在京の民放キー局5社(NTV・EXテレビ朝日・TBS・CXフジテレビジョン・TXテレビ東京)が、テレビ番組放送後にインターネットで無料で視聴を可能にする「見逃し視聴」を検討していることが明らかになった。この「見逃し視聴」は民放キー局で共通のサイトを利用する方向とのこと。来年度の実証実験を目標としている。

過去番組を無料でネット配信 在京民放5社、検討開始

現在、各社はそれぞれ個別のサイトで、「有料」の見逃し視聴サービスは実施している。日本テレビのみ、一部の番組を対象とした「無料の見逃し視聴」を実施していた。先行する日本テレビでは既に見逃し視聴用の新たな広告枠を提供しており「出せば即埋まる」ほど、広告主からの関心は高いようだ。

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技術的な課題は解決しても、権利問題、時差の発生する地方の系列局への配慮など、考慮すべき点は多いが、大きな一歩になりそうだ。

■2007年と2014年のメディア接触時間の違い

近年テレビ局各社の決算を見ていると、どの放送局もインターネット事業を「成長分野」と位置づけている。今回の検討開始はこういた流れを考えれば自然なものと言える。

しかし、それだけではないだろう。現状ではテレビ局というビジネスモデルが急激に崩壊するとは考えにくいが、十年後を考えたときに「メディアとしての存在感」がブラウン管の中に閉じていては、弱まっていくいくリスクが存在する。若年層を中心に「インターネットの重力」が強まり、スマホが登場して以降、急速にインターネットのメディア接触時間が増加しているからだ。

博報堂メディアパートナーズが例年発表している「メディア定点観測」から、スマホが登場する前の世界である2007年と、スマホが普及したあとの2014年の東京地区・男性のデータで「変化」を見てみよう。

まずは、2007年から。赤色の線がテレビ、青色の線がパソコンと携帯電話の合計値となっている。パソコンと携帯電話を合計しているのは「インターネットに接触している時間」と仮定している。この方式でも2007年時点では全年代でテレビの接触時間が一位となっている。

2007年の東京地区・男性は全年代でテレビがトップだった
2007年の東京地区・男性は全年代でテレビがトップだった

では、次に2014年版を見てみよう。先ほどと同様に赤色はテレビ。しかし、青色の線はパソコンとスマホとタブレットの合計値となっている。20代ではテレビ117.1分に対して、インターネット接続時間は308.9分。テレビの三倍近い時間をインターネットに接触しているのだ。僅か7年で全メディアでトップの接触時間を誇ったテレビが、今や中心層は40代以上になってしまっている。これが十年立てば更に年代もシフトするだろう。

10代~30代ではインターネット接続時間が大幅に上昇
10代~30代ではインターネット接続時間が大幅に上昇

「ブラウン管」の中で良いコンテンツを作っていれば「テレビ」の前に来てくれた時代は終わった。これからは「テレビ局」がインターネットに出て行く時代なのだ。幸いにもテレビのコンテンツ力はまだまだ強く、インターネットの話題の発生装置は「テレビ」という皮肉な構造になっている。テレビ局が本気でネットに出て行けば、また新しい「メディアの世界」を作り出すことも不可能では無いだろう。

動き出した「テレビ局」。今後の展開がとても楽しみだ。