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Xiaomi FurryTailに生命に係る深刻な脆弱性。ペットへの餌供給を第三者が遠隔から操作可能

大元隆志CISOアドバイザー
ペットスマートフィーダーを操作し、第三者がペットへの餌補給を停止することが可能に

 ロシアのセキュリティ研究者Anna Prosvetovaは、TelegramにてXiaomi FurryTailスマートペットフィーダーのAPIおよびファームウェアの脆弱性を発見したと自身のTelegramで述べた。

 Xiaomi FurryTailスマートペットフィーダーは、モバイルアプリを使用して1日の特定の時間に餌を提供する、自動餌やり器。これが有ればペットを置いて外出しても、決められた時間になれば、自動的に餌を与えてくれるので、飼い主は安心して仕事や旅行に出かけることが可能になる。

■パスワード不要で、餌やりスケジュールを更新可能

 Prosvetova氏は、自身でXiaomi FurryTailを購入し調査していたところ、APIを経由して、世界中のXiaomi FurryTailにパスワード不要でアクセス出来ることを発見した。数回クリツクするだけで、餌提供のスケジュールを削除し、ペットから餌を奪うことが可能だとコメントしている。このような状態にさらされているXiaomi FurryTailが世界中に10,950台存在するという。

■ESP8266を利用しているため、DDoS攻撃にも応用可能

 Prosvetova氏はXiaomi FurryTailがWiFi接続用にESP8266も使用していることも発見した。ESP8266とは、CPUとWi-Fi接続機能を持った小型コンピュータ。安価で入手出来ることから、手軽なIoT入門用の機器と人気が有るが、CPUを実装しプログラムを実行することも可能なため、サイバー攻撃者に悪用されるリスクも存在する。

 Prosvetova氏はXiaomi FurryTailが利用しているESP8266には脆弱性が存在しているため、遠隔からダミーのファームウェアをインストールし、強制的にアップグレードさせ、動作を停止することが可能と主張している。また、ペットフィーダーをIoT DDoSボットネットにハイジャックすることを検討しているサイバー攻撃者にとって、この脆弱性は理想的だろうと述べている。

■Xiaomiは脆弱性報酬プログラムを提供していない

 Prosvetova氏は本脆弱性をXiaomiに報告したが、Xiaomiは脆弱性報酬プログラムを提供していないため、Prosvetova氏にバグ発見の報酬を提供することが出来ないという。そのため、Prosvetova氏はXiaomiが正当な報酬を支払うまでは、脆弱性の詳細は公開しないと述べている。

Prosvetova氏の脆弱性指摘に対するXiaomiからの返信のキャプチャ
Prosvetova氏の脆弱性指摘に対するXiaomiからの返信のキャプチャ

■ペットフィーダーの脆弱性は生命に係る重要な脆弱性

 ペットフィーダーは、飼い主がペットを置いて外出したり、旅行にでかける時に、自動的に餌を供給する装置だ。ペットフィーダーが誤動作すれば、ペットは餌を食べることが出来なくなってしまう。Prosvetova氏が発見したペットフィーダーを操作可能にする脆弱性は、ペットの生命を奪うことも可能な深刻な脆弱性と言えるだろう。Xiaomiの早急な対応を期待したい。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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