北朝鮮が巡航型の地対艦ミサイルを発射

参考画像:アメリカ海軍のハープーン対艦ミサイル(提供:U.S. Navy/アフロ)

6月8日早朝、北朝鮮は巡航型の地対艦ミサイルとみられる飛翔体を発射しました。最近一カ月間の間に5回のミサイル実験を行った事になります。うち3回が弾道ミサイルで、残りが地対空ミサイルと地対艦ミサイルの発射でした。なお国連安保理決議で北朝鮮が禁止されてるのは弾道ミサイル関連技術の試験発射なので、今回の地対艦ミサイルに付いては日本政府は抗議をしていません。

  • 5月14日、中距離弾道ミサイル「火星12」を発射。
  • 5月21日、準中距離弾道ミサイル「北極星2」を発射。
  • 5月27日、長距離地対空ミサイル「稲妻5」を発射。
  • 5月29日、短距離弾道ミサイル(精密誘導型)を発射。名称は非公表
  • 6月8日、地対艦ミサイルを発射。名称は非公表

地対艦ミサイルに付いては詳細が判明していませんが、おそらくは4月15日の平壌軍事パレードで登場した新型地対艦ミサイル「金星3」だろうと予想されています。そうすると、この一カ月間に試射された各種ミサイルは全て新型兵器の試験だった事になります。ただしパレードにも登場し注目された新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)はまだ試射されておらず、アメリカとの緊張を決定的に高めかねないICBMの試験に付いては慎重なままなのでしょう。

今回も日本のJアラート(全国瞬時警報システム)は鳴りませんでしたが、発射時の噴射炎の熱量が膨大な弾道ミサイルと異なり地対艦ミサイルの熱量は小さく、熱源を感知するアメリカの早期警戒衛星でも判別がしやすい存在です。また山なりの弾道を飛んで来る弾道ミサイルと低く水平に飛んで来る巡航型の対艦ミサイルでは飛び方が全く違うのでレーダーでも判別がしやすく、発射されて直ぐに弾道ミサイルではないことは分かっていたので、日本への影響は無いと判断されています。

北朝鮮の地対艦ミサイル「金星3」は、ロシアのKh-35対艦ミサイルに非常によく似た存在です。金星3のミサイルは2年前に北朝鮮海軍の新型艦艇から試射された時に艦対艦型の映像と写真が公表されており、Kh-35の特徴であるブースターにも装着された安定翼を含めて形状がそっくりでした。金星3の開発の参考になったと思われるロシアのKh-35はアメリカのハープーン対艦ミサイルによく似た亜音速の対艦ミサイルで、コンパクトに纏まった使い勝手の良い対艦ミサイルです。金星3のミサイルは履帯式自走4連装発射機に搭載されており、北朝鮮が従来保有して来た大きなシルクワーム系の地対艦ミサイルが1発射機に1発しか装備できなかったのと比べると攻撃力は大きく上がっています。ただし射程は200km程度なので、日本に影響がある兵器ではありません。そして米空母はこのような地対艦ミサイルが潜む沿岸に近い距離に接近しないので、上陸部隊を運ぶ揚陸艦艇など沿岸に接近して来た艦艇を狙い撃つのが主な役割になります。

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