現れている。アフター・コロナの代表的なITの1つにオンライン・ビデオ会議サービスがあるが、オンライン・ビデオ会議の特性を活かして既存のビジネスをZoom上で展開する取り組みが現れている。

 本稿では様々なZoom for Xを紹介したい。

■Zoom for Fitness

 新型コロナウィルスで影響を受けている業種の1つに、スポーツジムがある。ここで働いていたトレーナー達はジムの休業に伴い収入が途絶えてしまった人達も存在する。そういったトレーナ達がZoomを活用してパーソナルトレーニングを提供したり、オンラインエクササイズを提供する試みが始まっている。

 

 ロックダウンが先行して行われていた海外でも「自宅待機」に伴い運動不足解消は誰もが考える課題。こういったニーズに答えるため、既にZoomとブッキングシステムを統合するサービスも登場している。

 ・フィットネスクラスをオンライン化するTeamUp

■Zoom for Instructing

 英会話学校等の語学学校や、カルチャースクール等、人が室内に集まる集合研修も開催自粛が余儀なくされている。こういったインストラクターが多数の生徒に指導を行うサービスもZoom等を用いてオンライン化する事例が現れている。

 ・新型コロナでも300クラスの休講ゼロ、グロービスが3日で全面オンライン化できた訳

■Zoom for キャバクラ

 これも大打撃を受けている業界の1つであるキャバクラ。恐らく世界でも類似のサービスは無いと思われるが、Zoomを活用したキャバクラがオープンし話題を集めている。

 ・オンライン専門Zoomキャバクラ「ズムキャバ

 Lineでスタッフとスケジュール調整を行い、Line Payで支払いが完了すると、スタッフから女性と会話出来るZoomの会議用URLが送付されてくるので、そのURLをクリックすることでオンラインでキャバクラを体験することが出来る。

■Zoom for Entertainment

 新型コロナウィルスによってライブ開催等を行うことが出来なくなった。行き場を失った才能がオンラインに活路を見出そうとしている。打ち合わせから本番まで1回も会わずに活動するフルリモート劇団「劇団ノーミーツ」が話題を集めている。初公演となった「ZOOM飲み会してたら怪奇現象起きた…」は3086RTを超える反響を得た。

 

 また、投げ銭サービスとZoomを組み合わせてライブを開催するような取り組みも現れている。

■Zoom for Communication

 最も多くの利用例が「Zoom飲み」だろう。在宅勤務や外出自粛によって人との会話が減りストレス解消のために、Zoomを利用したオンライン飲み会がブームになっている。

 ・Zoom飲みってどうやるの?メリット、デメリットから、安全に配慮した開催方法までを解説

 この「Zoom飲み」を盛り上げる試みとして「Zoom飲み」にマジシャンを派遣する試みも登場している。

 ・ZOMTAME Zoom飲み会にMagicという名のエンターテインメントを。

■Zoom for Marketing

 Zoomを利用したイベントマーケティングは既に多数開催されているが、先進的な企業が取り組んでいるのがオンラインビデオサービス用の「背景画像」を利用したマーケティングである。テレワーク化の普及に伴い多用されるオンラインビデオ会議の背景画像は長時間視聴されることもありPRの場所としては魅力的な場所である。先進的な企業はこの背景画像を提供することで製品のPRや消費者のマインドシェア獲得に動いている。

■人の行動の変化はビジネスのチャンス

 新型コロナウィルスによる経済自粛は長引くだろうという見方は少なくない。世界に先駆けてロックダウンが解除された中国でも、以前のように人が対面で接客する、大勢の人が集合するようなビジネスが以前の状態に戻るにはまだ時間が掛かるとの見方が強い。政府による救済を求めるだけでなく、サービスの提供形態を変える試みるというのも、選択肢の1つになり得る業種も存在するだろう。

 新型コロナウィルスによって人の行動が大きく変わった。2010年前後にもスマートフォンとSNSの登場で人の行動が大きく変化したことがあった。この変化で仕事を失った人も居る一方で、変化をチャンスに変えることが出来た人も居た。新型コロナウィルスによる人の行動の変化は、新たなビジネスのチャンスでもある。

 例えば、フィットネスクラスのオンライン化を支援するTeamUpのようなZoomの機能を補完するエコシステムは今後拡大する可能性がある。企業の多くはイベントマーケティングを実施しており、多くのPRやマーケティング担当者はリアルイベントの開催に変わる施策を模索している。こういったニーズに答えられる広告代理店や企画会社は依頼が殺到するだろう。あるいは「劇団ノーミーツ」のような新しい才能が産まれてくるかもしれないし、「Zoom飲み」のマッチングサイトも何れ登場するだろう。

 Zoomの魅力は初期投資を抑えて手軽に挑戦することが出来る点だ。既存顧客に対してZoomのURLを案内し、支払いは電子決済等を組み合わせて補うだけで、ビジネスを継続出来るサービスもあるだろう。本稿で紹介した取り組みが少しでもビジネス継続のヒントになることを願いたい。