北朝鮮が深夜にICBM発射、飛行能力は米本土東海岸まで到達可能か

7月4日発射時の北朝鮮の火星14号ICBM(写真:ロイター/アフロ)

 防衛省の発表によると、北朝鮮は7月28日23時42分ごろ、同国中央部の慈江道前川郡、舞坪里(ムンピョンリ)から弾道ミサイルを発射。高く打ち上げるロフテッド軌道により到達高度は3500kmを大きく超え、水平距離約1000km、45分間を飛翔して北海道積丹半島の西約200kmの日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾しました。また韓国軍合同参謀本部の発表では高度3700km、水平距離1000km、飛翔時間47分という数字も出ています。これは前回の7月4日に行われた火星14号の試験発射時の飛行性能を大きく上回ります。 

※追記:北朝鮮が朝鮮中央通信を通じて今回の発射は「大陸間弾道ミサイル火星14号の2次試験発射(最大射程試験)」であり、高度3724.9km、水平距離998km、47分12秒飛翔と伝えました。

 アメリカの憂慮する科学者同盟(UCS)で世界安全保障プログラム(Global Security Program)に参加する物理学者デビッド・ライト博士の計算によると、今回の北朝鮮が発射した弾道ミサイルを韓国軍の発表した数字を元に計算した場合、通常軌道(最小エネルギー軌道)で1万km飛行できる性能だったとしています。そして地球の自転の影響を加味するともっと飛ぶことが出来るので、アメリカ本土東海岸まで到達できるとしています。

  • デビッド・ライト博士の記事を紹介するローラ・グレゴ博士のTweetより。

 計算ではニューヨークまで届き、ワシントンD.C.には僅かに届かないものの、殆ど届いているので弾頭を軽くするなど細かい調整で届く事が可能と予想されています。これにより北朝鮮はアメリカ本土の中枢をICBM(大陸間弾道弾)で直接攻撃する事が可能になりました。トランプ大統領が強く警告していたレッドラインを大きく超え、アメリカがどのような態度に出るのかが注視されます。あるいは核実験の実施まで行動を棚上げするのかもしれません。

 なおロシアは前回の火星14号の試験発射時と同様に、今回の北朝鮮ミサイル発射も「ICBMではない」と主張しており、ロシア国防省は観測した北朝鮮のミサイルは最大高度681km、水平距離732kmの準中距離弾道弾であると公式発表しました。しかしロシア軍が2度も観測ミスするとは考え難いので、事実を無視してでも政治的にICBMとは認めない立場を強弁しているのだと考えられます。日米韓がICBMと観測し、北朝鮮自身がICBMと主張し、中国もロシアの主張に組みしていない以上、ロシアの主張する数字が正しいとは考え難い事です。