アメリカ軍が極超音速滑空体C-HGBの飛行試験に成功

アメリカ国防総省の発表より2020年3月19日のC-HGB飛行試験

 アメリカ国防総省の発表によると3月19日、ハワイ州カウアイ島にある太平洋ミサイル試射場から発射された極超音速滑空体の飛行試験に成功しました。これは陸軍と海軍が共同で開発している共通極超音速滑空体「C-HGB」です。陸軍の極超音速滑空ミサイル「LRHW」と海軍の「CPS」に搭載される予定の弾頭部分になります。

  • Department of Defense Tests Hypersonic Glide Body

 「C-HGB」は極超音速滑空体と称していますが形状は弾道ミサイルの機動再突入体(MaRV)ほぼそのままであり、過去にアメリカ陸軍が装備していたパーシング2中距離弾道ミサイルの弾頭にもよく似ています。

アメリカ陸軍公式サイトよりLRHWのコンセプト図
アメリカ陸軍公式サイトよりLRHWのコンセプト図

 左上の黒い円錐形のものが「C-HGB」弾頭部分で、ミサイルのノーズコーンカバー内に収納されています。この弾頭形状は1970年代後半から1980年代初頭にかけて実験されたサンディア国立研究所の有翼再突入機「SWERVE」の流れを汲むもので、1996年に防衛科学委員会(DSB)が提示した低コスト弾道ミサイル案のMaRVに酷似しています。SWERVEは弾頭の角度が先端から後端まで変化しませんがC-HGBは二段階に変化しており、パーシング2のMaRVは最後端にフレアスカートが付いていましたがC-HGBには付いておらず、実はC-HGBは1996年の低コスト弾道ミサイル案の弾頭ほぼそのままの形状です。

 2020年代に実用化が予定されているC-HGBの技術源流は1970年代後半からあり、1996年には形状がほぼ固まっていて、半世紀を掛けて研究して来た技術が今採用されることになります。全くの新技術が急に出て来たわけではなく、要素技術の研究を長年に渡って続けて来た下地があったのです。

 弾道ミサイルの機動再突入体(MaRV)が仕様をそのままに極超音速滑空兵器として名前を変えて再登場したのがC-HGBであり、これを搭載するLRHWとCPSは滑空ミサイルというよりは実質的に弾道ミサイルだと言えるでしょう。滑空やプルアップ-プルダウン機動なども行えて純粋な弾道飛行は行わないので弾道ミサイルではないと言うことも可能ですが、パーシング2中距離弾道ミサイルの進化型と捉えるのが実態に近いと思われます。