平成23年度の内閣府の調査によると、青少年の携帯電話の所有率は、小学生で約2割、中学生で4割台後半、高校生では9割台後半となっており、高学年に近づくほど携帯電話の所有は当たり前となっている。このうち、携帯電話を所有する青少年のうち、小学生の7割半ば、中高生のほとんどがインターネットを利用している。技術の進歩は、生活を豊かにする一方で、子供達を取り巻く環境を大きく変えつつある。

今から10年前のイジメと言えば、学校内で行われる、もしくは学校の外で学内の生徒からいじめられると「学校関係の延長」によるいじめが大半だった。しかし、2005年の Web2.0 の台頭からそれまでの「学校関係の延長」からネットへとイジメの舞台はシフトしはじめた。更に2009年以降のスマートフォンブームにより、誰でも長時間録画可能なビデオカメラ付スマートフォン等を手に入れることが出来るようになった。これによって、イジメの記録を一生記憶させることが出来るようになった。

ネットとリアルのイジメの違い

1) 肉体の強弱は関係ない

リアルのイジメの多くは腕力等の肉体的に優位に立てる者がそれより弱い者に対して行うことが多い。しかし、ネットのイジメは肉体の強弱は殆ど関係ない。ネットがあれば誰でも誹謗中傷によって相手を傷つけることが出来る。ネットイジメは精神的に被害者を追い込んでいく。

2) リアルのいじめだけだった時代は、家に帰れば安全地帯

リアルのイジメは学校や会社等、イジメの現場を離れることが出来れば一旦は解放される。 しかし、ネットでは場所は関係なく、イジメは継続し、逃れることが出来ない。場所、活動時間に捉われず24時間イジメが継続する。

3) 記憶ではなく、記録される

本人が例え死亡したとしても、誹謗中傷は永遠に残り続ける。イジメの現場を写真や動画で撮影され、ソーシャルメディアで共有されれば、記録は半永久的にネットを彷徨う。

4) 可視化の範囲

リアルでは、イジメている人、イジメられている人という関係だったが、ネットではイジメている人、イジメられている人に加えて、ネット上に多くの眺めている人を作り出す。これにより、被害者の精神的被害はより大きくなる。

5) 身近な人の目に届かない

不特定多数の人には発見されやすいが、親、学校、職場といった身近な人には発見されない可能性がある。身近な家族が異変に気づくことが難しく、状況によってはそれらに発見されたとしても止めることもできない。

6) 圧倒的に有利な加害者

ネットのいじめは匿名という世界に守られていて、苛める側が圧倒的に有利。肉体を痛めることも、誰かにとがめられることも、犯罪として逮捕されるリスクもリアルのイジメより圧倒的に低い。

ネットいじめの関係性

ネットイジメの特徴の一つに、自分と何ら係りの無い第三者がイジメの加害者になることがある。その逆もあり、ネットの炎上騒ぎに加担し対象者が自殺に追い込まれたケースもある。

1) リアルのイジメの延長

2) リアルではいじめられていないが、ネットで本人の知らない所で誹謗中傷が行われる

3) 全く知らない人からのイジメ = 炎上

ネット上のイジメの分類

1) 掲示板・ブログ・プロフによるもの

不特定多数が見るサービスの特徴を活かしたイジメ

- 匿名を利用した、特定個人への誹謗中傷

- 特定個人の個人情報の掲載

- 特定個人へのなりすまし

2) メールによるもの

- 固有のアドレスを知っていることで被害者へ心理的恐怖感を与える

- 匿名による脅迫メッセージ

3) ソーシャルメディアによるもの

●軽微なもの

- 特定の人の投稿にだけ「いいね」しない、「シェア」しない。

- 写りの悪い写真などにわざとタグ付けする

●悪質なもの

- イジメの暴力シーンなどを動画で撮影し「シェア」する

- イジメの本人になりすまし、猥褻な言動を投稿する

各国の状況

米国

米国のティーンエージャー(12~17歳)の4人に3人が、過去12カ月間で少なくとも1度はネットでのいじめを体験しているが、親や教師などにその事実を相談しているのは10人中1人だけ――。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学教授らが10月2日、調査結果を発表した。

調査対象者の51%は、ネットいじめの相手は学校の友人

オンライン上のみの知り合いだと答えたのは43%

学校外の知り合いという回答は20%。

欧州

2012年1月、欧州委員会がインターネット上における個人情報保護のために、「忘れられる権利("the right to be forgotten)」。施行は2年後の2014年後半になると予想。

・管理者に対し、個人データを削除させる権利

・管理者に対し、個人データの拡散を停止させる権利

イギリス

2007年に英国政府は「ネットいじめ」の防止キャンペーンを立ち上げた。Beatbullyingの最高責任者エマ・ジェーン・クロス(Emma Jane Cross)によれば、ネットいじめを原因とする若者の自殺は既に何件も起きている。同社によるイギリスにおける11~18歳を対象にした調査結果では、ネットいじめの現状は下記のとおりである。

・61%がネットいじめを目撃したことがある。

・10人中7人がネットいじめを行った人物を知っている。

・ネットいじめの約3分の1はオンライン以外で始まったものである。

・約4分の1が、誰かがいじめられている内容のビデオや画像を送られた経験がある。

・ネットいじめの被害者も、いじめを行う側も、女子である割合が高い。

韓国

- ネットへの書き込みの匿名性に問題があると考えた政府は、2007年7月、「情報通信網の利用促進及び情報保護等に関する法律」(以下「情報通信網利用促進法」という)の改正による「制限的インターネット本人確認制度」(通称「インターネット実名制」)の新設に踏み切った。、1日平均利用者数が10万人以上のポータルサイト、ニュースサイトを対象としている。しかし、韓国製のサービスのみが対象となるため、Twitter、Facebookにはこういった制度は適用外とされ、むしろ韓国のCPから反対も強かった。

個人情報漏えいリスク、言論の自由に対する「違憲」ではないかという声が高まり2012年8月23日インターネット実名制に憲法裁判所が「違憲」であるとの判例がでたことで、今後は実名制は廃止になりそうだ。

- 08年10月、人気女優の崔真実(チェ・ジンシル)さん(39)が首吊り自殺した。その直前に別の男性タレントが自殺していて、タレントはジンシルさんから多額の借金をしていた、ジンシルさんは偽名で貸金業をやっている、というデマがネット上で流れたのだ。07年には、美容整形手術を受けたとの噂が広がった女性歌手と女優が自殺している。これをけいきに「サイバー侮辱罪」が設立された。

日本の対策

現在、ブラックリストと呼ばれる有害サイトなどに対する閲覧をブロックするURLフィルタリングと呼ばれる手法が用いられている。現在、インターネットには、全世界で1兆ページ以上存在すると言われているが、このうち、6億ページ近くがブラックリストとして登録されている。

国内では、主にこのURLフィルタリングを利用して、有害サイトへのアクセスを禁止している。

しかし、最近では、FacebookやTwitter、LINEと「有害サイト」では無いサイトへ人が集まり、そういった人の集まる所でイジメ被害が起きている。昨年もアマンダ・トッドと呼ばれる少女のFacebookを舞台にしたイジメを苦にした死が多くの涙を誘った。もちろん、「有害サイト」で無いサイトでおきる問題はブラックリストによるURLフィルターでは防げない。

投稿文からイジメを連想されるキーワードが検出されれば、保護者へ連絡するなどの「コンテンツパトロール」の仕組みが、今後重要になるだろう。

※この記事はASSIOMA(アショーマ)の記事を転載致しました。