ジャーナリストの伊藤詩織さんが、TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に、大坂なおみさんと共に選出。9月23日に都内で行われた記者会見で、気持ちを語った。

 選ばれた100人が紹介されているTIME誌の公式サイトでは、伊藤さんが2019年12月に民事訴訟に勝訴(※)した際の写真が使われ、また、伊藤さんの紹介文は東京大学名誉教授の上野千鶴子さんが執筆している。(※)被告側が控訴

TIMEの公式サイトより
TIMEの公式サイトより

 会見で伊藤さんは、上野さんが「Shiori Ito has forever changed life for Japanese women with her brave accusation of sexual violence against her harasser.」と書いたことに触れ、「(変化をもたらしたと評価されたが)私の中ではまだまだ変えていくべきところがある途中だと思っているので、でも確実な一歩が踏めたんだなという気持ちになりました」と話した。

 また、「まだまだ変えていくべきところ」を聞かれ、性犯罪刑法の改正などについて言及した。伊藤さんが最初に記者会見を行ったのは2017年5月。その翌月、性犯罪刑法が110年ぶりに大幅に改正され、7月から施行された。#metooは、この年の秋頃からの動き。偶然か必然か、伊藤さんのアクションと国内外の運動が重なるかたちとなり、性暴力被害者が声を上げる大きなうねりとなった。

「2017年に声を上げたとき、ちょうど刑法改正されるかされないかというときで、その後されたんですけど、大きく変わってほしいところが変わらなかった」

「(日本では)不同意性交がレイプということになっていない。暴行・脅迫要件が残ってしまっていて、(被害者が暴行や脅迫があったことを)証明しなければ認められないことになってしまっている」

 2017年の改正時に必要があれば更なる見直しを検討するとされ、改正から3年にあたる今年、森まさ子前法務大臣のもとで新たな検討会が設けられることが決定した。現在、司法関係者や支援者などが参加する検討会が続いている。

 伊藤さんは、「同意について刑法に入れていただきたい」と話すとともに、教育でも性的同意が教えられていない状況について「相手のことを考える教育を」「(同意について)勉強しないできてしまった私たち大人もアップデートしていかなければいけないと思います」と話した。

ワアド監督を「現場から当事者として伝える人」

 「選ばれた100人の中で影響を受けた人は?」という質問については、同じ「PIONEERS」カテゴリで選ばれた、シリアのワアド・アル=カデブ監督の名を挙げた。ワアド監督のドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた』は今年、日本でも公開されている。

 ワアド・アル=カデブ監督「TIME」公式サイトより
ワアド・アル=カデブ監督「TIME」公式サイトより

「セルフドキュメントで、あの状況をどう乗り越えたか(を撮影している)。本当に尊敬していて、彼女の名前を見てうれしかった」

 ドキュメンタリー制作を通してワアド監督と交流があるとも言い、「現場から当事者として伝える人」が選出されたことについて喜びを見せた。

 伊藤さんが現在取材中のテーマを聞くと、「最後に海外に行ったのが(シエラリオネなどで今も続いている)女性器切除についての取材」。コロナ禍で海外渡航がままならないため、今は「日本国内でできる取材を」と、視覚障害のある人のドキュメンタリーの撮影などを行っていることを明かした。

 取材を行っている縁から、この日の記者会見も、ダイバーシティを体感できる施設「ダイアログ・ミュージアム 対話の森」で行われた。

 ※記者会見の様子は上記までです。以下の有料部分は、私の個人的な感想などです。