北朝鮮が弾道ミサイルを発射、短距離の可能性大

参考画像:2019年に北朝鮮が発表した弾道ミサイル発射の様子

 2021年3月25日朝、北朝鮮が東部から日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射しました。内閣官房および防衛省の発表は以下の通りです。

  • 発射時間・・・午前7時4分と午前7時23分
  • 飛翔距離・・・420kmと430km
  • 最大高度・・・100km未満

 今回発射されたのは飛行特性から低い高度を飛ぶ方式の短距離弾道ミサイルの可能性が高いでしょう。なお海上保安庁の緊急警報「沿岸域情報提供システム」から午前7時9分に弾道ミサイル警報が出されており、これには自衛隊のレーダー探知情報が使われています。

 また韓国軍の発表では数値に若干の違いがあります。

  • 発射時間・・・午前7時6分と午前7時25分
  • 飛翔距離・・・450km
  • 最大高度・・・60km

 なお北朝鮮は約1年前にも短距離弾道ミサイルを発射していますが、この時とは発射地点が東部と西部で異なっているものの、飛行性能は似通っています。

3月22日に北朝鮮は、前日3月21日に「戦術誘導兵器」のデモ射撃を行ったことを発表しました。北朝鮮西部の平安北道から発射され陸地を横断し日本海の無人島に着弾、韓国軍の観測によると2発が発射され水平距離410km、最大高度50kmを飛行しています。

出典:北朝鮮版ATACMS短距離弾道ミサイル、7カ月ぶりの発射(2020年3月22日)

防衛省の資料より「2020年の北朝鮮による弾道ミサイル発射」
防衛省の資料より「2020年の北朝鮮による弾道ミサイル発射」

 2020年のこの時に西部から飛翔距離400kmの短距離弾道ミサイルを発射したのは、東部沿岸の直ぐ沖合いにある無人島を着弾地点に選ぶための射程調整でした。2021年の今回の発射は西部ではなく東部から同じような距離で日本海に向けて発射しているので、この無人島には着弾しておらず、もっと沖合いに着弾していることになります。これにより日本側からも観測しやすく、初報から弾道ミサイルと警報を出せたのでしょう。

防衛省2020年資料に2021年3月25日発射の予想飛行経路を書き加えて比較
防衛省2020年資料に2021年3月25日発射の予想飛行経路を書き加えて比較

 過去の発射データを参照すると、2021年3月25日に発射された短距離弾道ミサイルに一番近い飛行性能のものは、北朝鮮版ATACMSになります。または北朝鮮版イスカンデルの射程を少し抑えて発射しても近い飛行性能になります。一方、短距離弾道ミサイル扱いされている600mm超大型ロケット弾や旧式のスカッド弾道ミサイルだと、400km飛んだ場合の最大高度はもっと高くなる筈なのでおそらく違います。

 あるいは2021年1月15日のパレードで初登場した5軸10輪の車載移動発射機に搭載された新型ミサイルである可能性もあります。この新型ミサイルはイスカンデル型とATACMS型の両方の特徴を合わせ持ち、大きさがイスカンデル型よりも一回り大型化しています。

 通常ならばミサイルが大型化した場合は射程が延伸されている場合がほとんどですが、弾頭重量を増大させて射程がそのままという場合も有り得ます。もしそうだとした場合、小型化できず重いままの核弾頭を搭載するために、ミサイルを大型化した可能性が出て来ます。

関連:北朝鮮が5軸10輪の新型弾道ミサイルを初公開(2021年1月15日)

北朝鮮発表より北朝鮮版ATACMS(履帯式発射車両)
北朝鮮発表より北朝鮮版ATACMS(履帯式発射車両)

北朝鮮発表より北朝鮮版イスカンデル(4軸8輪式発射車両)
北朝鮮発表より北朝鮮版イスカンデル(4軸8輪式発射車両)

北朝鮮発表より2021年1月15日初登場の新型ミサイル(5軸10輪式発射車両)
北朝鮮発表より2021年1月15日初登場の新型ミサイル(5軸10輪式発射車両)

【追記】