イージスアショア最大の利点「自宅から通勤できる」の意味

アメリカ軍よりイージスアショア概念図

 2月12日に安倍首相は国会答弁でイージスアショアの利点について「自宅から通勤できる」という点を挙げました。実はこれがイージス艦とイージスアショアの決定的な違いであり、イージスアショアが陸上施設である最大の利点だと言えます。

・イージスアショアは自宅から通勤できるので24時間365日稼働

・イージス艦は乗員の休養や艦の整備の為に年間数ヶ月のみ稼働

 イージス艦は常に洋上で作戦を続けることはできません、整備と休養のために港に定期的に帰投する必要があります。イージス艦1隻を実戦配置し続けるためには2~3隻で交代しながらローテーションする必要があります。そしてイージスBMD(弾道ミサイル防衛)でSM-3迎撃ミサイルを使用する場合にはイージス艦2隻あれば日本全土を守れるとされているので4~6隻が最低でも必要になり、迎撃担当の2隻とは別に早期探知担当として前進配備する1隻を追加した3隻の場合では6~9隻が必要となります。

 これでは海上自衛隊の保有するイージス艦6隻(近い将来に8隻予定)の大半が対北朝鮮BMD警戒任務に拘束されてしまいます。ですがイージスアショアが2基あれば平時のBMD任務を常時担当させることが可能となり、イージス艦を本来の任務である東シナ海などでの中国海軍との対峙に使えるようになります。このイージス艦の負担を減らせるという意味でイージスアショア1基あたりイージス艦2~3隻分の効果が見込めるので費用対効果がとても高いと言えます。

 つまりイージスアショア導入の理由は『平時』のBMD警戒任務でイージス艦の負担を減らし、交代のローテーションを楽にするためにあります。そうしないと中国海軍との対峙にイージス艦を投入できません。北朝鮮有事の可能性が高まれば海上自衛隊のイージス艦はBMD警戒に戻ります、アメリカ海軍のイージス艦も横須賀に駐留している艦だけでなくハワイや西海岸からも応援に来るでしょう。そうなると日本近海に十数隻から数十隻のイージス艦が集まって来ます。これで有事の際には相対的にイージスアショアの占める役割は小さくなるので、たとえイージスアショアが開戦初頭にテロ攻撃で潰されたとしても付近にイージス艦が集まっているなら影響はあまり出ません。

 イージスアショアが陸上の移動できない固定施設であるがゆえに、メリットとデメリットの両方があります。動けないゆえのデメリットを見込んだ上で、動かないゆえのメリットが大きいので、導入する判断に至ったと言えることができます。