北朝鮮が新型の超大型ロケット弾を試射

北朝鮮発表より「我々式の超大型放射砲」

 8月24日早朝、北朝鮮が東部の咸鏡南道から日本海に向けて2発の飛翔体を発射しました。韓国軍の観測では水平距離380km、最大高度97km、最大速度マッハ6.5で、これは通常軌道で発射されたことになります。そして翌25日、北朝鮮は24日の発射が大型ロケット弾だったと発表しました。ロケット弾としては世界に類を見ない非常に大きなもので、北朝鮮は国産の超大型放射砲(放射砲とは多連装ロケットの意味)と宣伝しています。

 そして公開された写真から、初めて確認される装輪式の大型トラックを用いた発射車両が写っていました。7月31日と8月2日に発射したとされる大口径ロケット弾の発射車両は装軌式(クローラー)の足周りだったので、全く別の発射車両となります。

北朝鮮発表より「超大型多連装ロケット」
北朝鮮発表より「超大型多連装ロケット」

 トラック型ですがタイヤは非常に大きく野外機動能力の高い特殊なもので、道路事情が貧弱な北朝鮮の国情に合った開発方針です。市販トラックとは足回りの構造が異なるため、開発と生産は労力が掛かります。 

北朝鮮発表より「超大型多連装ロケット」
北朝鮮発表より「超大型多連装ロケット」

 また発射機のキャニスターの直径が非常に大きく、車両には横に2列しか搭載できず、2列2段の4連装となっています。ロケット弾は直径400mm~500mmどころか600mm以上はありそうな超大型のもので、ロケット弾としては他に類を見ない大きさのものとなっています。

参考比較:8月24日と8月2日のロケット弾車両
参考比較:8月24日と8月2日のロケット弾車両

 7月31日と8月2日に発射された「大口径ロケット弾」の公開された写真は発射機にモザイクが掛かっていたので、8月24日の「超大型ロケット弾」の発射機との共通性が正確には分かりません。ただし搭載数が異なり、キャニスターの直径の大きさも異なるようにも見えます。呼称も異なっているので、サイズの異なる新型ロケット弾が複数種類ある可能性があります。

北朝鮮発表より超大型ロケット弾
北朝鮮発表より超大型ロケット弾

 「超大型ロケット弾」の形状については、7月31日と8月2日に発射された「大口径ロケット弾」や既存の300mm8連装ロケット「KN-09」と同様に、先端に小さな操舵翼が付いています。これは無誘導ロケット弾を最小限の改造で誘導型に出来るもので、アメリカが誘導型MLRS「GMLRS」で始めた形式で、中国なども真似して世界的に広まっています。なおこの形式の操舵翼では細かい修正しかできず、イスカンデル短距離弾道ミサイルのようなプルアップ機動はできないので、低高度を滑空しながら飛ぶことはできません。超大型ロケット弾は単純な軌道を飛ぶので探知されやすいですが、多連装の数で防衛網突破を図る方式です。

 大型ロケット弾と短距離弾道ミサイルは境目が曖昧な存在ですが、北朝鮮が8月24日に発射した「超大型ロケット弾」は通常軌道で380km飛んだのでこれを最大射程と見做せます。短距離弾道ミサイルと誤認したのは仕方がないことで、軌道だけでは見分けが付きません。ただしおそらく超大型ロケット弾の弾頭重量は短距離弾道ミサイルよりは少なく、核弾頭の搭載は考えられていないでしょう。通常弾頭で韓国軍や在韓米軍の後方拠点を遠距離から撃破することを狙った新型装備だと考えられます。