北朝鮮が新型ICBM「火星17」の発射成功を発表
11月19日、北朝鮮は前日18日に発射した弾道ミサイルが新型ICBM「火星17」であり、金正恩による現地視察があったことを発表しています。北朝鮮の公式発表による火星17の性能数値は以下の通りです。
ほぼ韓国軍と自衛隊が観測した数値と一致しています。なお発表文にはMIRVなどの特殊な弾頭を意味する記述は無く、普通に火星17の実戦配備に向けた発射試験だったことになります。
火星17は今回11月19日の発表写真でも、3月25日の発表写真と同じ特徴が確認できます。発射機は台座と切り離さずそのまま発射していることや、第1段ロケットの主噴射ノズルは4個であることなどです。
なお韓国軍は2022年3月24日の北朝鮮ICBMの正体を火星15の軽量弾頭搭載版と判断しており、3月25日に発表された写真は以前の別の日の2月27日か3月5日に発射した火星17の予備実験(性能を抑えた実験)での写真を流用したと見ています。3月16日の火星17発射失敗(おそらく全力飛行試験を企図していた)を誤魔化すためです。
するとつまり、今回11月18日発射の火星17こそがこの新型ICBMの本当の初めての全力飛行試験成功ということになります。
2022年北朝鮮ICBM発射・推定8回(全力飛行試験2回)
- 02月27日朝 予備実験 火星17
- 03月05日朝 予備実験 火星17
- 03月16日朝 発射失敗 火星17
- 03月24日夕 発射成功 火星15(推定) ※発表写真は火星17
- 05月04日昼 予備実験 火星17
- 05月25日朝 予備実験 火星17
- 11月03日朝 予備実験 火星17(推定) ※発表写真は火星15
- 11月18日朝 発射成功 火星17
※「推定」は韓国軍によるもの。他の予備実験についても北朝鮮から詳しい発表は無く、推測の部分が多い。
※2022年これまで北朝鮮ICBMは発射8基。うち全力飛行試験成功2基、予備実験5基、発射失敗1基。
通算:北朝鮮ICBM全力飛行試験5回成功
- 2022年11月18日 高度6040km 距離1000km 69分 火星17
- 2022年03月24日 高度6200km 距離1080km 71分 火星15(軽弾頭)
- 2017年11月29日 高度4475km 距離950km 53分 火星15
- 2017年07月28日 高度3725km 距離938km 39分 火星14
- 2017年07月04日 高度2802km 距離998km 47分 火星14
※最大高度6040km・水平距離1000kmのロフテッド軌道(山なりに高角度で発射する弾道)を通常軌道(最小エネルギー軌道)に直して計算すると、最大射程は1万5000kmを超える性能で、アメリカ本土の東海岸を優に射程内に収める。
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2022年11月18日:家族同伴で新型ミサイル視察
なお金正恩氏は今回の視察で女性連れでした。金正恩氏の夫人と、初お披露目の娘さんのようです。新型ミサイル視察の場に家族を同伴という、意外な登場となりました。