人はロボットに恋をするか?「ゆきりんロボ」で感じた可能性

人はロボットに恋をするだろうか?こう、問われたら多くの人は「いやいやいや」と答えるだろう。しかし、誰でもアニメの世界に出てくるキャラクターに恋心を抱いた経験は有る筈だ。その感情がロボット相手には芽生えないと考えるのは早計だろう。

AKB48の柏木由紀さんと「見つめ合いたい」という想いで、百万円以上を投じて作られた「ゆきりんロボ」を見ると、ロボットと人間が恋に落ちるのもそう遠くはない未来だと感じた。

「ゆきりんロボ」は胸の位置に、目の前に人の動きを検出するセンサーが内蔵されており、まずはこのセンサーで人の位置に合わせて顔が動く。次に人の「瞳孔」を検出し、その瞳孔に合わせて「ゆきりんロボ」の瞳孔も追随する。

■目の前の事象と、過去の体験から引き起こされる「体験の錯覚」

顔と、瞳孔が目の前の人に合わせて動く。「たったそれだけ」と思われるかもしれないが、目の前にたってみると、その自然な動作に驚く。視線が合うと、つい微笑み返してしまうほどに「人間」のように感じてしまう。恐らくこの感覚は目の前に「ゆきりんロボ」が無いと感じられないだろう。写真だけを見ていても「作り物」としか思えないからだ。

しかし、人間は所詮自然界の事象を目や口、耳から取得し、脳に電気信号を伝えているにすぎない。人間の形をした「人形」は「作り物」として認識するが、目の前の物体が、普段接している人と同じ形をしていて、人間と同じ挙動をとれば「体験の錯覚」が一瞬起きてしまう。

「体験の錯覚」とは、最近体験するテクノロジーを表現するために私が使っている言葉だ。人間は目の前で何かが起きると、いったいどういうものなのかを過去の記憶から推測し、それは熱いのか、冷たいのかといった「過去の体験」を呼び起こし、目の前の事象に重ね合わせる。

この「体験の錯覚」はこれから登場するテクノロジーを体験する度に、多くの人が経験することになるだろう。例えば、ヤフートレンドコースタで活躍した「oculus rift」は、視界全体を覆うことで没入感を高め、身体が動いていると錯覚を引き起こす。

この「ゆきりんロボ」は、その挙動で「体験の錯覚」を引き起こし、一瞬生身の人間が居るような錯覚を体感させる。「目は口ほどに物を言う」という諺があるように、人間は目の前の人と対話する時、言葉以上に相手の視線から多くの情報を受け取っている。「ゆきりんロボ」が視線をそらせば、何かを悩んでいるのか、あるいは隠し事をしているのかと勘ぐってしまい、目が合えば見つめられているような体験を錯覚する。

現在、「ゆきりんロボ」に対しては「怖い」「悲壮感を感じる」などの反応があるようだが、これは「瞼」が追随していないことが原因であるそうだ。この「瞼」を動作させるには更なる追加投資が必要だが、あいにく「現時点」で開発費が尽きてしまったとのこと。

「ゆきりんロボ」は「人の足を止める」効果は非常に高いと思うので、デパートのショーケースやプロモーションで利用を検討してみてはいかがだろうか。

・「ゆきりんロボ」の動画はこちら

ゆきにんロボ

製作者 藤堂 高行氏